特集・連載
“通しか知らない”をサクッと学ぶ[10minutes ヴィンテージ]
「タック入りのテーパードで無骨なだけじゃなく品も備えた隠れ名作チノです」
10minutes VINTAGE ヴィンテージ=難しい? ノンノンノン♪ 通しか知らない名品も、目印を頼ればビギナーでも簡単に発掘できちゃうんです。その道のプロが、目指すべきターゲットと、その判別テクをサクッとレクチャー。10分後はあなたもヴィンテージ通! この記事は特集・連載「10minutes VINTAGE」#24です。
フランス軍パンM-52 チノパン
TEACHER:WAIPER(ワイパー) 店長 中村彰宏さん
チノと言えば、やっぱり生みの親である英国軍や名作の多い米国軍がメジャーな発生源。かのM-47の威光が眩しすぎてカーゴのイメージが先行してますが、実はフランス軍にも通から長らく愛される隠れ名チノが存在してるんです。
「それがこのM-52。名前の通り、1950年代からフランス軍で採用されているモデルです。製造メーカーによってディテールに若干違いはあるんですが、双糸で織られた右綾のツイル、つまり無骨なウエポン生地で仕立てられているのが特徴。ヴィンテージ市場では古くから人気が絶えない名品ですね」。
最近では傑作カーゴ・M-47の人気が以前にも増して上がり価格も高騰してますが、実はその使い勝手のよさから、M-52もM-47に次ぐ人気軍パンに。
「タックが設けられているのも、M-52の特徴。1タック版と2タック版が混在してるんですが、どちらもウエストやヒップ回りはゆったりしていて、裾に向かって緩やかにテーパードする、言わば昨今トレンドのワイドテーパードシルエットに設計されています。しかも仕立ても精緻だから、パッと見は無骨なのにどことなく品も感じられる。他の国のチノとは違う表情が、服好きを魅了している理由なのかもしれませんね」
フランス軍パン M-52 チノパン
’50年代〜’60年代にかけてフランス軍に採用されていたと言われる、隠れ名チノ。ほとんどの国のチノが左綾のツイル生地を使っているのに対し、より雄々しい右綾のツイル生地、通称“ウエポン”が使用されているのも魅力のひとつ。クリース入りというのも、品が感じられて萌え〜♡ 1万2800円(WAIPER)
シルエットCHECK!
旬度の高いワイドテーパードシルエットもM-52躍進の大きな要因。背景を感じるヴィンテージなのに今っぽいなんて、最強でしょ。
2タック版も必見!
左/1タック版 右/2タック版
理由は不明だが(苦笑)、写真左の1タック版と写真右の2タック版、2パターン存在している。どちらも品よく楽チン♪なのは同じ。ちなみに写真の個体にはクライミングパンツでお馴染みのガゼットクロッチが設けられているが、この有無も個体差あり。1万2800円(WAIPER)
ガゼットクロッチが採用されてる製品も!
WAIPER(ワイパー) 店長
中村彰宏さん
世界中の名品&珍品を揃える、ミリタリーに特化した通御用達の名店。店長自らも出演するYouTubeチャンネルも人気急上昇中!
[ビギン2021年3月号の記事を再構成]写真/上野 敦(プルミエジュアン)文/黒澤正人