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ラコステがもっと好きになる!? 沼が深すぎるマニアトーク
“品があるのにラク”の最たる例として、目下最強のオンオフ兼用ワードローブに君臨するポロシャツ。ここではそのオリジンにして、今年めでたく創設90周年を迎える仏の名門ラコステを、気になる最新情報を踏まえ、今一度、徹底解説いたします。
[MANIA]ラコ・捨てられぬのはなぜか……
「ワニ飼育員」「ラコ助」と呼ばれるライター
黒澤正人さん
今まで買ったラコステ製品はポロシャツだけで50着以上。一体なんでこんなに好きなのか……正直自分自身もずっと謎だったんです(苦笑)。でも今回改めて考えてみたら理由が判明。
ここまで惹きつけられるのは、自分がケチだからなんだなって。要は予算が限られてるから、買い物する時は絶対に失敗したくないんです。
だからこそ、できることなら世のファッション賢人たちから、“このジャンルはこれが最定番!”とお墨付きを得ているモノしか買いたくない。トレン度よりも傑作品としての認知度の高さの方が、自分にとっては遥かに重要なんです。
となるとやっぱりジーンズならリーバイスだし、スウェットならチャンピオンだし、ポロシャツならラコステしかない。なんたって現在のポロシャツの原型を形作ったオリジンですから。
それと誤解を恐れず言えば、ラコステのポロシャツって安いんです。古着なら数千円で買えるし、現行品でも大抵1万台円で買える。なのに夏場はこれ一枚着てるだけで“わかってる感”を香らせられるし、体温調整が難しい春や秋口なんかもインナーとしてバリバリ活躍してくれる。
よく考えたら年中クロゼットの最前列に陣取ってくれてるんですよね。世に男服の名品は数あれど、これだけ実用性の高さと価格が反比例してるアイテムってそうないはず。だからこそ、ちょこちょこリピ買いしちゃう人も多いんだろうし、僕自身も気づけばウン十着なんて事態に陥ったわけで(苦笑)。
実際に初めてラコステのポロシャツを買ったのも、今以上に予算が少ない高校生の頃だったんですが、古着屋さんに行けば4000〜5000円でフレラコ(※1)とかアイゾッド(※2)なんかのポロシャツが掘れましたし。
ちなみに僕も昔はヴィンテージラコ至上主義だったんですが、今ではこういう古くからのラコ好きが食いつきそうな記号だけが、ここのポロシャツの真価じゃないと骨身に染みて思ってます。
言い換えるなら、ラコステはヴィンテージを愛でるべき古参ブランドなんかじゃなくって、今を生きている現在進行形のブランドなんだって。そう気づいたのは今から7年くらい前に、ビギンの取材で秋田県のヴァルモード(※3)を訪れてから。
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L.12.12の凄さを検証するために僕自身がL.12.12を作ってみるという、ファンとしてはありがたすぎる企画だったんですが、これがとにかく難しくて。
それまで深く考えたことなかったんですけど、当然ながら鹿の子生地ってめちゃくちゃ伸縮性があるんですよね。だからミシンで縫ってる時に、少しでも余計な力を加えちゃうと生地がビヨ〜ンと伸びちゃう。
ルネさんはミリ単位までこだわってL.12.12を設計していた(※4)と思うんですけど、それを寸分の狂いなく縫い上げるには、超繊細なテクニックが要求されるんです。
他にも常人じゃ気付けないほどの個体差があるワニロゴを盲牌で判別できちゃう職人さん(※5)がいたり、特殊なミシンや芯材を貼り付ける機械など、特注マシンを山ほど導入していたり、縫製時の裂けなどを防止するために湿度まで徹底管理していたり……。
1着のポロシャツを完成させるまでの間に、信じられないほどの職人技が注入されていることを思い知らされたんです。だから言わばラコステのポロシャツには工芸品的価値すらあるんじゃないかなと。
だからこそフレラコやアイゾッドはもちろん、現行品だって、将来“日の丸ラコ”みたいな愛称がついてヴィンテージ化するかもしれない。そんな胸ワクすぎる未来が想像できるラコステ、逆に捨てられますか?って話です。
ワニロゴ
・フレラコ(※1)
その名の通り、母国フレンチメイドのラコステ製品を指す愛称。フララコと呼ぶ派も存在するが、いずれにしろ原産国にこだわる愛好家の間では憧れの存在。周知の通り、生産国をカントリーオリジンで貫いている名品は減少し続けているが、同社は90年代に一度フランス生産を中止したものの、近年復活を果たしてファンを感涙させた。
・アイゾッド(※2)
30年代に設立された米国ブランド。66年にラコステとのライセンス契約を結び、85年の契約満了まで、アメリカ製のラコステ製品を展開していた。青いワニや、背面の着丈のみ長めに設計したドロップテイルなど、本家とは異なるユニークな意匠を備えたポロシャツには、熱狂的なファンも多い。
・ヴァルモード(※3)
秋田県横手市で1988年に設立された、ラコステの日本国内における専門ファクトリー。日本国内で流通しているラコステの日本製ポロシャツは、ほぼすべてこのヴァルモード製。 実は名作L.12.12をはじめ、ラコステの名作ポロたちは設計図がなかったため、同工場の初代工場長がフランスへ渡り、自ら各ポロシャツの仔細な仕様書を作り、日本に持ち帰ってきた。90年経った現在まで昔と変わらない基本仕様の名作ポロたちを日本で入手できるのは、100%同工場のおかげ。旧式ミシンと最先端マシンを適所で使い分け、次世代の職人も育成し、ラコステのポロシャツを未来へとバトンタッチさせる、日本が世界に誇るポロシャツ作りのスペシャリスト集団だ。
・ルネさんは〜(※4)
テニスと等しくポロシャツ作りにおいても天賦の才を発揮していたルネさん。代表作のL.12.12ひとつとっても、肌触りや通気&伸縮性などを考慮して、44番手という端番手の糸で編み上げた鹿の子生地を使う。無駄な作業工程を省きつつ胸元に立体感を生むため、上前立てを下前立てより2mmだけ出すようにする。な〜んて微細なこだわりを、はるか昔から盛り込んでいた。
・常人じゃ〜(※5)
実はワニロゴには常人では知覚できないレベルの個体差が存在。縫い付ける際はあらかじめ縫い位置を設定した自動ミシンを使うのだが、どのタイプのワニロゴを手にとっても瞬時に適切な縫い位置を設定できるよう、手触りだけでワニの種類を判別できる、ただひとりの職人が担当している。
これまで飼育してきたワニの総数は約75匹
ライター
黒澤正人さん
1983年生まれ。かつてビギン編集部に在籍していた際、夏場にほぼ週7でラコポロを着用していたことから“ラコ助”という異名が。敬愛するワニ飼育員はセプティズの玉木さん。
写真/若林武志 文/黒澤正人