特集・連載
ヴィンテージブラザーズが行く! お宝本格靴探検記
本格革靴会議 「モノを大事に」なサステナ社会だし、物価高で「本当に永く使えるモノ」が欲しいし、「今こそ本格靴が必要!」と強く思うからこその珠玉の革靴100連発。おいそれと買える値段じゃないものも多いけど、だからこそ詳細解説したいワケです。ってことで、初心者もツウも納得する「一生靴」をここで見つけてください! この記事は特集・連載「本格革靴会議」#20です。
編集部セキグチと編集・ライターの黒澤正人さんの2人が、“一生靴”のリサーチを古着屋さんまで拡大し、東京・高円寺の超人気ショップに潜入。ヴィンテージでしかお目にかかれないお宝をレッツ・ハント♪
舞台はココ!
[ウィスラー]&[チャート]
アメリカにもユーロにも強い、高円寺屈指の人気古着店。隣接して2軒に分かれており、とくに靴の品揃えは国内随一。古靴好きの聖地として、信者が後を絶たない。住所.東京都杉並区高円寺南4-30-8 ミサトビル101
編集部
セキグチ
本特集ではボスを務めるも、実は古着&紳士靴の知識量は人並み。知性より感性だろ!と密かに黒澤をライバル視し、お宝発掘に挑む。
編集・ライター
黒澤正人さん
原稿に追われれば追われるほど足とネットを駆使して古着を掘りまくる不治の病持ち。ビギン本誌連載「10 minutes VINTAGE」の原稿執筆を担当。
古着の聖地・高円寺は幻のヴィンテージ靴の宝庫だった!
遅刻するセキグチ
黒澤さん(以下敬称略) もう遅いよセッキー!(怒)
セキグチ いや違うんだよ……目覚ましが……(焦)
7月某日、高円寺駅。左/黒澤「何回目?(怒)」 右/セキグチ「また徹夜で……」
[ウィスラー]&[チャート]到着!
店の前に靴の棚がズラリ!(セキグチ)
ホイッスル少年が目印
黒澤 もういーよ! さぁ着きましたよ、ウィスラー。いや〜、大量の靴がお出迎えしてくれちゃって、入る前から圧巻だね。常時2000足近く並んでるらしいよ。
セキグチ「待ってろお宝~!」
セキグチ 2000! 高円寺広しといえど、ここまで靴に強い店はそうそうない。じゃあ早速お宝ハントといきますか……と思ったらいきなりトリッカーズウォールが!
黒澤 いや〜、いつ見ても壮観。カントリーブーツだけで余裕で100足以上あるし、全色揃ってる。しかも状態もいい。え? これほとんど3万円台なんだ! 新品を育てたい派以外には相当買いだね。
セキグチ「いきなりトリッカーズの棚!!!」 黒澤「こんなのはまだ序の口!」
黒澤「おびただしい靴の山!」
思い思いにひとしきり物色……
セキグチ いきなり興奮するねぇ。ちょっと奥も覗いてみますか……ん? あの変わった色の靴はもしかして……やっぱりステイシーアダムスじゃん! く〜、渋イイな〜。
セキグチ「……あれ!?」
セキグチ「これステイシーアダムスじゃん!」
セキグチがここで発見! STACY ADAMS[ステイシーアダムス]
黒澤 おっ、米国製のもある! 90年代以降のインド製も悪かないけど、やっぱロマンあるよね。うわっ、よく見たら他にもアメリカの老舗靴めっちゃあるじゃん。コール ハーンにアレン・エドモンズにジョンストン&マーフィーにボストニアンに……うおっ! きましたフローシャイム。しかも上級ラインのインペリアル! 古着屋さんのアメ靴といえばやっぱこれよ。ゴツいのに品格ムンムン!
ムムッ! フローシャイムもあった~!
黒澤「フローシャイムもあった~!」
黒澤がここで発見! FLORSHEIM[フローシャイム]
お店には当時の看板も!
セキグチ 相変わらず鼻息荒いね(苦笑)。でも負けずに掘ったる! ちょっと姉妹店のチャートにも行ってみよーよ! 歩いて10秒だし。
黒澤 いいねぇ、掘ろう掘ろう♪
[100字でわかるステイシーアダムスとは?]
1875年に米国マサチューセッツ州ブロックトンで創業した、知る人ぞ知る名門。他社にはない独特の色使いで著名。ジャズミュージシャンから寵愛された靴としてもお馴染み。右1万6900円、中1万4900円、左1万2900円。
パンダに萌え♡(セキグチ)
グリーンにパープルってカラバリ個性的すぎ!(黒澤)
[100字でわかるフローシャイムとは?]
1892年にシカゴで創業。第一次大戦から第二次大戦にかけて米軍に靴を納入していた実力派。現在は古着店でしかお目にかかれない、お宝ブランドに。写真は上級グレードのフローシャイム インペリアル。1万6900円。
古きよきアメリカ靴ならではのゴツさが◎(黒澤)
ウィスラーの次は系列店のチャートへ!
セキグチ「ここも大漁の予感!」 黒澤「ウィスラーの1つ挟んですぐ隣」
〜ルンルン気分でチャートに〜
セキグチ わぁお! こっちもまた壁一面ヴィンテージの靴、靴、靴! 入り口にクレマンだけのラックがあったり、テンション上がる〜♪
壁一面の古靴が並ぶ様は、さながら革靴の博物館!
革靴好きには絶景♪(黒澤)
黒澤 基本的にはウィスラーと同じ靴を片足ずつ売ってるみたい。店員さんは右足のウィスラー、左足のチャートって言ってた(笑)。
セキグチ でもスポットの当て方が若干違うんだね。こっちにはホワイトバックスめっちゃ固まってるじゃん。あっ、ブルックス ブラザーズもある。これも名作だよ!
黒澤「いきなりブルックス ブラザーズのホワイトバックスがお出迎え!」 セキグチ「これも今じゃレア!」
これぞアメトラ!な純白バックスもズラリ。左はウォーク オーバー1万4900円。右はブルックス ブラザーズ1万6900円。
黒澤 アメリカ濃度高めだね。
セキグチ と思ってたら、クラークスオンリーの棚もある。しかもこれ全部英国製なんだ!? ひぇ~。
黒澤 50足近くあるよ、これ(驚)。古着市場でも年々枯渇してる英国製クラークスをこれだけ一度に眺められる店はマジでレア!
セキグチ デザートブーツとかワラビーみたいな永世定番以外のモデルもあるし、これヤフオクとかメルカリよりお宝を一気見できるやん!
セキグチ「今は無きUK製クラークスも!」
英国生産は2000年代初頭まで! 1万6900円。
ヒールにレザーパッチですと!?(セキグチ)
黒澤 オーナーは各国にルートがあって、頻繁にヴィンテージ靴を買い付けているんだって。今は大変みたいだけど、以前はアメリカに一年の半分以上をバイイングのために滞在してたらしいし。
セキグチ よっ、バイヤーの鑑! でもそれくらいの知識とバイタリティがある腕利きバイヤーがいないと、この量&質の靴は揃わないよね。
黒澤 実はコソッと教えてもらったんだけどさ、8月中旬から9月頭にかけて、超ド級のヴィンテージが超大量に入荷するらしいよ。すでに届いてる分チラ見させてもらったんだけど、それこそフローシャイムとかハノーバーのコードバン系なんかもガッツリあった!
セキグチ 黒ちゃん、また来月も来よ!
まだまだバックヤードに眠るお宝の数々……
嘘、これ全部コードバン!?(セキグチ)
フローシャイムのコードバンがこんな大量に……(黒澤)
[100字でわかるハノーバーとは?]
1899年、米国ペンシルべニア州ハノーバーで創業。歴代大統領も愛用していたとされる超名門で、ヴィンテージ界ではフローシャイムに比肩する人気ぶりを誇る。ちなみにエルビーシェパードというのは上級ラインの名前。
ハノーバーのエルビーシェパードも!
黒澤「お店に並んだら絶対買いに来よ~♡」
※表示価格は税込み
[ビギン2022年10月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。