特集・連載
ON・OFF超便利な♪ 名門の新鋭ローファーに刮目せよ!
本格革靴会議 「モノを大事に」なサステナ社会だし、物価高で「本当に永く使えるモノ」が欲しいし、「今こそ本格靴が必要!」と強く思うからこその珠玉の革靴100連発。おいそれと買える値段じゃないものも多いけど、だからこそ詳細解説したいワケです。ってことで、初心者もツウも納得する「一生靴」をここで見つけてください! この記事は特集・連載「本格革靴会議」#03です。
名門ブランドの注目作をお題に、4名の靴賢者+編集長イチカワがあーだこーだと本音で言いたい放談! じっくり読み込んでいただければ、今買うべき本格靴が見えてくる!?
上段/左から、イラストレーター 綿谷 寛さん、ワールドフットウェア ギャラリー ディレクター 日髙竜介さん 下段/左から、スタイリスト 武内雅英さん、編集・ライター 小曽根 広光さん、ビギン編集長 イチカワ
シンプルなデザインだからこそ仕様やディテールで印象激変
市川 オン・オフ兼用靴といえば、外せないのがローファーというジャンル。スニーカー感覚で気軽に履けつつ、スタイルが大人っぽく締まるのがいい。
日高さん「履きやすくなってるのも特徴」 綿谷さん「スタイル問わずに使いやすい」
小曽根 ここで挙げた4足の中で最も大人な感じがするのがエドワード グリーンでしょうか。ストラスブルゴが復刻させた「ミルフィールド」というモデルで、アンラインド(裏地なし)仕立て特有の柔らかな履き心地を含め、いかにもMEN’S EX読者が好みそうです。
①エドワード グリーンのミルフィールド
名門エドグリも最近は裏地なしモデルに注力
市川 ビットも小粋でいいですね。イタリアっぽい色気が付加されて。
武内 クロケット&ジョーンズもビット付き。木型は米国スタイルのローファー「ボストン」と一緒っぽいな。独特のフォルムだね。
②クロケット&ジョーンズのヘンドン
綿谷 イギリス、アメリカ、イタリアの全部のせって感じ。ちょっとパロディみたいな気がしないでもない(笑)。
日高 ビットローファーってグッチが元祖なのですが、英オックスブリッジの学生が最初に親から買い与えられる靴だとも聞きました。
市川 へぇー、そうなんですか!
小曽根 ちなみにクロケット&ジョーンズのこのローファーは歩きやすいシティソールを採用していて、木型も踵の小さい日本人の足型に非常に馴染むのが魅力です。
アメリカ顔のローファーにビットの遊び心
日高 ローファーは踵のフィットが肝。洋服店の店員さんはローファーをよく履いていますが、しゃがんだときに踵が抜けている人をよく見かけます。
③ジェイエムウエストンの#385
綿谷 このウエストンは定番の「シグニチャーローファー#180」に見えるけど、ソールにドンとボリュームがある。お、トリプルソールなのか!
180にまさかのトリプルレザーソール
市川 もともとウエストンのソールは頑丈なのに、さらに頼もしい仕様に。
小曽根 最初は返りが若干硬いだろうけど、履き込んだらどこまでもガンガン歩ける一足になりそう。
市川 そういえば小曽根さん、ご夫婦で180を履いてますよね。
小曽根 二人とも甲が高いせいか、180の木型がぴったり馴染むんだよ。
日高 フレンチローファーの傑作として、今若い人も頑張って180を買う人が多いんです。今後はこのモデルと迷うかも。
武内 若い人に人気といえば、ジーエイチバスの“パンダローファー”もそう。SNSでバズった(※)んですよね。
④ジーエイチバスのラーソン
小曽根 この靴、若い人はどう履くんだろう? こういう白黒コンビの靴はアイビーやトラッドの定番だけれど。
武内 ストリート系の人たちも履いてるみたいだし、何にでも合わせちゃうんじゃないですか? それが今の気分。
市川 あれ、綿谷さんも今日の足元は白黒コンビのパンダ配色ですね?
画伯も30年モノの白黒コンビでご登場。フレッド・アステア的!
綿谷 なんか履きたくなって30年ぶりに引っ張りだしたんだ。オレも今の気分がわかってると思わない(笑)。
(※)パンダ・バスがバズった
パンダ・バスが原宿でもバズってるってマジ!?
プロスケーターであり、長年「シュプリーム」のアンバサダーを務めたジェイソン・ディルがバスの「白黒コンビローファー」を履き、SNSなどを通じて若者にも大ブレイク! アメトラの名作をストリートファッションにも浸透させた。
ジェイソン・ディル
①EDWARD GREEN
エドワード グリーンのミルフィールド
現在インラインから外れているビットローファーを二十数年ぶりに別注復刻! トウのスキンステッチなどノーサンプトンの至宝の技をしっかり堪能できる。61ラスト。19万5800円(ストラスブルゴ カスタマーセンター)
ボトムスを選ばないバランスのいい木型(小曽根さん)
②Crockett&Jones
クロケット&ジョーンズ ヘンドンのヘンドン
不動の人気を誇る米国スタイルのローファー「ボストン 2」と同じ376ラストを使用しつつ、ビット付きデザインにアレンジした別注作。ラバーソーソールは近年最も支持率の高い薄型のシティソール。9万5700円(フレーム)
重厚ローファーがビットでモダンに(イチカワ)
③J.M. WESTON
ジェイエムウエストンのトリプルソールローファー #385
シグニチャーローファー #180とフルブローグのトリプルソールダービー #590。メゾンを代表する2つのモデルを掛け合わせた傑作モデルだ。今らしいボリューム感が堪らない。15万9500円(ジェイエムウエストン 青山店)
フレンチ靴持ち前の堅牢性が増しています(武内さん)
④G.H.BASS
ジーエイチバスの11010H ラーソン BLACK×WHITE
ローファーの生みの親として知られるバス。こちらは現行モデル「11010」のクッション性を大幅に向上させた“ヘリテージモデル”の白黒コンビ仕様。ただいまバカ売れ中です。2万9700円(ジーエイチバス トウキョウ)
ルールにとらわれずに自由に履いてもらいたいな(綿谷さん)
WFG日高さんが教える名門ローファー
“カタチは似ててもシルエットは違うぞ”解説
日高さん
[イギリス的]エドワード グリーンのミルフィールド
「スマートでシュっとした端正で流麗なフォルム」
[イギリス的だけどアメリカ的]クロケット&ジョーンズのヘンドン
「英国的スマートさに米国的ポッテリも加味したフォルム」
[フランス的]ジェイエムウエストンの#385
「堅牢性を感じる、しっかりボリューミィ・フォルム」
[アメリカ的]ジーエイチバスのラーソン
「踵はコンパクトながら、トウはポッテリのフォルム」
ワールドフットウェア ギャラリー ディレクター
日髙竜介さん
[愛靴:WFG×オリエンタル ジョセフ Ⅱ]
靴好きが高じて製薬業界から転身。古今東西の名靴に足を通してきたが、最近のお気に入りは写真のモンク靴。「スリッポン感覚で気軽に履け、撥水スエード&ラバーソールで雨にも強い。デザイン的にも幅広い装いに合うので、気がつくとこればかり履いています」
編集・ライター
小曽根 広光さん
[愛靴:ジェイエムウエストン ゴルフ]
兄弟誌「MEN’S EX(メンズ・エグゼクティブ)」のエースとして活躍するほか、多数の雑誌やWEBでも執筆。クラシックな装いと靴が好み。「じつは昔はモード好きでしたが、12年前にゴルフを買って徐々にクラシック志向に。“今のボク”を作った大切な靴です」
スタイリスト
武内雅英さん
[愛靴:パラブーツ ワークブーツ]
ドレスにもカジュアルにも強く、全編集部員が頼りまくり。撮影現場ではいつもサンダル履きだが、名靴を多数所有し、とくにブーツのコレクションはかなりのもの。「このワークブーツは廃番となると知って慌てて購入。ワークブーツなのに革が柔らかで極上の履き心地です」
ビギン編集長
イチカワ
[愛靴:ブルックスブラザーズ タッセルローファー]
若い頃から給料の大半を靴に注ぎ込んできた靴バカ。このタッセルローファーはオールデンがブルックスのためにOEMしたもの。「日本ではモディファイドのVチップが人気ですが、本国ではこのアバディーンラストのタッセルも大定番。所有オールデンの中で一番思い入れがあります」
イラストレーター
綿谷 寛さん
[愛靴:山陽山長 岸三郎]
ご存じ、日本で最も忙しいファッションイラストレーター。この日お持ちいただいた愛靴は、ご自身がデザインを担当し、3年前に50足限定で発売されたもの。「じつは古いロブ・ロンドンのカタログにあった靴から着想。ギリーのホワイトバックスって珍しいでしょ?」
※表示価格は税込み
[ビギン2022年10月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。