ラグビーワールドカップを制した金髪の世界的名手ファフ・デクラークが日本でプレー!
金髪のロングヘアをなびかせ、ラグビーワールドカップ2019日本大会では準々決勝で日本代表を、そして世界の並み居る強豪を次々と蹴散らしたあの名手が3年ぶりに日本へやってきた。
南アフリカ代表の一員として同大会優勝に大いに貢献したファフ・デクラーク、同代表39キャップ(テストマッチ出場試合数。2022年8月17日現在)。世界屈指のサイズを誇る同代表の中ではかなり小柄だが、強気なプレーで有効なアタックを仕掛け、ディフェンスの局面でも体を張って身長2m級の相手を止める世界屈指のスクラムハーフだ。彼の巧みなプレーに思わずイラついた相手選手につかみかかられても笑顔で応じる強心臓ぶりは、日本のファンにも広く知られることとなった。
イングランドのリーグ、プレミアシップのセール・シャークスでプレーしてきたデクラークが、日本のリーグワン(ディビジョン1)の横浜キヤノンイーグルスと契約した。7月にはイーグルスのホストスタジアムのひとつであり、ラグビーワールドカップの決勝の会場にもなった日産スタジアムで入団会見イベントが行われ、スタンドには約700人のファンがその姿を一目見ようと詰めかけた。

デクラークの横浜キヤノンイーグルスでの第一声はこうだ。
「チームの一員になれて本当に光栄です。そして今日、ワールドカップで優勝したこのスタジアムに再び戻ってこられたことをうれしく思います。
このチームで(リーグワンの)トロフィーを勝ち取りたいと意気込んでいますし、世界でもベストなチームと言われるような存在になりたいです。イーグルスの選手たち、そしてコーチ、スタッフが一丸となれば絶対に達成できると思っていますので、今からすごく楽しみです。
できる限り多く勝利を得て、皆様が誇れるようなパフォーマンスをお見せしたいと思います。そしてプレーだけでなく、若手の選手やファンの皆様にいろいろな面でいい影響を与えていきたいと考えています」
ワールドカップ時に長く過ごしたことで、日本、そして横浜のことが好きになったという。
「横浜はワールドカップの期間中に長く過ごしました。本当にいい街だと思いますし、すごく刺激的です。また日本に戻ってきてその文化に溶け込みたいと思っています。
リーグワンで展開されているラグビーは、皆よく走り、よくボールが動くのでワクワクしますし、とても楽しみです。日本のリーグのスタンダードは非常に高くなっていますし、日本人選手も若手がしっかり育っていて成長を感じます。
私もこのリーグで自分の力を発揮してチームに貢献したいと思っていますし、将来の日本のラグビーのためにもがんばりたいと思っています」

すでに横浜キヤノンイーグルスに所属している南アフリカ代表のジェシー・クリエルからは「すごくいいチームだよ」と聞いていたという。リーグワンの他チームにはマルコム・マークス(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、ウィリー・ルルー(トヨタヴェルブリッツ)、そして加入が決まっているルード・デヤハー、ダミアン・デアレンデ(以上、埼玉パナソニックワイルドナイツ)といった現・南アフリカ代表の中心選手がずらりと揃っており、ファンはもちろんデクラーク自身も彼らとの対戦を心待ちにしている。
アタックの組み立て役となるハーフ団(スクラムハーフとスタンドオフのコンビ)を組む機会が多くなりそうな、横浜キヤノンイーグルスの中心選手であるスタンドオフの田村優についても語っている。
「本当に素晴らしい選手だと思っています。日本代表での彼のプレーは怖いもの知らずで、何にでも果敢にチャレンジしている印象です。ジェシー・クリエルからチームのことをいろいろ聞いていますが、彼がチームのスタンダードを上げているそうですね。彼とコンビを組むことになったらお互い切磋琢磨して成長できれば、と思っています。フォワードとバックスの間をつなぐ9番(スクラムハーフ)、10番(スタンドオフ)のコンビネーションが強いチームには不可欠ですので、ぜひそうなりたいです」
現在は、8月に開幕し9月まで行われる南半球4カ国対抗戦「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」に参戦中。11月のテストマッチにも出場の見込みと多忙を極めるが、横浜キヤノンイーグルスでの活躍を力強く語ったデクラーク。リーグワンが開幕する12月から、ワールドクラスのプレーを日本で見せてくれるはずだ。
齋藤龍太郎
《ワールドワイドにラグビーを取材中》
編集者として『ラグビー魂』をはじめとするムックや書籍を企画。2015年にフリーの編集者兼ライターとなり、トップリーグをはじめ日本代表の国内外のテストマッチ、ラグビーワールドカップを現地取材。フォトグラファーとしても活動。著書に『オールブラックス・プライド』(東邦出版)。
文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)