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世界の精鋭が出場!日本ラグビー最高峰の「矛・盾」対決を制しリーグワン初代王者となるのは

リーグワンのプレーオフトーナメント決勝は、トップリーグのラストイヤーとなった昨年と同じ組み合わせの、日本が世界に誇る名門同士の対戦となった。

今年1月の歴史的幕開けから約5カ月に渡り開催されてきたラグビーの新リーグ「ジャパンラグビー リーグワン」。最上位層「ディビジョン1」の12チーム、ディビジョン2・3の各6チーム、計24チームによって行われてきたが、開幕から新型コロナウイルスの再拡大により、試合の中止や外国人選手の来日の遅れなどの影響が出た。

昨年まで開催されてきたトップリーグから移行して1年目ということで運営面では様々な課題が残ったが、その一方でディビジョン1の上位チームを中心にレベルの高い見応えのある試合が多く、今後の日本ラグビーに対する期待が膨らむリーグワン元年になったと言えるだろう。その中心的存在が、リーグ戦を1位通過した東京サントリーサンゴリアス(以下、東京サンゴリアス)と2位の埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉ワイルドナイツ)だ。冒頭で記したとおり昨年のトップリーグ決勝で対戦し、今回のリーグワン初代王者を決める決勝でも激突する2チームであり、埼玉ワイルドナイツは連覇を、東京サンゴリアスは4年ぶりの戴冠を目指す大一番となる。

「アグレッシブ・アタッキング・ラグビー」を標榜する東京サンゴリアスは、開幕から自慢の攻撃力を見せつけながら勝利を重ねてきた。不戦勝の3試合を含め14勝2敗、勝ち点66(不戦勝で付与された勝ち点15を含む)。577得点(同63点を含む)、286失点、78トライはいずれもリーグ1位と、首位通過を裏付ける成績を残している。シーズン途中で打ち切りとなった2020年を除けば5シーズン連続で決勝に進出しながら、2017年を最後に王座から遠ざかっているだけに、選手もコーチ陣も「今季こそは」という思いが強いはずだ。

その中心的存在となっているのが、現キャプテンのCTB(センター)中村亮土、元キャプテンのSH(スクラムハーフ)流大といった、日本代表として2019年のラグビーワールドカップ日本大会などで活躍した経験値の高いバックス陣だ。

東京サンゴリアスCTB中村亮土キャプテン
シーズンを通して勝利に貢献してきた東京サンゴリアスCTB中村亮土キャプテン

さらに、今季加わった現ニュージーランド代表「オールブラックス」のFB/SO(フルバック/スタンドオフ)ダミアン・マッケンジーによる圧巻のパフォーマンスもチームの快進撃を支えている。リーグ戦では191得点で今季の得点王となり、準決勝(○30-24)の東芝ブレイブルーパス東京(リーグ4位)戦でも総得点の半分に当たる15得点をマークして勝利に貢献、プレイヤー・オブ・ザ・マッチにも輝いた。決勝でもキーマンになるはずだ。

超攻撃的な東京サンゴリアスとは対照的に、埼玉ワイルドナイツは堅牢なディフェンスが持ち味のチームだ。個々の精度の高いタックルと組織的な防御網で相手の思うようにアタックをさせず、隙あらば素早く力強いジャッカルでボールを奪い相手のチャンスの芽を摘む。そこから一気にアタックに転じ、気づけば80分間で相手を上回るスコアを残すのが埼玉ワイルドナイツのおなじみの勝ちパターンだ。

今季はリーグワンの栄えある開幕戦を戦うはずだったが(相手はクボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、新型コロナウイルス陽性者、濃厚接触者が確認されたため第2節までの2試合は不戦敗となった。しかし第3節からはリーグ戦14連勝と圧倒的な強さを見せ、終わってみれば14勝2敗、勝ち点61で2位。第7節はホームの熊谷ラグビー場(埼玉県)で東京サンゴリアスを34-17で退けており、コロナ禍からの完全復活を遂げた。リーグ戦527得点は東京サンゴリアスの不戦勝3試合分(63得点付与分)を除く514得点を上回っており、反則数134という規律の高さも際立っている(東京サンゴリアスは150)。準決勝はクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(リーグ3位)を24-10で下し、さすがの防御力で相手をロースコアに抑えて快勝した。

その一戦でもキーマンとなったのが、ベテランHO(フッカー)堀江翔太だ。リザーブとして主に後半から出場し、決勝もリザーブ登録となったが、堀江が投入されてからセットプレーやディフェンスの精度が一層向上する。アタックでもボールキャリーやハンドリングスキル、時には絶妙なキックでチャンスを演出し、今年は2019年のラグビーワールドカップ以来3年ぶりに日本代表候補に選ばれた。決勝でも試合途中からの活躍が期待される。

埼玉ワイルドナイツHO堀江翔太
主に後半から出場しチームにモメンタムをもたらす埼玉ワイルドナイツHO堀江翔太

また、バックスにはマッケンジーに劣らない世界的スター、現オーストラリア代表WTB(ウイング)マリカ・コロインベテが構えている。自陣深い位置からでも自慢のフィジカルとスピードで確実に前進し、一気にトライチャンスにつなげるラインブレイカーだ。決勝でもトライ、またはトライのきっかけとなるプレーが見られるだろう。

日本最高峰のアタックとディフェンス、いわば矛と盾のぶつかり合いを制しリーグワン初代王者となるのはどちらか。5月29日(日)15時、国立競技場でキックオフを迎える。

編集者兼ライター
齋藤龍太郎

《ワールドワイドにラグビーを取材中》
編集者として『ラグビー魂』をはじめとするムックや書籍を企画。2015年にフリーの編集者兼ライターとなり、トップリーグをはじめ日本代表の国内外のテストマッチ、ラグビーワールドカップを現地取材。フォトグラファーとしても活動。著書に『オールブラックス・プライド』(東邦出版)。

文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)

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