特集・連載
2022年~:HIT予測
スニーカー賢者3人の「2022年コレ履きたいSELECT」
傑作スニーカーの超現代ヒストリー '90s~2010年代編 1900年代から始めるのがスニーカー史のセオリーですが、今回は雑誌ビギン創刊の1988年を起点に超現代をフィーチャー! この記事は特集・連載「傑作スニーカーの超現代ヒストリー ’90s~2010年代編」#17です。
スニーカー賢者3人が2010年代を振り返りつつ、この先のキーワードを占ってくれました。
《ファッション界随一の定番スニーカーラバー》
にしのや 代表
西野大士さん
「2022年はベーシックなファッションに遊びの効いた定番が気分です」
大人気のパンツブランド、ニートのデザイナーを務める。ニートとニューバランスの着こなしは、国内外から熱狂的な支持がある。
《スニーカー界の生き字引》
アトモス メンズシニアディレクター
小島奉文さん
「2022年は各メーカーがこぞってʼ80s~ʼ90sスニーカーに力を入れています」
世界各国のアトモスを束ねる、メンズチームのディレクター。スニーカーフリークから神のごとく崇められる、シーンのキーマンだ。
《マイナースニーカーからアウトドア系まで精通》
ジャーナルスタンダード ディレクター兼バイヤー
松尾忠尚さん
「2022年は“トラッド崩し”にいなたいコートシューズがちょうどいい」
休日はトレラン、キャンプ、スノーボードに興じる大の山好き。いち早くホカ オネオネを見出して、セレクトしたことでも知られる。
2022年はナニがくる!? スニーカー賢者の未来予想会議
松尾 振り返ると2010年代は第二次スニーカーブームといわれるほどの盛り上がりでした。ただ前半はまだトラッドなファッションが主流。足元としてはスニーカーの気運じゃなかったですよね?
西野 まさに僕は革靴ばかり履いていました(笑)。
小島 スニーカーショップからしても、好調とは言えませんでしたね(苦笑)。ただ気運が高まったのは、2013年に登場したアディダスのブーストがきっかけだったと思います。
松尾 なるほど。「バネのような反発力」で一世を風靡した、ミッドソールテクノロジーですね。
小島 ’90年代のエアマックスだったり、スニーカーシーンって技術のイノベーションがブームの始まりやきっかけになりやすいんです。ブーストはカニエ・ウエストとのコラボ、イージーが2015年頃からスニーカーブームを牽引しましたからね。
西野 たしかに! 僕もそのあたりから、ほとんどスニーカーしか履かなくなりました。
小島 あと2010年代のスニーカーブームは’90年代のリバイバルもキーワードですよね。西野さんがお持ちのエアマックス96も、まさにそうした一足でしょう。
NIKE[ナイキ]
エアマックス96
エアマックス95の後継機。メッシュにレザーを重ね、ティアドロップ柄を浮かび上がらせたデザインが独創的! こちらは2016年に一度だけ復刻されたもの。本人私物。
西野 ’90年代のリアルタイムではあまりピンとこなかったけど、ぼてっとしたフォルムとか今見るとイイ。いわゆる“いなたい”感じ。
松尾 そうなんだよな~(笑)。あと大人になると、昔欲しくても買えなかったモノが無性に欲しくならない?
西野 わかります!
小島 じつはそれ、大手メーカーもマーケティングの戦略として重要視してるんですよ。
西野 そうなんですか!?
小島 例えばこのモデル、懐かしくないですか?
adidas Originals[アディダス オリジナルス]
アディマティック
1996年誕生のスケートシューズが初の復刻! 日本国内ではアトモス、アディダスのみで展開する。1万2500円(アトモス カスタマー)
松尾 え? これってもしかしてアディダスのアディマティック?
西野 うわ~、懐かしい!
小島 じつは長年のリクエストが実って、今年の3月にアトモスで発売することになりました。
松尾 これはいい! さすが渋いところ突いてきますね~。
小島 でしょ? まさに大人になって欲しくなるモデル(笑)。あと、古着文化に興味を持った10~20代の若者に’80~’90年代のスニーカーが人気で、シーン全体としてもトレンドになっていますね。
西野 確かに、若者の間でネオ・ヴィンテージ加工という履き込んだようなカスタムも人気ですしね。
小島 そうそう。松尾さんがお持ちのヴィンテージライクなコートスニーカー、オートリーも個人的に気になってます。
AUTRY[オートリー]
01 LOW MAN GOAT
1982年創業、「アメリカ国旗の靴」という愛称で親しまれたオートリー。クラシカルながら鮮度も◎だ。2万3100円(ジャーナル スタンダード 表参道)
松尾 ありがとうございます! こういうマイナーブランドは新鮮だし、西野さんが言ったようないなたさも気に入りました。最近はまたトラッドな気分が再燃しているけど、足元まで革靴やブーツってほどかっちりした気分じゃなく、まだ抜けが欲しい。そんな“トラッド崩し”にちょうどいいなって。
西野 わかります! コロナの影響か、世の中的にも洋服屋的にもファッションはベーシック志向が続きそう。だから僕は、デザインや色に遊び心のある定番スニーカーで抜け感を出したいですね。
小島 こうして聞くと、改めてスニーカートレンドはファッションとリンクしているなぁと思います。
西野 たしかに! ヴィンテージライク、いなたいレトロなスニーカーは要チェックですね。
小島 各メーカーも’80~’90年代モノに力を入れているので、そちらも楽しみです。
松尾 ソレ、全40代が歓喜しそうですね(笑)。
※表示価格は税込み
[ビギン2022年3月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。