メルセデスベンツ×蕎麦という異色のコラボ。港屋3の「あったかい肉そば」【全国制覇!? 日本の立ち食いそば】

Vol.55

六本木　Roppongi港屋3
“Minatoya 3”

あったかい肉そば
1200円
Warm Niku Soba (Meat Soba) – 1200 Yen

虎ノ門・愛宕下通りにあった港屋は、漫画をはじめ各種メディアに多く取り上げられたこともあり、立ち食い蕎麦好きでなくとも知られた存在だった。港屋が切り拓いたお洒落な立ち食いのスタイルは多くのお店に影響を与えたものだが、惜しまれつつ2019年に閉店。

その港屋が六本木にやってきた。ちょっとスタイルを変えて、しかもメルセデスベンツとのコラボだという。しかし、立ち食い蕎麦とベンツ、なんだその組み合わせ？あれこれと疑問が渦を巻く。これはまず食べてみねばなるまい。

六本木（あるいは乃木坂）から外苑東通りを進むと見えてくるのがメルセデスベンツのショールーム。お洒落なカフェが併設され、そのちょい裏手に目指すお店があった。

黒を基調としたシックで威圧感ある外観からは、いわゆる立ち食い蕎麦ではない「B級感」「路麺感」とは異質のお洒落さが漂ってくる。

お店の前には最新のベンツ車がさりげなく停まっているが、残念ながら門外漢のわたしには車種がわからない。バイクだったらわかるんだけどなあ。

お店に入ると、にこやかなスタッフがお出迎えしてくれる。黒服なギャルソン風で、長身細身のイケメンぞろいだ。入り口で注文・支払い。メニューはひとつだけ。「あったかい肉そば」のみ。“Mercedes-AMG GT Attakai-Nikusoba”が正式名称。なるほど、あのクルマはそういう車名だったのかな？　お値段はなんと1200円。立ち食い蕎麦の常識を凌駕した価格には驚きしかない。

■蕎麦：蕎麦粉は含有しているようだが、味・食感ともにほぼ中華麺。硬すぎずちょうどよい茹で加減。細切り海苔の山盛りに胡麻。
■つゆ：鶏主体であろうスープに甘めのカエシ。甘辛く煮込まれた豚バラ肉、どっさりネギ。胡椒と山椒がアクセント。
■玉子：生卵つき

うーん、立ち食い蕎麦であると主張していらっしゃるが、これはむしろ普通に「つけめん」。かといって悪くはないです。そう考え直して食べてみると、汁には見た目ほど脂気がなくて、むしろあっさりしたつけめんとして見ればヘルシーさがちょうど良いバランス。海苔の香りが和風。

そしてこれは想像ですが、ベンツを買いに来るお客さんはヘルシー志向なんじゃないだろうか。「お洒落かつヘルシー」。コラボの理由はここにあるな、と納得。

ある程度食べ進んだところで、生卵をつゆに割り入れて麺とともにすする。マイルドなまったりさが増して甘めのつゆとよく合う。

このお店ならではのサービスが、セルフでいただける蕎麦湯。店内なかほどに蕎麦湯作成コーナーあり。粉を器に適量とり、ポットのお湯で割る。もちろんつけ汁に蕎麦粉を入れるのもお好みですが、風味をより楽しむにはお湯割りだけのほうがよさそうです。

お値段からしてそう何度も行けるものではないが、異次元な路麺体験は刺激的。一度は食べてみて損はないと感じました。

■DATA
東京都港区六本木7-3-10
千代田線・乃木坂駅 徒歩3分
営　11：30〜16：00、17：00〜22：00（売り切れ仕舞い）
休　不定休
評価は2点　☆☆

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情報提供・監修／ケビン（平林啓一）
オートバイに乗って900軒の立ち食い蕎麦店を探訪。最盛期には年間300軒を食べ歩く。立ち食い蕎麦チェーン店・個人経営店にかかわらず食す。また、生めん・茹でめん・冷凍めんにこだわらず、どれも大好き。