バウハウスを知り尽くすマイスターに聞く“身近なバウハウス”とは?
浅葉克己さん
【Q】uestion
―「モダンな感じでカッコいい」。浅葉克己さんに聞く“身近なバウハウス”
バウハウスイズムの実践は、自分なりの羅針盤を持つこと
―桑沢デザイン研究所の所長を務め、バウハウスの教えを実践されている浅葉さんにとって、ズバリ身近なバウハウスとは?
「今日のシャツの色のような黄・青・赤の三原色、フーツラに代表されるフォント、そてパウル・クレーが描いた羅針盤ですね」。
―ではそのバウハウスが生み出したモノの魅力を一言で表すと何なのでしょうか?
「難しく捉えれば公共性に尽きますが、単純に捉えればモダンな感じでカッコいい。時代を問わず、クリエイティブな発見につながる要素が常にある事だと思います」。
―モダンでカッコいい。確かに親しみやすい言葉ですね。
「新しい何かを創り出すヒントは、昔の経験や古い物にもあって、私にはそれが今なお新しい一面を見せてくれるバウハウスでした」。
―バウハウスイズムの実践ですか?
「大きくは生き方そのものですが、東西タイポグラフィの研究と60年以上書き続けている日記もまた、私の中にあるアイデアとこれからの行き先を記した羅針盤であり、バウハウスイズムの実践と言えるでしょう」。
「日本語に直訳すると非常に陳腐になるものの、これぞバウハウスという傑作」というパウル・クレーは、1920年代に記したバウハウスの教育指針をコンパスになぞらえた。
桑沢デザイン研究所 所長
浅葉克己さん
1940年生まれ。佐藤敬之輔タイポグラフィ研究所を経て桑沢デザイン研究所に入学。1975年に浅葉克己デザイン室を設立。アートディレクターとして多くの受賞歴を持ち、現在は桑沢デザイン研究所の第10代所長も務める。
60年以上に渡り、浅葉さんのライフワークのひとつという日記。お菓子の包装紙等から生まれた小さなインスピレーションから、その日に浮かんだアイデアまで、自分なりにまとめたもの。
※表示価格は税抜き
[ビギン2019年11月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。