特集・連載
足元の装いは靴下から ‐「ソックス」の教科書
定番の教科書 ネイビージャケットやB.D.シャツ、チノパンといったお馴染みの服はもちろん、スニーカーやデイパに代表される靴、鞄、さらにはスポーツカーや食べ物まで、どのカテゴリにも、いつの時代も変わらない「定番モノ」が存在します。いまもなお、定番が定番たる所以とは? 歴史、ウンチク、名作から今買える新傑作まで、世の定番モノをじっくりわかりやすく解説します。 この記事は特集・連載「定番の教科書」#10です。
HISTORY
季節を問わず、誰もがほぼ毎日身につけているソックス。
その歴史は、紀元前までさかのぼるともいわれ、現在のようなファッションアイテムとして定着するまでには、とても長い時間が必要だった。
わが国においては、普及にあたり武士が一役買っていたとも伝えられるソックス誕生まで――。
歴史はもちろん、作られ方や選び方を学ぼう。
写真は、縫製途中のソックス。その縫製工程を大まかに分けると、編み機とミシンの2つになる。まずは100~200本の針をシリンダーで回転させる靴下編み機で、穿き口から筒状に編み進んでいく。その後、空いているつま先部分を専用のミシンで縫い閉じれば完成というわけ。
定番アイテムの基礎知識
服
【ソックス】
●脚部を覆う袋状の衣類のこと。
●くるぶしから膝上まで、さまざまな丈があり、編み物で作られる。
現存する最古の靴下は、5世紀頃エジプトで作られた子ども用のもの。紀元前2~3世紀に書かれた文献のなかにも登場しているように、ソックスの歴史はとても長い。1000年代に入ると、ヨーロッパで絹や木綿など布を縫い合わせたものが用いられるようになり、その後、手編みの防寒衣料として広まっていったと考えられている。
現在のようなファッション性を持ち始めるのは1500年代、貴族の男性が半ズボンを穿きだしたのがきっかけ。さらに1589年、イギリス人のウィリアム・リーが靴下編み機を発明し、徐々に機械編みへと移行していった。
一方、日本では、江戸時代中期に手編みの手法が伝わり、足袋の代用品として靴下が編まれるように。明治時代初期には、手回しの編み機が輸入され、本格的に工業化を迎えた。ソックスが庶民の手に届くようになったのは、わずか100年ほど前のことなのだ。
写真/大嶽恵一 文/井上健太郎 スタイリング/四方章敬(CODE) 取材、写真協力/広陵町靴下組合 ナイガイ靴下博物館 グレン・クライド
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