知ってるだけで優越感♪な文豪ペン
文豪が愛した名作万年筆のパー書(ショ)ナリティ
文字通り“万年”使える一生モノのペン。とはいえ、その数は膨大ゆえにどれを選べばいいのかが悩みどころです。そんなときは、名だたる文豪が愛した一本をセレクトすれば、書くときはもちろん、持ってるだけで優越感もひとしお。使い込むうちに文にも“味”が出てくるはずです。
Montblanc/モンブラン
マイスターシュテュック149
万年筆の代名詞として知られ、数多くの文豪に愛されてきた王道モデル。キャップのトップにはモンブランのシンボルマーク。9万5000円(モンブラン コンタクトセンター)
書くとこんな感じ
「手の指の一本になってしまっている」——開高 健
『裸の王様』をはじめ、小説からノンフィクションまで幅広い作品を残した開高 健。文章の一言半句、釣り、食、酒と多分野に強いこだわりを持つ男をして「6本目の指」とまで言わしめたのがこの一本です。
便利な世の中だからこそ、たまには万年筆で文字を書く。彼が作ったトリスのコピーのように“人間らしくやりたい”ですね。
モンブランを愛した文豪たち
池波正太郎(1923-1990)
『鬼平犯科帳』、『剣客商売』などを残した時代小説の大家。時代を超えた男の教科書『男の作法』で、万年筆は男の武器と語っている。
三島由紀夫(1925-1970)
『仮面の告白』、『金閣寺』、『潮騒』など現代にも語り継がれる名作を次々と執筆し、ノーベル文学賞の候補にも挙げられた小説家。
星 新一(1926-1997)
代表作『ボッコちゃん』
をはじめ、ショートショート(掌編小説)の神様と謳われた小説家。透明の窓がついたモンブランを愛用していた。
Pelikan/ペリカン
スーベレーンM600
ドイツ語で「優れもの」を意味するシリーズ。ペリカンらしい縦縞が美しく、程よい柔らかさと弾力を兼ね備えた書き心地。入門としてもオススメの一本。4万円(ペリカン日本)
書くとこんな感じ
「もの書きの心」——井上ひさし
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく……」という信念を掲げ、『ひょっこりひょうたん島』の生みの親として知られる作家、井上ひさし。
自身も愛用し、政治家の穀田恵二に「もの書きの心を貰ってほしい」と渡したのがこの万年筆なんです。小難しいことを考えず使い始め、その深い魅力を知っていくのも粋ですね。
ペリカンを愛した文豪
井伏鱒二(1898-1993)
『山椒魚』や『黒い雨』を代表作に持つ小説家。ペリカンの500NNを愛用し、作中では万年筆を使った比喩を用いて雨を描写している。
Parker/パーカー
デュオフォールド
1921年の誕生以来続くフラッグシップモデル。ビッグレッドは、黒一色が基本だった時代に驚きを与えた。センテニアル万年筆9万円(ニューウェル・ラバーメイド・ジャパン)
書くとこんな感じ
「やっと出会えた 人生でもっともしっくりくるペン」——アーサー・コナン・ドイル
『シャーロック・ホームズ』の著者、アーサー・コナン・ドイルが惚れ込んでいたのはデュオフォールド。その書き心地は「力を入れなくてもいいからシャーロック・ホームズを生み出すことに集中できた」と本人が語っているほど。
彼にどんな万年筆を選べばいいか尋ねたら、きっと「初歩的なことだよ」とこれを取り出すでしょう。
パーカーを愛した文豪
司馬遼太郎(1923-1996)
『竜馬がゆく』、『燃えよ剣』、『坂の上の雲』などの歴史小説で知られる作家。パーカーを片手に、過ぎし時代に想いを馳せていた。
Maruzen/丸善
丸善ストリームライン オノトモデル万年筆
イギリスのデ・ラ・ルー社の銘品オノトを彷彿させる精緻な装飾が目を引く。14Kのペン先には、夏目漱石が使っていた原稿用紙のデザインを再現した龍があしらわれている。3万2000円(丸善 丸の内本店)
書くとこんな感じ
「大変心持ちよく すらすら書けて愉快であった」——夏目漱石
夏目漱石が使っていた万年筆は英国デ・ラ・ルー社のオノト。すでに生産は終わっていますが、丸善がオリジナルモデルとしてリメイクしました。
書いていることを意識しないほどすらすらと、愉快に言葉を綴っているうちに、いつしか我執を捨て自然の道理に従って生きるという「則天去私」の境地に辿り着いたのかもしれません。
数々の文豪が愛した原稿用紙がノートに
Manjuya
満寿屋のMONOKAKI N1
井上ひさし、司馬遼太郎、三島由紀夫らが使っていた満寿屋の原稿用紙。その万寿屋が、万年筆での書き心地を意識して開発したプロ仕様のノート。B5判罫あり。1400円(満寿屋)
※表示価格は税抜き
[ビギン2019年3月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。