特集・連載
目の肥えた「お洒落のプロ」は10年(超)手帳を手放さない!
お洒落のプロの手帳は何だ? デジタル化が急加速する今、お洒落のプロはどんな手帳を使っているのか気になる~というわけで、有力ブランド&ショップの皆さんが愛用している手帳をリサーチ。延べ100社(300人以上!)に聞いてみたところ、今も紙の手帳にこだわっている人は、ざっと4人に1人!? 愛用者の声を聞けば今なお……じゃなく、今だからこそあえて手帳を使う意義が見えてくるはずです! この記事は特集・連載「お洒落のプロの手帳は何だ?」#01です。
便利が加速してる令和時代にあってもなぜ手帳を使い続けるのか……。10年以上同じ手帳を愛し抜く服飾業界きってのモノ好きたちの相棒自慢を通して、デジタル時代におけるアナログな手帳の存在価値を調査しました!
[30年選手]原宿キャシディ 八木沢博幸さんの
オードリー・バックナー
’80年代後半~’90年代に日本でも人気を博したNYのタイ&革小物ブランド。八木沢さんは約30年前に自らNYでこの手帳を買い付けたそう。
「成金感のある見た目が往時の思い出を呼び起こしてくれるんです」―八木沢さん

当時4万円くらいした高級品で、売れ残ったら大変だと自ら2回払いで清水買いした甘酸っぱ~い思い出が(苦笑)。
スマホの登場で、普通は手帳を使わなくなるのかもしれませんが、僕はその反対。ほとんど操作できないのに購入してしまったスマホを入れるのにジャストサイズだから、逆に使用頻度が増したんです。
スケジュール管理やメモ用としてはもちろんですが、やっぱり愛着があるのも手放せない理由。決して今っぽくはないかもしれませんが(苦笑)、これからも一緒に歳をとっていくと思います。
原宿キャシディ 八木沢博幸さん
原宿の老舗セレクトショップの名物店長。柔らか~い物腰と独自の目利きで服飾業界内にもファン多数。モノを長く愛する姿勢に敬礼!
お得意のスケッチなども描き記すアイデア箱の役割も
[20年選手]Pt.アルフレッド 本江浩二さんの
ホワイトハウスコックス&Pt.アルフレッド
ロンドンカーフを使用した本作は、WHCに別注した2トーン仕様。また、高い耐久性を備えており、ヘタりにくいのもポイントだ。
「今の時代、手帳持ってるだけで仕事できそうに見えるでしょ!?」―本江さん

仕事できます!アピールのツールとして、ウチのオリジナルと、ホワイトハウスコックスを交互に使っています。
前者はボディがコードバンで、経年変化によって革のツヤがアップ。後者はロンドンカーフを採用していて、傷がつきにくく色鮮やかなのが特徴。
仕事別に使い分けていて、どちらも先方からのウケが上々。作戦大成功じゃないですかね(笑)。
Pt.アルフレッド 本江浩二さん
チノパンといえばココな、同店のレジェンド。PCでもスケジュールを管理しているが、手で書く手帳のほうを絶対的に信頼している。
今買えるのはコレ!
Whitehouse Cox&Pt.Alfred
[ホワイトハウスコックス&Pt.アルフレッド]
手帳
表面はコードバン、裏面にはカーフを採用したオリジナル品。カードポケットなども充実。12×17cm。3万3000円。(Pt.アルフレッド)
[15年選手]ザ・スーツカンパニー藤長 淳さんの
イル ビゾンテ
イタリア製の重厚感ある牛革カバーがお気に入り。
「育て甲斐のあるレザーにビビッと反応しました!」―藤長さん

この手帳に出会う前、気に入ったモノが見つかりませんでした。でも2004年の出張時のミラノで発見し、即買い。
今では、ベジタブルタンニンなめし革のしっとりとした質感にすっかり虜で、眼鏡ケースやキーケースもこの革で揃えています。
デジタルツールもいいですが、手帳に書くことで、当時を振り返れるのも魅力ですね。
ザ・スーツカンパニー 藤長 淳さん
TSCをコントロールするブランドのキーマン。愛用する手帳はリフィルがキレイに保てる、巻き込み構造もお気に入りのポイントなのだとか。
今買えるのはコレ!
IL BISONTE[イルビゾンテ]
フラップシステム手帳
「6穴バインダー バイブルサイズ」14.5×20cm。3万9000円。(ルック D.C事業部)
[12年選手]エース 吉原勇一さんの
アシュフォード
1982年からシステム手帳を製造し続ける国内のブランド。吉原さんはリフィルも同社の同じ製品を愛用し続けているのだそう。
「デスクに置くだけで“できる”を漂わせてくれるビジネスパートナー」―吉原さん

社会人になってから何冊も使ってきて辿り着いた理想像、“シュリンクレザー”“黒”“芯地が使われていない”の3条件をクリアしたのがこの手帳。
相当吟味してコイツに出会って以来、不満は一切なし!使い勝手のいいサイズ感といい、シンプルな見た目といい、もう完璧ですね。
“できる”を漂わせる、という重責を担ってくれる相棒でもあります(笑)。
エース 吉原勇一さん
国内有数のバッグ&ラゲージメーカーの商品企画を担うMD統括部のマネージャー。手帳はクロスのペンとセット使いするのが鉄則。
[10年選手]スタイリスト 鈴木 肇さんの
エルメス
鈴木さんはエルメスの専用リフィルにおまけとして?付属する、月単位の早見帳をメイン使い(笑)。予定をギッシリ書き込んでいる。
「使い勝手は普通だけど(苦笑)、質がよすぎて持ち続けたくなる」―鈴木さん

昔は合皮カバーにステッカーをベタ貼りしてたんですが、独立後に大人の階段を上るべくエルメスデビュー。
やっぱり革の質感がよくて、ノーメンテでも全然ヤレない。
専用リフィルが大雑把な1時間刻みだったり、20時までしか記入できなかったりと使い勝手は微妙なんですが、品がよすぎてノートとW使いしてでも持ちたくなっちゃうんです。
スタイリスト 鈴木 肇さん
ビギンのファッション特集には不可欠な名参謀。売れっ子すぎてスケジュールがパンパンのため、手帳とモレスキンのW使いがマスト。
[10年選手]GMT 小島信裕さんの
オフィチーネ クリエイティブ
名だたるメゾンのOEMも請け負う伊の靴工場が手掛ける革製品ブランド。使い込んでからのほうが美しくなる革質のよさは絶品。
「朝晩確認するのが10年来のルーティンに」―小島さん

世代的にも重要事項は書いて覚えるクラシックスタイル(苦笑)。
だから手帳が不可欠なんですが、エイジング好きなら革質が命でしょ!ってことでコレを10年来愛用中。
予定をマメに確認する習慣がつくのも、手帳を持つ利点。グラデがかったブラウンのシボ革を見ると、自分も歳とったなぁとしみじみ(笑)。
GMT 小島信裕さん
トリッカーズやジャラン スリウァヤをはじめ、世界中の名靴を日本に紹介するGMT。その常務取締役にして無類の服好き。
[10年選手]アウターリミッツ 吉田 聖さんの
マキシマ
クオバディスのリフィルは、手に収まるこの形が理想と話す。また1週間の予定を日ごと、時間軸で管理しやすいのも愛用理由のひとつ。
「ゴージャスな素材と絶妙なサイズに♡」―吉田さん

オストリッチを使った手帳は、前職のときに購入したものです。10年経って素材特有の凹凸がなくなり、いい感じの味出しに成功したので手放せなくなりましたね。
それと出張が多いので、荷物はできるだけコンパクトに収めたいのが本音。
これならポーチにすっぽりと入るし、ペン差しも付いているのでいつでもどこでも連れて行ける。まさに相棒的手帳です。
アウターリミッツ 吉田 聖さん
ナイジェル・ケーボンを扱う、同社の頼れる兄貴。海外出張で移動が多いこともあり、手帳はコンパクトに使い勝手のいいものを選ぶ。
[10年選手]にしのや 西野大士さんの
クオバディス
お気に入りのステッカーをコレでもかと貼りまくりだが、もともとはクラシックな本革カバーなのだ。
「革の色みと中身の充実。この先10年もコレ使います!」―西野さん

服飾業界に入ったときから、リフィル含めこのブランドを愛用しています。
今ではステッカーをベタベタ貼っていますが、実はクオバディス“純正”の本革カバー。ありそうでない上品なオレンジ色に惹かれて購入しました。
中身は1週間のタイムスケジュールが一目でわかり、眺めているだけで楽しい細かい世界地図も好き。この先もコレしか使わないでしょうね。
にしのや 西野大士さん
有名ブランドのPRを務め、パンツブランド、ニートを手掛ける敏腕。たまに手帳の中身を読み返し、そのときの心情を思い返すとか。
今買えるのはコレ!
QUO VADIS[クオバディス]
16cmカバー デュオ
「DUO」16×16cm。8200円。(クオバディス・ジャパン)
[10年選手]レボリューションPR 田中 望さんの
B印 ヨシダ
日常で必要なカードやハガキなどが詰め込める、充実したポケット数。また表面のカーフは耐久性があり、ヘタりにくいのも魅力。
「手帳という域を超えてバッグ代わりになっています」―田中さん

当時、クオバディスのリフィルに対応した、数少ないお洒落な手帳カバーだったことが購入の決め手でした。
使ってみると機能がモリモリであることが発覚。カード室から封筒も入る大型ポケットと、コレひとつあれば事足ります。
ぶっちゃけバッグなしでもいいくらい。デジタルもいいけど、すぐに書き留めておけるところがこの手帳を使い続ける理由です。
レボリューションPR 田中 望さん
ジョンスメドレーやデンツなどを扱う、同社のPR。縦割りのリフィルのおかげで、スケジュールを組むのに何度も助けられたそう。
[10年選手]アバハウスインターナショナル 齋藤玲緒奈さんの
マキシマ
コスパの高さに定評のあるイタリアブランド。簡単なメモはラミー、署名はモンブランと用途ごとに使い分けるため2本差ししている。
「家族との思い出作りを支えてくれる必需品」―齋藤さん

黒のオストリッチ!という希少性に惹かれて購入したんですが、ここまで艶やかに経年変化するとはいい意味で予想外でした。
ただ仕事の予定はグーグルを使って部署内で共有してるんで、こっちはもっぱらプライベート用。
家族とのあれこれが詰まってるからか、カバーは言うまでもなく使用後のリフィルにも愛着が湧いちゃうんです。
アバハウスインターナショナル 齋藤玲緒奈さん
人気ブランドのマーケティング部の長。無類の黒好きで、身の回りのアイテムは公私ともに黒で固めるのがマイルールなんだとか。
※表示価格は税抜き
[ビギン2020年3月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。