服飾べしゃり力が身につく[小林学の小噺学]
傷つかないと出ないオーラがある。オーベルジュ・小林学さんが語る「リモワ」愛
服好き同士のしゃべり場で日夜繰り広げられる服飾トーク。知らなくても生きていけるネタを披露し合う瞬間こそ、服好きには至福のジ・カ・ン。ということで、業界屈指の服飾べしゃり力で洒落者を引き込むオーベルジュの小林さんを指南役に迎え、即話したくなる小噺をレッツ・スタディ♪

オーベルジュ デザイナー
小林 学さん
服飾漫談師
1966年生まれ。ヴィンテージにモードにフレンチと守備範囲は宇宙。べしゃり力も業界随一で、自身のYouTubeチャンネルでも服好き垂涎の小噺を軽快に繰り広げる、服飾亭の止め名。ちなみに題字は愛娘の小林凛さん著!
《リモワの黒アルミスーツケース》
「傷つくとより雄々しさが増すから旅慣れ度を主張する小物としても最適」

長期の旅行や出張に持っていくラゲッジって、正直周囲に自分の“旅慣れ度”をアピールする小道具の役割もありますよね(苦笑)。だからこそ、どこのラゲッジを選ぶのが正解か迷っている人も多いんじゃないでしょうか。
僕は散々旅にも出張にも行って、ラゲッジにまつわる経験値を山ほど積んだ結果、リモワの『トパーズ』のブラックに辿り着きました。実は、若い頃はリモワなんて選択肢になし。80年代からのアメリカンヴィンテージマニアとしては、“いつかゼロハリバートンのヴィンテージのアルミ合金ラゲージを持つ!”というのが夢で、他は眼中になかったんです。
でも時を経て、ラゲッジは空港に預けてバンバン放り投げられるから、機能的にヴィンテージを選ぶのは難しいと気づいて、改めてラゲッジにとっての正義って何だろう? と考えることに。
とにかく頑強じゃなきゃいけないし、傷ついてもかっこよくないと嫌。造形美にも惚れ込みたいし、ブランドの格もほしい……。そんな煩悩が積もりに積もっていた90年代後半に、ある服飾業界の先輩が、どこかのファッションブランドとコラボしたと思われるリモワのラゲッジを絶賛していたんです。それを聞いて、リモワもまたゼロハリ並みに服好きのロマンを満たしてくれる存在なんだなと。
ほどなくフランスに行く機会があって、向こうの名店『ギャラリー・ラファイエット』でこのブラックを見て即決。当時はフランからユーロに切り替わったばかりの頃で、8万円ほどで購入できました。
マッチョなアルミニウム製ボディとアイコニックなグルーヴ(溝)が、雄々しくもエレガント! 帰りの便ですぐさまラゲッジぶん投げの洗礼を受け、ばっちりと傷が入りましたが(苦笑)、ブラックの下からシルバーがチラ見えする様もまた洒脱♡ 傷が入ると心にも傷が入りますが、それもまた一興と捉えられる物好きにはぜひお勧めしたいですね。

❶リモワの『トパーズ』
定番好きなら誰もが焦がれる、1950年誕生の傑作ラゲッジ。リモワが創業120周年を迎えた2018年に、大胆なリブランディングを実施し、現行の『オリジナル』へと改称された。

❷ギャラリー・ラファイエット
130年以上の歴史を持つフランスの老舗百貨店。小林さんは愛用ラゲッジに、購入した際にもらった同店のステッカーを貼っている。このエイジング具合もまた渋いいルックスの源に。
※表示価格は税込み
[ビギン2026年12月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。
