服飾べしゃり力が身につく[小林学の小噺学]

紙袋そのまま! “擬態エコバッグ”の元祖「UNIONバッグ」はマルジェラ作品にも通じる!?

服好き同士のしゃべり場で日夜繰り広げられる服飾トーク。知らなくても生きていけるネタを披露し合う瞬間こそ、服好きには至福のジ・カ・ン。ということで、業界屈指の服飾べしゃり力で洒落者を引き込むオーベルジュの小林さんを指南役に迎え、即話したくなる小噺をレッツ・スタディ♪

PROFILE
オーベルジュ デザイナー 小林 学さん

小林 学さん

オーベルジュ デザイナー

服飾漫談師

1966年生まれ。ヴィンテージにモードにフレンチと守備範囲は宇宙。べしゃり力も業界随一で、自身のYouTubeチャンネルでも服好き垂涎の小噺を軽快に繰り広げる、服飾亭の止め名。ちなみに題字は愛娘の小林凛さん著!

《元町ユニオンの布バッグ》
「かのマルジェラ先生の作品にも通じる“擬態”エコバッグ」

元町ユニオンの布バッグ
90年代から愛用し続け、「取っ手がちぎれたら買い換える」という小林さん。現在使っているのは四代目。同じデザイン手法でさまざまな形が展開されているが、紙袋をこよなく愛する小林さんは、この縦長タイプ(2750円)一択だそう。

皆さんはどんなエコバッグを使っていますか? 正直、服好きの琴線に触れるようなものはなかなかなくて、しみったれたデザインのものが多いんですよね。ただ、あるんですよ……グッとくる佇まいのエコバッグが!

それが、この『もとまちユニオン』の『UNIONバッグ』。同店は、1958年に横浜・元町で創業した、知る人ぞ知る老舗スーパーマーケット。港町・横浜に住む外国の方々をはじめとする、アッパーな人たち向けの高品質な輸入食材などを取り揃える高級店です。メジャーどころでいうと、明治屋や紀伊國屋なんかと同じようなポジションでしょうか。

で、ここが1970年頃から販売しているのが、この個性的すぎるエコバッグ。見てください、この紙袋のデザインをそのまま移植したような渋いいルックスを!

発売開始当時はまだ『エコバッグ』なんて言葉すらなかった時代。つまり、これはいわばエコバッグの元祖的存在なんです。当時はまだ今のようにビニール袋がなくて、スーパーでも紙袋が主流でした。当時の紙袋って、アメリカンライフスタイル全開のフォントや色使いがたまらないんですよね。特にこのバッグは、紙袋のベージュと深みのあるグリーンを、紙袋からそのまんま転用してるとこがいい!

チープでダメダメなものをとことん真面目に作る、かのマルジェラ先生お得意の“擬態”アイテムにも通じるセンスを感じさせるんです。

ハイエンドスーパーの日常使いってちょいとハードルが高い……だけど、これさえ持ち歩けば常連感をちゃっかり醸せる=擬態できるってわけ(笑)。厚手のキャンバス地とロープの持ち手が使われてるから、タフネスぶりも及第点ギアとしても優秀。

紙袋カルチャーを理解しているからこその縦型フォルムも通好みだし、僕自身も買い物の時だけじゃなく、仕事の時なんかにもガンガン使ってます。エコバッグ難民状態の服好き諸氏はぜひ。

はみだし用語解説
 

紙袋のデザインをそのまま移植

❶紙袋のデザインをそのまま移植
80年代頃までの紙袋ショッピングカルチャーを布に落とし込んでいるのがセンスを感じる! と小林さん談。特徴的なカラーリングやフォント、形の完コピぶりは玄人にもブッ刺さるはず。
 

アメリカンライフスタイル全開

❷アメリカンライフスタイル全開
洒落たアメリカンライフスタイルに傾倒するファッション誌などでは、この手の紙袋に輸入食品などを詰め込んだビジュアルを多用。本作にもフランスパンやセロリが似合う似合う♪

 
※表示価格は税込み


[ビギン2026年9月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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