タイアップ
ハミルトンの「カーキフィールド メカ パワーリザーブ」の着けこなし術
服好き同士のしゃべり場で日夜繰り広げられる服飾トーク。知らなくても生きていけるネタを披露し合う瞬間こそ、服好きには至福のジ・カ・ン。ということで、業界屈指の服飾べしゃり力で洒落者を引き込むオーベルジュの小林さんを指南役に迎え、即話したくなる小噺をレッツ・スタディ♪
服飾漫談師ことオーベルジュ デザイナー小林学さん

前編に引き続き、ハミルトンの新作「カーキ フィールド メカ パワーリザーブ」がお題。後編では実際にどう着けこなすのが正解か、小林さん自らが実践! 不動の定番だからこそ鮮度を取り入れたい!という服好き諸氏は参考にすべし。
【小噺学】
「ユーロテイストと組み合わせると
絶好のアクセントになるんです」
前編ではハミルトンが20世紀初頭から長らくアメリカ軍のオフィシャルウォッチサプライヤーだったこと。そして代表作の「カーキ フィールド」コレクションは、ベトナム戦争時に納入されていた軍用モデルをルーツとしているからこそ、服好きから永世定番のお墨付きを得ていること。こうしたミリタリーの背景と、90年代の古着屋で構築された僕のハミルトン像を小噺しました。後編ではお題である「カーキ フィールド メカ パワーリザーブ」をどう着けるか、自分なりの攻略法をお話ししたいと思います。ということで早速結論! “道具”として作られた“ユーロ(ヨーロッパ)”テイストの服なら、背景に馴染ませながら鮮度も出せる! どういうことか説明すると、80時間パワーリザーブが搭載された今作は、時を計る“道具”として、より実用的に進化していて、それがビジュアルにも反映されています。ダイヤルにはインジケーターがレイアウトされているし、最定番の『カーキ フィールド メカ』より径も2㎜サイズアップしていて、“ギア感”が増している。だったら服も何かの目的を果たすために作られた“道具”だと馴染むはず!……だけど、アメリカのミリタリーやワークウェアだとシンクロ率が高すぎて鮮度は出しにくい。
ということで導き出したのが、“道具”かつ“ユーロ”な服とマッチングさせるって手法です。最もポピュラーな“黒文字盤×NATOストラップモデル”のサンプルコーデをご覧あれ。どうです? 統一感はあるけど既視感はないでしょ? テーマはズバリ、「ユーロワーク」。100年近く前のフレンチワーカーが着ていたような、ギャザーがたっぷり入れられたネイビーのリネンシャツに、オリーブカラーのNATOストラップと相性がいいブラウンのスカーフ、朴訥な雰囲気のウールパンツ……。“道具”として全体の統一感を出しながらも、服をユーロ軸にして、時計に“ハズシ”の役割を持たせる。すると“馴染む”と“鮮度”という“水”と“油”が、いい感じに攪拌できるんじゃないかなと。元来のミリタリーフレイバーもほどよく香るので、王道好きも試しやすいはず。ぜひお試しを。
腕時計は面積が小さい分、メガネや帽子やカバン以上に、サイズ感や色選びがシビア。ケース径がわずか数㎜違うだけでも印象が全然違うし、文字盤の色やケース&ブレスのマテリアルによっても、コーディネートに添えるうえでの役割が変わってきます。ただこの「カーキ フィールド メカ パワーリザーブ」に関して言うと、前述の通り、どのバリエーションでも、“道具”と“ユーロ”が突破口に。モダンでスポーティな雰囲気が漂う「白文字盤×SSブレス」モデルのサンプルコーデは、「ユーロスポーツ」をテーマにしました。
このジャンルは、現在の最先端トレンドのひとつ。1980〜90年代にヨーロッパのファッションブランドが手がけたスポーツウェアは、下北沢や高円寺といった、古着の聖地でも注目銘柄になってるんですが、その理由を的確に言い表すのは、正直難しい(苦笑)。ただただ洒脱で渋イイとしかいいようがないんですよね。アメリカのスポーツウェアには見られない、素敵なラグジュアリー感があるといいますか。だからこそアメリカ然としたこのモデルの存在感が際立つ。ブリーチしかけたジーンズと、赤いヨットパーカ、ボーダーカットソーに、アラン・ドロンばりに色気のあるストール。こうした軽妙洒脱なユーロスポーツと、品格がありつつ無骨さも感じる“白文字盤×SSブレス”を合わせると、馴染みながらスパイスになる。ほとんどの人にはスルーされるけど、わかる人には絶対に心の“イイね!”を押してもらえるはず(苦笑)。
ちなみにこれも前編で触れましたが、僕がハミルトンに初めて触れた90年代初頭は、現代のような、ヴィンテージとハイブランドをミックスさせるストリートカルチャーの創世期。ハミルトンやエルジンがベトナム戦時に納品していたリアルなミリタリーウォッチを、クロムハーツやゴローズあたりのブレスにつけ替えるスタイルが、とにかく流行っていました。ただ今思うのは、そうしたカスタマイズって、母体となる時計自体に“本物”を感じるからこそ。定番と認定されていない=背景のない時計のベルトをカスタマイズしたら、ただただ軟派になるだけ。エルヴィスが革ベルトからメタルの蛇腹ベルトにつけ替えてまで「ベンチュラ」を愛したように、「カーキ フィールド」コレクションも、ブレスのつけ替えが楽しめる本物。個人的にはこのパワーリザーブにも、継ぎ目が見えないほど小さいコマで構成されたジュビリーブレス版がラインナップされると、往時の“ミスマッチを楽しむカスタマイズ感”が出て服好きにウケるんじゃないかと思っています。
【PICK UP】
ハミルトンの
「カーキフィールド メカ パワーリザーブ」
名門ETA社が新開発した手巻きキャリバー“cal.H‐23”を搭載し、80時間ものパワーリザーブを実現。針とプリントされたアワーインデックスには、ヴィンテージの趣を感じるオールドラジウムカラーの夜行塗料・スーパールミノバが塗布されている。径40㎜10気圧防水。SSケース。SSブレスは14万9600円。ファブリックNATOストラップは13万4200円。
定番の「カーキフィールド メカ」も充実のラインナップ
“時を計る”という役割に徹した視認性MAXのベーシックデザインは、当然流行り廃りとは無縁。手巻き&小径サイズで時計通からも支持が高く、昨今の時計界の一大潮流である“チビミリ”ブームの牽引者としてもしられる。手巻き。径38mm。5気圧防水。SSケース。NATOストラップ。左上ブラック9万9000円、その他各8万9100円。
【ハミ出しコラム】
映画に纏わるハミルトンを
サクッとオサライ!
名画の影に名機あり! 映画史を彩る作品の登場人物たちは、背景のある名作時計を着用していることもしばしば。ハミルトンの名画登場率はトップクラス! ここではとくにインパクトを残した名画と名機の黄金コンビを紹介します。
『パール・ハーバー』と「カーキ フィールド メカ」
ミリタリーの背景を色濃く投影した名画が、第二次世界大戦期を描いた2001年公開の『パールハーバー』。W主役のベン・アフレックとジョシュ・ハートネットは、ともに代表作の「カーキ フィールド メカ」を着用。当時のリアルな空気感をスクリーンから伝えるうえで、この名機は効果テキメンだった。「カーキ フィールド メカ」/手巻き。径38㎜。5気圧防水。SSケース。NATOストラップ。8万9100円。
『メン・イン・ブラック』と「ベンチュラ」
「ベンチュラ」といえばエルヴィスがあまりにアイコニックだが、トミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスの名タッグによるSF映画『メン・イン・ブラック』シリーズもまた、この名機を世界観の構築に活かした名画。近未来感が漂う左右非対称フォルムは、襲来するエイリアンと激闘を繰り広げるウィル・スミスのブラックスーツ姿に超絶マッチ。この名機が末長く定番足り得ることを暗示してくれている。「ベンチュラ」/径32×50㎜。5気圧防水。SSケース。カウレザーベルト。13万9700円。
『インターステラー』と「カーキ フィールド マーフ」
巨匠クロストファー・ノーラン監督が、人類が滅亡の危機に瀕した未来を描いた、2014年公開の『インターステラー』。マシュー・マコノヒー扮する主人公のクーパーと娘のマーフを繋ぐ腕時計は、もともとは同作のために作られた特注品。物語を進めるキーアイテムとして使われたことで、製品化を望む声が相次ぎ、実際に発売されることになったという、ある意味伝説的な製品だ。「カーキ フィールド マーフ」/径42㎜。10気圧防水。SSケース。カウレザーベルト。15万7300円。
問い合わせ先
ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン
☎03-6254-7371
https://www.hamiltonwatch.com/ja-jp/
写真/上野 敦(プルミエジュアン) 文/黒澤正人