特集・連載
「誰にもバングと気づかれない。そこが逆に愛おしい」バング&オルフセン
センスがエグい腕時計ガイド ビギンは考えました。センスがいい人は、腕時計選びの背景にも光るものがあるはずだ。時計との巡りあわせは、時にその人の生き様までも垣間見えるのです。だからこそ、えげつないセンスを感じさせる愛機の選び方を知りたい! 時計は、持ち主の味(センス)が現れるものだから。 この記事は特集・連載「センスがエグい腕時計ガイド」#38です。
リプレイス コンセプター 岡本龍一郎さんの俺的名作時計
【バング&オルフセン】プロモーション用ウォッチ
ステイタスをわかりやすく誇示するアイテムは苦手で、みんなが持ってないものを少ない予算で発掘することが好き。それがプロダクト系デザインのものだったらなおイイですね。この時計はそんな自分の嗜好に合致するもの。今から20年ぐらい前にヤフオクで見つけました。
その前にF.A.ポルシェが最初にデザインした腕時計である70年代製の「ポルシェデザイン by オルフィナ」も手に入れていましたが、オールデンやエドワード・グリーンの靴を履いたときに、こういう小ぶりのドレッシーな時計があればいいなと思いまして。
もちろん決め手はバング&オルフセンの時計だというところ。ただ、今に至るまで来歴がよくわからないんですよね。バングの製品はいろいろ買ってきましたが、ロゴがこの書体のものは他で見たことがない。ネットで調べてみると、どうもバングの営業マンがプロモ用に配ったもののようです。
もっぱらスーツを着るとき、あるいは尊敬するマニアの先輩方とお会いするときに着用していますが、そんなわけで誰にも気づかれない(笑)。完全な自己マンですよね。
デンマークらしいミニマルなデザインは、見ようによっては“仁丹”的というか、昭和のオジイさんっぽさを感じないでもないですが、そのちょっぴりダサい感じも含めて愛おしい。
モノとしてはこっちのほうが断然ショボいんですけど、空港の免税店で売ってる北欧デザインの時計とは一緒にして欲しくないですね(笑)。
バング&オルフセン
プロモーション用ウォッチ
20年前に約1万円で落札。詳細不明だが、パッケージにはミニマルデザインを得意とするデンマーク人デザイナー「マックス・レネ」の名があり、おそらくバング&オルフセンがプロモーション用に彼に依頼したものと推察。ケースは径30mmと小ぶり。クォーツ。
来歴は不明なれどバング製品を示す保証書もアリ
リプレイス コンセプター
岡本龍一郎さん
独学で設計を学び、ベイクルーズの店舗設計を10年以上担当。18年よりリユースインテリアショップ「リプレイス」のコンセプター。
[おいしい時計選びの極意]センスが悟られる覚悟で選ぶ
[ビギン2023年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。