特集・連載
「細部まで神経を張り巡らせる。そんなモノ作りの姿勢に共感しています」パテック フィリップ
センスがエグい腕時計ガイド ビギンは考えました。センスがいい人は、腕時計選びの背景にも光るものがあるはずだ。時計との巡りあわせは、時にその人の生き様までも垣間見えるのです。だからこそ、えげつないセンスを感じさせる愛機の選び方を知りたい! 時計は、持ち主の味(センス)が現れるものだから。 この記事は特集・連載「センスがエグい腕時計ガイド」#32です。
オフィチーナ クレア 森川正大さんの俺的名作時計
【パテック フィリップ】ノーチラス
購入したのは6〜7年前。実は2本目のパテックで、初めて買ったのもノーチラス。SS製の複雑機構がついたモデルだったんですが、あまりの質の高さに感動して、これは是が非でもシンプルな3針も買っておきたいなと、思い切って買い足したんです。
で、いざ使ってみるとこれが想像を遥かに超えて使い勝手がいい。まずゴールドの時計にありがちな嫌らしさが全然ない。カジュアルな服装にもハマるし、普段からバンバン使えるんですよね。多分理由は“丸い”から。そう。パテックって何だか“丸い”んです。
例えばこのノーチラスのブレスひとつとっても、ひとコマひとコマ角を取って、徹底的に磨き上げている。だから角がなく、丸みを帯びていて美しい。そして何より着け心地も抜群にいい。メタルの時計ってブレスが角ばっていて装着感が優れない物が少なくないんですけど、ノーチラスは本当に腕に優しいんです。
他にも立体的な砲弾型インデックスといい、グラデーションがかった文字盤といい、細部まで神経が張り巡らされているのがわかる。パテックってどうしても“高級時計”というイメージが先行しがち。でもそうやって認知されているのは、気づかれにくい部分までクラフツマンシップが宿っているからこそ。
やっぱり“いい物”が高価なのは、それだけ時間をかけて丹精込めて作られている証しなんです。この時計は物作りに携わる身として、それを再認識させてくれる教科書のような存在ですね。
パテック フィリップ
ノーチラス
1976年にパテック初のスポーツウォッチとして誕生した歴史的名作は、かの巨匠ジェラルド・ジェンタがデザインを手がけたことでも著名。森川さんはローズゴールドケース&ブレスに自動巻きムーブを搭載し、120m防水まで実現した5711/1R-001をヘビロテ中。
オフィチーナ クレア 代表取締役
森川正大さん
1974年生まれ。2001年に渡伊→2008年イタリア・ミラノにて革小物ブランドを立ち上げ、2022年末に新たにモリニをスタートさせる。
[おいしい時計選びの極意]クラフツマンシップを感じるか否かが指標
[ビギン2023年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。