創業ウン百年の老舗から、今どきの大手セレクトまで、これまで数々の名品を掘り起こしてきたビギン。そんなビギンが次に目をつけたのが、ズバリ「地方ショップ」! コロナの規制も緩和されて、旅行もしやすくなったしね~♪

てなわけでビギンが日本全国津々浦々を行脚し、地方ショップのレア物を掘り起こす新連載の立ち上げをここに宣言! でもってスポットを当てるのは、各ショップの「オリジナル商品」のみ。僭越ながら今年で創刊36年目を迎えるビギン、もはやどこにでも置いてありそうなセレクトアイテムに興味はございません。各ショップがウンウン悩んで考えた末に生まれる「ナニコレ⁉」なオリジナル商品にこそ、唯一無二の魅力が、ひいてはそのお店の「スピリット」が宿っているのです!

記念すべき第1回は福岡県福岡市に構えるミリタリーショップ・ワイパー。世界各国から集まる軍モノの山々をかき分けた先に、果たしてどんな珍名品が待っているのか⁉ そしてそんな珍名品から紐解く、お店が掲げる「スピリット」とは? 直撃取材で聞いてきました!

今回お邪魔したのはココ!

博多駅から車で約10分、福岡の中心地から少し離れた場所にある軍モノ好きの聖地をご存知? 2000年創業のミリタリー系セレクトショップ「ワイパー」。博多を拠点とする地方店でありながら、充実の品揃えとSNSや動画配信サイトを駆使した提案力がツウの間で度々話題となり、ショップには国境を超えて多くのファンがついています。

今回ご紹介するのは、そんなワイパーが打ち出すリメイク品の数々。今でこそ海外から仕入れた軍モノを中心にラインナップしている同店ですが、オープン当初はトレンディな国内ブランドを取り揃えるセレクトショップだったそうで、そうした源流がリメイクにも顕著に現れているんですね。軍モノ特有の土臭さを活かしながら、都会的なエッセンスを注入するテクニックは天下一品。そのまま取り入れるとガチ感が出すぎる軍モノだって、気軽にトライできますよ!

ビルの一階を改装した店内には、アメリカやヨーロッパ諸国から仕入れたリアルミリタリーが360度びっしり。圧倒的な物量を前にどこから手をつけるべきか目移りして、マニアでなくても、テーマパーク感覚で買い物に熱中できます。

ユニークなのは、固定のバイイング担当がいないこと。上層部のメンバー全員が世界各国の市場で目を光らせており、アイテムに対しての熱量が買い付けの基準に。知識や愛情もハンパなく、商品はすべて語れる特徴を持ったものばかり。現地の商社から一度に何百何千とビッグオーダーをぶちかますため、実験的なリメイクにも挑戦できるというワケです。

ワイパーを率いるのは中村さん(写真右)。生粋の九州男児だが、笑いのセンスは関西人並み。インスタフォロワー数10万人以上のl.l.woodさん(写真左)をいじり倒し、リメイクへのこだわりを軽快に語り尽くす話術があっぱれ。取材にかこつけて、ビギン取材班もこだわりのリメイク品をレジカウンターに持って行ったのは、ここだけのハナシ。商品はもちろん、知識欲も満たされて内心ホクホク♪

「一つ変えるだけで、一気に着やすくなる。うちはリアルなミリタリーウェアを、ファッションとして楽しんでもらえるように提案をしています!」

名品FILEその1
英国軍のオフィサーショーツ

ミリタリーの系譜を継いだオリジナルブランドも展開するワイパー。トレンドを意識したセレクトショップ時代の魂が根っこにあるため、色気のない軍モノでもリメイクをすればたちまち今どきな表情に。例えば、こちらのショーツなんかもそのひとつ。

イギリス陸軍 ALL RANKS BARRACK DRESS オフィサーショートパンツ ブラウン/6380円

イギリス軍のバラックパンツを短丈にアレンジしたヒット作。ショーツのバリエーションが少ないことから考案された代物で、2年前に登場してから追加⇆完売を繰り返し、“ワイパーの夏”を語る上で欠かせないアイテムに急成長! 素材はポリエステル&ウール。90年代以前はウール100%だったそうですが、快適性と耐久性を改善するためにモデルチェンジされ、ファッション面でも好都合の出来栄えに。ウール特有のツヤ感と風通しの良さに、ポリエステルのタフネスが加わり日常使いしやすい生地になりました。

元ネタはこれ!

新品 デッドストック イギリス陸軍 ALL RANKS BARRACK DRESS パンツ/6380円

そもそもバラックパンツは、イギリス陸軍を対象に作られた事務作業や式典用で、フォーマル度合いによって15個のパターンが用意されています。こちらのNO.2は、全階級の軍人向けに19902000年代に採用されていた最も汎用性の高いモデル。スッキリとしたシルエットだったり、センタープリーツが入っていたり、戦闘用と異なりこぎれいに穿けます。

ベースを活かすワイパーのリメイク術。今回のショーツにもバラックパンツならではのディテールが、そこかしこに残されています。注目したいのはウエストまわり。腰裏にはイカの耳のようなディテールを発見。サイズを調整できるように生地を余らせた名残りで、近くにはサスペンダー用のボタンも見受けられます。さらに横腹部分にはアジャスターベルトを備えており、自分好みのサイズ感で着用できるように徹底的に対策が講じられています。

「って言ってもさ、ただ短くカットしただけなんじゃないの?」と侮ることなかれ。そのカットにリアルミリタリーをシティに昇華させるワイパーのテクニックが詰まっています。

「そのままバツンと切って縫製するだけじゃ、せっかくのシルエットが崩れちゃうんですね。だから、サイドシームを一度開いてワタリを詰める工程が作業に組み込こまれています」と中村さん。

l.l.woodさんのこだわりは丈感。下手をすればショーツは学生感を醸し出してしまいますが、こちらは膝上丈に調整することで上品さを追及。イギリス軍用モデルらしいクラシカルなシルエットやカラーリングと相まって、Tシャツと合わせても大人っぽく着こなせる一本に仕上げられています。実際のスタイリングをご紹介する前に、まずは爆売れ必至のトップスをご覧あれ~♪

名品FILEその2
超ビッグ!アーミーTシャツ

オールシーズン活躍し、コレからの時期は特に重宝するアーミーTシャツも、ワイパーの手にかかればスポーティ感がマイルドになり、こなれ見え! 畳んだ状態で写真に撮ると、よく見かけるただの一枚なんですが……実は広げてみると度肝を抜かれるアイテムに仕上がっております!

左)新品 デッドストック 米軍 リメイク IPFU ARMY ショートスリーブ Tシャツ/¥4,950 右)新品 デッドストック 米軍 リメイク L.L.WOOD ILLUSTRATED IPFU ARMY ショートスリーブ Tシャツ/¥5,500

その秘密は、サイズ感にあり。本来アーミーTシャツは、軍人がトレーニング時に着用するもので、動きやすさを考慮したスッキリフィットに調整されています。軍モノ好き界隈では定番中の定番なんですが、一枚で着ると良くも悪くもフツー。そこで、アイデアを振り絞ったのがワイパー。なんと超ビッグサイズの3XLを大量に仕入れて、裾を短くカットして提案してるんですね。

「最初は普通のLサイズくらいで試してみましたが、実際に裾をカットして着てみると後ろ裾が吊り上がって見えてしまって。サイズ感も中途半端だったんです。ならば、カットの入れ方を工夫してもっとサイズも大きくしようと。結果、21cmも裾を切って商品化となりました」と中村さん。

見よこのデカさ!右がオリジナルで左がリメイク後。そのままだと大き過ぎて着こなすにはかなりのセンスが必要ですが、着丈が短くなることで今どきなボックスシルエットに変貌!

前回分は準備していた枚数が直ぐに完売し、今回夏に向けて大急ぎで新たに仕込んだんだとか。l.l.woodさんによる話では、「今回も完売は免れないのでは?」とのこと。速乾性も高く濡れても直ぐに乾くため、汗だくのアウトドアシーンでも活躍しそう!

エルエルウッドさん肝入りのこちら。プレーンに加え、自身の顔をイラスト化したプリントver.も展開(笑)。おふざけ品だと思いがちですが、イギリス在住のイラストレーターに依頼をかけて本気で作り込んでおり、ヴィンテージスウェット然とした大人の遊び心を着こなしに取り入れられます。

っとまぁ、ここまで説明しても実際に着用している姿を見ないとイメージが湧きにくいかと。そこで、先に紹介したバラックパンツと組み合わせたおすすめコーデをエルエルウッドさんに考えてもらいました!

Tシャツのサイズ感は、上の写真の通り。絶妙なゆるシルエットが、洒落た抜け感を演出しているでしょ? 引き締め役として効果を発揮するのは、こだわりの膝上丈に設定したショーツ。色味を合わせたスニーカーを選んで統一感をもたせています。キャップやメガネ、ソックスなどのチョイスは、エルエルウッドさんらしい高度な味付け! 大人の気品をキープしつつ、真夏でもラフに過ごせるカジュアルな着こなしにまとまっています。

「グッドウェアのスーパービッグTシャツをつなぎ役に着てみました。チラッと見える白いラインが、いいアクセントになります。Tシャツの重ね技は簡単だし、いろんなコーデで使えるので是非お試しを!」

夏らしいシャツも豊作!

ともすれば軍人感が出がちなミリタリーシャツも、ワイパーの提案するものなら気負いせず挑戦できます。流行る予感ビンビンの次来る一枚を、一緒にチェックしていきこう。

デッドストック 米軍 リメイク U.S.NAVY シャンブレーシャツ 半袖 ボックスカット/¥7,480

まずは、こちらのリメイク品から。ベースは1990年代に米海軍に支給されていたシャンブレーシャツで、素材はチーフシックなコットンポリ。オリジナルは日本の市場にもよく出回っていますが、目を凝らしよ〜くディテールをチェックすると、ワイパーの一枚は細かい部分を変更して、違い出し。

「もとは販売用ではなくて、個人的にリメイクしてショップで着ていたんですね。すると、お客様から評判で()。調子に乗って製品化しましたが、いくら気分がいいからって僕は自分の顔をプリントしませんがね()

主な変更点は、鋭く尖った長い衿をベーシックなレギュラーカラーにしたこと、ラウンドカットだった裾を真っ直ぐにカットしボックスシルエットにしたこと。本来内側にあるイントラクションラベルも表面に移植してアクセントに利用しています。

「リクエストを聞くだけ聞いて、出し惜しみしていましたが、この夏から販売する気になりました(笑)。ハンパ袖のインナーと合わせれば、3シーズンは着てもらえると思います」

そして、爽やかな着こなしを提案してくれた中村さんが、次に流行ると見込んで推しているミリタリーシャツが次の一枚!

そんな中村さんが次来るミリタリーシャツとして推してるのがこれ!

デッドストック イギリス軍 TROPICAL COMBAT ジャケット デザートDPMカモ/¥3,850

モデルは90年代に湾岸戦争の開戦とほぼ同時期に実戦投入された、イギリス軍のデザートDPMカモフラージュジャケットで、熱帯地域に派遣される軍人用にデザインされています。パラシュートボタンなど特徴的なディテールにも心が躍りますね!

通気性のいい一重仕立てでサラッと羽織りやすく、色合いが茶系で統一されているから、スタイリングも組みやすい。アロハシャツの延長だと思えば、いろいろとコーディネートのアイデアも浮かんできますよね。

「まだ流行りに乗り切ってないから、値段がとにかく安い!だって、一枚3500円なんですよ。やっぱり買いやすいプライスで、なおかつカッコいいものっていうのが、軍モノの魅力のひとつだと思います!」

「世界に通用するミリタリーショップになりたい。」

すでに日本のミリタリーアパレルの業界では、確固たる地位を築いているワイパー。今後はどんな仕掛けで、服好きの心を楽しませてくれるのか。エルエルウッドさんに、ちゃっかり極秘ネタを伺ってきました。

「まだ解禁前の初出し情報なんで、詳しくは言えませんが……。デニム界の重鎮ブランドにお願いして、ワイパーだけのアイテムを仕込んでいます。ヴィンテージ好きなら、きっと喜んでくれるはず! この秋冬にリリース予定なので、もうしばらくお待ちください!」

リメイクものやオリジナル製品の多いワイパーですが、今年は大型別注商品が控えている様子。コレまでにない新しいアプローチで、我々を楽しませてくれそう!

「ヴィンテージ品のラインナップを増やしていきたい」と続ける中村さん。どうしてそんなに軍モノに惹かれるのか。業界を牽引してきたミリタリーフリークに、ショップの展望と合わせて聞いてみるとビギン取材班、全員納得の答えを伺えました。

「軍モノは贅沢なんです。メーカー側は国の兵士をサポートするために使い勝手を1番に考えて、予算を気にせずディテールを盛り込んでいる。コレを忠実に再現しようとすると、とんでもなく高い売値になってしまうし、だからこそお手頃価格で買えるリアルミリタリーは、本当の意味で安くていいモノなんだと思います。今後もこの道を極めて、世界一のミリタリーショップになれるよう目指します。俺らが現役の間に達成できるといいなぁ~」

MILITARY SHOP WAIPER.

住所:〒810-0005 福岡県福岡市中央区清川3-26-17WAIPERビル1F

電話:092-791-5252

営業時間:平日/12:00-19:00 日曜祝日/13:00-19:00


写真/椿原大樹 文/妹尾龍都 編集/鍵本大河(Begin News)

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