週末農家・坂下史郎のベジカジライフ
バブアーのダーハム
子どもの授業参観などに行くと、突出して大きい子がいる。成長のスピードやタイミングは人それぞれで小学校時代に凄く大きい子もいれば、中学や高校で見違えるほど大きくなる子もいる。
野菜たちも同じく、順調に芽を出してすくすくと育つものもいれば、発芽は遅くても芽が出た途端にグングン大きくなるものもいる。早く育つ前者を早生(ワセ)、ゆっくりと育つ後者を晩生(オクテ)と呼ぶのだが、今回紹介するハツカダイコンは名前の如く、20日~1か月ほどで収穫できる早生型。じっくり育てる晩生も良いが、安価で手軽に育てられる早生もまた好きだ。
早生を服に例えるとファストファッションの類なのだろうが、逆に服での晩生とはなんだろう。真っ先に浮かぶのは、創業100年超の英国を代表するアウターの名門・BABOUR(バブアー)である。
英国では子供から老人、庶民から国王まで着用している何とも懐の深いブランド。が、正直第一印象はイマイチで、オイルドの生地は着るたびにベタベタヌルヌルが手肌について、何とも不快な服だなあ……というのが率直な感想だった。
しかし当時のカタログには、先に書いた老若男女が着る、まさにイギリスの正統なアウトドアアクティビティの情景が映し出されていた。雨の中で乗馬を楽しむ人、泥だらけで牛を引っ張る人、川の中にポツンと佇む釣り人、レンジ・ローバーのハッチを開けて今日のハンティングの成果を談笑する人々。どれも絵になるかっこよさで、そのジャケットへの感覚は次第に憧れへと変化していった。
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バブアーのダーハム
ダブルショルダー、フード、ウエストのドローストリングを備えた軽量モデルとして、1969年に登場。川釣り、バードウォッチング、ウォーキングなどに愛用された。現行は裏地が加わり、本国のみで展開。ヴィンテージの相場価格は1~3万円ほど(※編集部調べ)
①イングランド北東部ダラム州からその名がついた「ダーハム」。裏地がなく、夏だろうが関係なくオールシーズンで羽織れる。
②長く着ているがオイル抜けもなく、撥水性も健在!
③英名では「ラディッシュ」。早い、簡単、美味い、の牛丼チェーンのようなキャッチフレーズが似合う野菜だ。
坂下史郎
さかしたしろう/1970年生まれ。セレクトショップや著名ブランドのMD職を経て独立。2015年から都内と山梨・塩山での二拠点生活を始め、以来毎週末の山暮らしがルーティンに。自身が手掛けるブランドの一つである「迷迭香」には、その趣向を反映させた街⇄アウトドアで活躍する機能服が豊富に揃う。
※表示価格は税込み
[ビギン2023年8月号の記事を再構成]文/坂下史郎 写真/丸益功紀(BOIL)