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数年の間に世界を一変させる可能性を秘めているDXにフォーカスする連載「プロジェクトDX」。時代の変化やニーズに、DXを通じて見事に応える、優れたサービスの開発者やその現場を訪ね、未来を変える可能性やそこに込められた思いを紹介していきます。
今回取材したのは “子どもが本当の好きに出会う”をコンセプトにした、課外活動マッチングサービス「meepa」。いまだに人づてやチラシで情報を得ることが多い子どもの習いごとの、「探して体験予約」までを最短距離にするデジタルサービスです。

プロジェクトDX〜挑戦者No.4〜課外活動マッチングサービス「meepa」

「meepa」を発案したのは、株式会社meepaCEO、株式会社dotD執行役員CSOの山中健太郎さん。気軽に、そして何度も、いろいろな体験をすることができれば、子どもが “好き”に出会うチャンスが増えるのではないかという山中さんの思いが始まりでした。

「新卒で入った会社では、コンサルタントとして名だたる企業の新規事業や組織改革に携わりました。大きな組織の中には、会社を自分の力で変えることなんかできないという諦めだったり、やらされ仕事で明らかにつまらなそうに働く人もいて……。そのときに芽生えた問題意識が後々、meepaに至るきっかけとなりました。義務感で生きている人を減らして、『これが好きだから頑張る』とか『世の中をこうしたいから頑張る』といった、情熱に従って生きる人が増えるような何かを、自分のキャリアを通じて生み出したいと考えるようになったんです。

そして浮かんだのが『子どもが“好き”に出会う』というキーワード。子どもの時点で好きなことに出会えていれば、情熱に従って生きることに直結します。そして好きなことにはまって突き詰める過程で、生きる力や非認知能力(=テストなどで数値化できない能力。発想力、意欲、コミュニケーション能力など)を身につけることができるのではないかと、思い至ったわけです」

習いごと、大人の都合で選んでない?

株式会社meepaCEO dotD執行役員CSO 山中健太郎氏
株式会社meepaCEO、株式会社dotD執行役員CSO 山中健太郎氏

“子どもが本当の好きに出会う”ためには、どういった手段がいいのか、試行錯誤したといいます。当初は、現在のような課外活動マッチングサービスではなく、AIを使った“向いている習いごと診断”でした。

「meepaが現在の形になるまでに、いくつかのフォーマットを試しました。その中で着目したのは子どもの好きを見つけるうえで障壁になるのは、親の思いだということ。僕自身も大学まで強豪チームでサッカーを続けてきたこともあって、娘にもチームスポーツを体験して欲しいと思ってしまうのですが、娘はお友達の影響でクラシックバレエがやりたい。そこで、『いいよ』と即答できればかっこいいのですが(笑)、クラシックバレエへの先入観もあり、娘の熱が冷めるまでやりすごそうとする自分がいたりして……。

僕のような先入観や思いにとらわれている保護者の方が多いというのは、開発中に幾度となく行ったインタビューでも感じていました。『私はこれがやりたかった』『私はこれをやって損をした』『子どもにこうなって欲しいからこれやらせたい』という親の気持ちがどうしても投影されます。だから初期段階で行っていたAI診断では、新たな可能性を示唆するために、“子どもが本当に好きなもの、好きかもしれないもの”を提案していました。それでも親の思い込みの外側のものが提案されると『当たらなかった』と判断されてしまう。サッカーを習わせたいのにバレエをいくらすすめても、意味をなさないのです。

たどり着いたのは、親の思いを無視した習いごと提案は、傲慢なのではないかということ。スポーツや習いごとに興味を持った人が、なるべくハードルを低くサクサクと体験できるようように設定しておけば、1回だけの体験で終わらず、2回、3回と試すことができ、結果的に子どもたちが好きなことを見つけやすくなります。習いごとの検索サイトはmeepaの他にもいくつかありますが、僕自身が親として使ってみようとすると、検索しにくいし、楽しくないんですね。ものごとを始めるにはワクワクした気持ちが非常に重要ですし、検索にストレスを感じないようにということにこだわりました」

「meepa」だからできること

習いごと検索サイト meepa

現実的に通える教室の提案
検索にあたっては、学年、ジャンルといった基本的な情報のほか、月謝、何曜日の何時に行けるか、自宅から何分以内で通いたいのかなどを検索条件に入れられるので、現実的に通える習いごとが表示されるのが最大の魅力です。条件にあう習い事の一覧をマップで可視化し、自宅の郵便番号を入れれば、自転車で何分かかるかといったルート検索なども可能です。

教室の雰囲気を可視化する
協力してくれる先生には実際に取材し、教室のこだわりや特徴を先生自身の言葉で伝えてもらう動画を作成、掲載しています。動画があることで、雰囲気が伝わり、実際に体験に行く手間が省ける場合もあります。また、ホームページのデザインは、堅苦しくなくワクワク感が伝わる雰囲気に。

予約のしやすさ
体験レッスンの予約は、スマホで完結する仕組みに。美容室と同じような感覚でポチっと予約できます。予約のしやすさ、手軽さも次に繋がる理由です。

「meepa」を運営するdotDってどんな会社?

株式会社meepaCEO dotD執行役員CSO 山中健太郎氏

株式会社dotDは、自社事業として「meepa」や愛犬の健康アプリ「onedog」をはじめとする新規事業の立ち上げと運営のほか、共創事業として企業の新規事業へのコンサルタント業を行う会社です。今回取材した山中さんも、「meepa」の責任者、コンサルタント業、dotDの執行役員と、3つの役割をこなしています。多くの案件を少人数でまわす秘訣はあるのでしょうか。

山中さんの出社は多くて週1回。仕事上のやり取りはほぼオンライン上で完結するため、地方在住者もいるそうです。ホワイトボードツールで画面共有しながら、付箋をペタペタ、マイクもカメラもつないでいると、リアルで頭を寄せ合っている感覚と変わらないといいます。「デジタル環境が整っていることもあり、違和感はありません。時々皆で集まると逆に新鮮。プラスアルファこそあれ、大勢に影響はないですね」

株式会社dotDのオンラインイベント

オンラインだからこそ、コミュニケーションが途切れないように設定されているのも特徴で、金曜日には隔週で2つのオンラインイベントが開催されています。そのうちのひとつdotalkは、社員の自分語りがテーマ。会話の糸口となったり、「この仕事はあの人と一緒に組もう」などチーム結成のきっかけになることも。もうひとつの.chipsは、業務を通じた学びや知識をシェアする学習コンテンツ的なオンラインイベントです。「デザイナー、これが大変」というお題では、デザイナーが実は負担な作業を語ったり、フォントの種類や選び方を指南したりと、専門職の事情を知るきっかけになります。

入社すると真っ先に行われるのが、全社員との30分間の1 on 1のミーティング。最近では「とにかく亀が好き」なエンジニアと、新しいビジネスを考えていた事業開発メンバーが1 on 1で意気投合。陸亀がテーマの新ビジネスが進行中です。

通常業務に加え、新ビジネスを行うとなると、タイムマネジメントはやはり大変です。それでもやりたいという熱意と熱量は、meepaの目指す“情熱に従って生きること”を体現していると言えます。

日常的にプレゼンをする風土があり、興味のあることが共通する者同士が繋がることで、切磋琢磨し、情報共有ができる。価値観やアイディアを社内でシェアすることが、デジタル環境でクリエイティビティを保つ秘訣なのかもしれません。

習いごと探しを、ワクワクする道のりに

「meepa」は東京都世田谷エリアにて実証実験中で、すべての機能が無料で使えます。現在は1700件以上の教室が掲載されており、日程調整や持ち物の確認など、教室とのやりとりは全て代行してくれるので、気軽に体験予約ができます。無理な勧誘はしない約束になっているのも安心。陶芸やマジック講座、外国のオンラインツアーなど珍しい習いごとも豊富で、編集部も検索する手が止まらず…。大人も子どももワクワクしながら習いごとを探せる「meepa」、ぜひ全国に広がってほしいと感じました。

子どもの本当の好きに出会える課外活動マッチングサービス「meepa(ミーパ)」
https://meepa.io/


写真/大見謝星斗 文/丸山亜紀

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