その手があったか!「じつは」な黒カーフ靴のメンテナンス新解釈
酷使を余儀なくされる靴は、ことにメンテが重要。ってことでビギンは、これまで何度も靴のメンテを取り上げてきましたが、その道の達人によると、まだ「じつは」な意外性ある秘術があるのです! 今回の達人は、ワールド フットウェアギャラリー日髙竜介さん。カーフシューズの新解釈メンテを伝授します。
じつは……黒カーフ靴は青系クリームで磨くと見違える!
ほのかに青が加わるとよりドレッシーな佇まいに
ドレス靴の正統といえば、カーフの黒靴です。で、そのお手入れには無色か黒のクリーム、というのが常識。なのですが、じつはネイビーなど青系クリームで磨くと、光が当たった際、その青が浮き上がって見えて、靴がなんとも小粋な姿になるのです。
日髙さん曰く、「英国の黒靴には、初めから青みがかった製品が多いんですよ。少し青が加わると、いわゆる“冷たい黒”になって、靴の佇まいがよりシャープな印象になるのです」。
ちなみに、イタリアの黒靴では赤みを帯びた“暖かい黒”が多く、そのため、英国の黒靴に比べると和らいだ雰囲気が感じられるとか。ということで青系クリームを使い、日髙さんが編集部スタッフの私物をポリッシング。その結果はご覧のとおりで、ちょい垢抜けない印象から、すこぶる上品でクラス感ある美靴に大変身しました!
「アッパー全体に青みをつけるのですが、とりわけ人目に触れやすいトウに重点的に青を入れると、とても効果的ですよ」(日髙さん)
Before
【1】馬毛ブラシでホコリを取る
シューツリーを入れ、馬毛ブラシでブラッシング。革に対して直角に毛を当てて、押し付けず、スピーディ&小刻みに行うのがコツだ。
【2】リムーバーで汚れを拭き取る
人差し指にハリをもたせつつウエスを巻き付けて、その先端に少量取ったリムーバーで、靴に付着した汚れや古いクリームを落とす。
【3】ネイビーのクリームを入れる!
ウエスを巻いた指先にネイビーのクリームを取る。分量は小指の爪程度で、これを必要に応じて数回にわたって、靴全体に塗っていく。
【4】から拭きをする
乾いたウエスで余分なクリームを取り除きつつ、ツヤ出し。力は入れず、手を小刻みに動かすのがコツだ。最後に馬毛ブラシで仕上げを。
英国靴に合う“冷たい黒”になる!
After
日髙さんのスゴ技でエレガントな輝きが! しかも青系クリームの効果でクール&シャープな姿に変身し、同じ靴とは思えないほど、より英国靴的な佇まいにグレードアップした。
メンテグッズ
馬毛ブラシ・リムーバー・【重要】ネイビーシュークリーム
右上/ダスコ「ホースヘアブラシ ラージ」。2000円。左/サフィール「レノマットリムーバー」。100ml。1500円。右下/オイル分多めでのびのよい乳化性クリーム。サフィール「クレム1925」。ネイビー。75ml。2000円。ほかにシューツリー、ウエスも用意。以上
(問)ワールド フットウェア ギャラリー 神宮前本店
TEL.03-3423-2021
ちなみにコードバンのバーガンディ色には黒クリームで!!
色抜けしやすいコードバンのバーガンディ。同色のクリームを使うのもアリだけど、黒クリームを使えば、より深みある発色に。じつはコレ、プロの技なり。写真手前はサフィール「クレム1925」。ブラック。75ml。2000円。
(問)ワールド フットウェア ギャラリー 神宮前本店
TEL.03-3423-2021
ワールド フットウェアギャラリー
日髙竜介さん
メンテナンス達人
同店バイヤー。靴磨きが趣味だった母親の影響で靴好きになる。20年前、独自に鏡面磨き法を編み出すなどし、超絶メンテの先駆者に。
※表示価格は税抜き
[ビギン2018年1月号の記事を再構成]
写真/植野 淳 文/山田純貴 間中美希子 礒村真介 黒澤正人 スタイリング/佐々木 誠