メンズテーラードクロージング 稲葉智大さんをめぐる、これからのシン・スタンダードとは #075
「たった1万円でこの色気! サボってもサマになるノン革靴」
伊勢丹新宿店 メンズテーラードクロージング バイヤー 稲葉智大さん
ドレス業界に長年いるので、それはもう多くの革靴を履いてきました。が、最近はスタイリングの幅が広がり、スーツも単なるユニフォームからより嗜好品へとシフト。
そうすると、ある程度ルールを押さえながらも、いかに自分らしく着こなせるかが大事になってきます。スーツ×ルームシューズの組み合わせが流行っているように、いわゆるドレスのハズシとして履けるシューズが、個人的には気になっています。
たとえば、フラットシューズに着想を得たブランド「オポジットオブブルガリティ」。日本が誇る靴の名産地・神戸で作られたこのシューズは、アッパーにフェイクレザーやゴム製ソールを採用。雨は気にしなくていいし、軽いし柔らかいしで履いていて本当にラクなんです。
あと、なんと言っても約1万円でこの色気!! 二度染めることで本革に近い表情をしたフェイクレザーや、裁断面をできるだけ少なくしたドレス靴のようなデザインには惚れ惚れします。ドレスのハズシとしてだけでなく、男らしいデニムとのアンマッチなバランスを楽しむのもアリですね。
いずれにしても、これさえ履いていればスタイリングをサボッてもサマになる。バイヤーだから格好つけないとと思いながら、着ていく服に迷って面倒くさくなる日もある(笑)。そんな自分の弱さを救ってくれる靴こそ、オポジットオブブルガリティなのです。
opposite of vulgarity[オポジットオブブルガリティ]
フラットシューズ
靴の名産地、神戸で製造。限りなく本革に近いフェイクレザーを使い、裁断面を少なくした美しいアッパーデザインが特徴。クッション性の高い中敷や屈曲性に富むゴムソールで履き心地も◎。1万450円(クローザーズ)
伊勢丹新宿店 メンズテーラードクロージング バイヤー
稲葉智大(いなばともひろ)
1987年生まれ。2010年の入社以来、12年にわたりイセタンメンズのドレス部門をリードする。2022年からはメンズ館5階のバイヤーを担当。紹介したブランドの靴は、すでに型違いで3足持つほどお気に入り。
※表示価格は税込み
[ビギン2022年9月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。