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革命的超絶技巧

“皮”が人類にどれだけ有益な素材だったとしても、それを“革”にするための技術が不足していては、宝の持ち腐れ。ということで、世にも美しい革を作るために受け継がれてきた、職人たちの御技を紹介いたします。

アニリン・フィニッシュ
革本来の風合いが楽しめる手間隙かけた染色技法

アニリン・フィニッシュ

アニリン・フィニッシュ

薄〜くベースカラーを手塗りした後に、天然由来のアニリン系染料を何度も何度も塗り込んでいく、手間のかかる技法。色が定着するまでに時間を要するが、革の深部まで染料が浸透するため、色がハゲたり褪せたりしにくく、味わい深いエイジングが可能に。大量の顔料を一気に塗布するピグメント・フィニッシュとは違い、革本来の風合いが生きているのも魅力だ。

アニリン・フィニッシュ ピグメント・フィニッシュ

オックスフォード・フィニッシュ
深みのある色艶とナチュラルな風合いを両得

オックスフォード・フィニッシュ

オックスフォード・フィニッシュ

1856年に創業したドイツの老舗メーカー、ゴールドファイルが開発した独自の染色技法。タンニンレザーを回転ドラムに入れてボルドーに染め上げた後、手仕事で黒の染料を塗り込み、拭き取ることで、シボの凹部や毛穴などに黒を残すという、特殊技法だ。深イイ色艶と、革の肌目が透けて見えるかのようなナチュラルな風合いを両立するテクニックは、まさに革命的!

コードバン屑削り出し
職人がミリ単位の作業によってダイヤモンドを掘り起こす!

コードバン屑削り出し

コードバン屑削り出し

コードバンとは馬の尻部分に潜んでいる繊維層(通称・革のダイヤモンド!)を指す。そのためまずはその層を出す作業が関門になるのだが、これが難易度激高。尻部分の革を半分の厚さに剝いたあと、シェービングマシンによってミリ単位で削っていかなければならないのだ! 繊維を傷つけずに削り出すには、当然熟練職人による繊細な力加減が不可欠。

コードバン屑削り出し
難易度激高のコードバン屑削り出し

ロウ引き
強度と撥水性を高める伝統的な革の処理工程

ロウ引き

ロウ引き

蜜ロウや獣ロウを配合したワックスを塗って、革の強度と撥水性を高めるコーティングのこと。ヌメ革の後処理として行われることが多いが、その好例が馬具用素材として誕生したブライドルレザー。革の深部に染み込むまでロウ引きを行うことで、内部のロウ成分が表面にうっすらと白い粉状に浮き上がってくる(通称・ブルーム)のが特徴。

解説してくれた革の第一人者

いいでしょ!

ライター 山田純貴さん
ライター 山田純貴さん

1992年にビギンでの編集&執筆を開始。革に関する体系的資料があまり存在していない時代から、綿密な取材によってわかりやす~い革のコンテンツを数多く作成してきた。通称「革博士」。
 


[ビギン2022年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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