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ルーパック Loopach EcoBag

サステイナブルという言葉が飛び交う昨今。中には実態を伴わないものも少なくないような気がします。サステイナブルなアクションを起こすのは大事だし、流行として消費してはいけないと思う反面、どう行動するのが正しいのか、判断、難しいですよね? そんな一筋縄ではいかないサステイナブルに対して、真正面から取り組んで生まれたエコバッグがルーパックです。

前編はこちら

今回のビギニン

ミルクボトルシェーカーズ 喜多泰之

ミルクボトルシェーカーズ 喜多泰之

1987年生まれ。大阪府豊中市出身。アパレル業界で働く両親のもと、幼い頃よりインポートの洋服や文化に囲まれて育つ。株式会社アーバンリサーチを経て2019年、株式会社MILKBOTTLE SHAKERSを設立。社名には、分野の異なる人をつなぎ合わせイノベーションを生む器でありたいという意味が込められている。一児の父。

struggle:
バッグもタグもアプリもない。無い無いづくしからのスタート

ミルクボトルシェーカーズ 喜多泰之

環境、社会問題、経済、全てが結びついていると喜多さんは言います。

「ファッションがもたらす環境破壊や低賃金の労働問題も、服が安価でしか売れず、生産コストが低い国の資源や労働力を漁ることから生まれています。昔は良い商品を作っていたメーカーも、ニーズに合わせて安いものを出さざるを得ない状況なんですよ。それをもう一回、適正な価格でお客さんに通用するものが生み出せないかと考えたんです。今は物理的な次元で製品が企画されていますが、そこにテックを使って、物への愛着が育まれる仕組みを付加したらどうかなと」

喜多さんはアプリと連動し、名前をつけ、使えば使うほどゲームのように育っていく、そんなエコバッグを思い描きます。

「最近見つけた新しいバッグ可愛かったけど、今のバッグ1000回使っていてレベルが上がってゴールド(バッグのランク)になってる。だったらリペアして使おうかなとか。そういう選択肢がプロダクトに乗っかると新しい可能性が広がるんじゃないかなと閃いたんです。良いものを長く使うという価値観は僕らの世代まではギリギリあったんですよ。それが今は消費財になってしまった。そういう点もビジネスに元気がないこととリンクしてると考えていて。テクノロジーをミックスすることで再び価値転換が起きる。そのきっかけにルーパックがなれば良いなと」

ルーパック LoopachのMarket Tote
保冷機能のあるインナーバッグを搭載したLoopachの ”Market Tote” 。保冷インナーバッグは本体から分離できる脱着式。長期間の使用を想定し、外側のバッグ本体は洗濯が可能。保冷インナーバッグ付きMarket Tote 3718円(税込)

初めは妄想でしかなかったと喜多さん。バッグもなければ、タグもない、アプリ開発もできない、無い無いづくしの状況でしたが、前職から付き合いのあった老舗繊維商社のヤギさんにふとルーパック構想を話したところ、実現に向け一気に動き始めます。

「ヤギの課長さんとカフェでお話しする機会があって、最近こんなことを考えてますって何気なく喋ったんです。そうしたら年明けにLINEが来て。『喫茶店の話が初夢に出てきた』と」

企画書が欲しいと言われた喜多さん。コロナで海外出張が無くなって出来た時間を使い、構想を一気に書き上げます。

「それがきっかけで、ルーパックを一緒に実現させてもらうことになりました」

バッグやネームタグの生産・卸はヤギさんが担当してくれることになり、次は洗えるICチップ探し。候補に上がったのがアメリカの有名スポーツブランドのプロダクトにも採用されているタグでした。

「輸入販売元は歴史もある上に凄まじく大きい会社でグローバルな外資系企業だから難しいかなと思ったんです。そうしたら担当の方が『これはすごく可能性がある、すぐに結果は出なくても意義があるから』と少量からでも買えるよう取り計らって頂いたんです」

これでプロダクトの目処はつきましたが、まだルーパックの頭脳となるシステム開発が残っています。

「クラウドとかアプリってどうやって作るんだろうと。で、タグの会社の方に相談したら『御社に合いそうな会社が大阪にある』と言うんです。訊くと民間企業だけでなく様々なプロジェクト実績をもつ大和コンピューターさんという会社で。企画書を持って、ダメ元でご挨拶に伺ったところ『コンピューターの会社としてSDGsの取り組みにも力を入れていきたかった。ぜひパートナーとして共に開発をしましょう」とご賛同頂いて」

こうして、全体のデザイン設計、グラフィックやウェブサイトを喜多さんが代表を務める「ミルクボトルシェーカーズ」が担当し、構想から約1年で「ルーパック」のリリースが発表されます。

reach:
永続化のためルーパックの基金を立ち上げ、特許出願

LoopachのTHE GOODLAND MARKET別注Washing Loop Bag
マイクロファイバーを通さない特殊なウォッシングバッグの生地を使ったルーパック機能付き別注バッグ、写真のようにループ部分にヨガマットを差し込んだり、黄色のジッパーを開けタオルやウェアを収納したり、袋に入れたまま洗濯もできてしまう一石三鳥的なバッグ。LoopachのTHE GOODLAND MARKET別注Washing Loop Bag ¥6,820(税込)

構想がトントン拍子に進んだ背後には、もう一つルーパックの肝ともいえる仕組みに秘密がありました。

「これはグリーンダウンプロジェクトの経験なんですが、どこか1社でも自分だけが儲けたいって言い出すと環境課題解決って成り立たないんですよ。ビジネスも大事なんですが、ルーパックも全員でやる器が絶対に必要だと。なので、うちの会社とは別に、非営利の一般社団法人ルーパック・ファウンデーションを立ち上げました。ユーザーさんがルーパックを使用すると、加盟店さんからレジ袋の金額と同程度の1〜2円をお支払頂き、半分はルーパック事業に、もう半分が寄付金として運用されるという仕組みです」

寄付先はアプリ内でユーザー自身が選べ、寄付を受け取る団体の審査はルーパック・ファウンデーションの理事である環境や福祉分野のプロが行います。現在、寄付先には、日本の海岸環境の保護を目的とした国際環境NGOのサーフライダーファウンデーションジャパンや、むすびえという全国のこども食堂を支援する団体などがあります。

「僕もですが、寄付文化って日本では教育されないからあまり根付いてないんですね。でも毎日のスタイルとして、レジ袋要らない、で、ルーパックをピッとやるのがカルチャーやファッションになって、じつはこの人たち、未来のためにドネーションしてるってわかったらカッコイイと思うんです。特に僕たち以下の世代は、経済成長に並行して環境や社会に還元する行為を”イケてる”と考えていくべきなので」

またルーパックの仕組みを守るためビジネスモデルの特許も出願中だと言います。

「これは儲かるぞと私益のためだけにアイデアを使おうとする会社が数社出てしまうと、みんなでやる領域(コモンズ)の可能性が断たれてしまう。理想を実現する為には、​​ここを守らなければならないと思い、専門の先生方からもアドバイスを受け、出願したんです。こういった事実からでも、営利と非営利の掛け合わせで実現したい覚悟と想いが、大手の企業の方々にも届けばいいなと思っています」

シールタイプのLoopach
開発中のカップや容器の底に貼るシールタイプのLoopach。マイボトル等に貼ることでゲーム感覚で寄付を生み出せ、環境負荷の大きい使い捨てプラスチック容器の代替えに。

今後はバッグからリユースカップなどにもルーパックを広げていく予定ですが、直近の目標は使える場所を増やすこと。導入費用は一店舗あたり、リーダー端末代1万1000円に、サーバーなど管理費が年間2500円というから、個人商店も手軽に始められそうです。

「賛同してくれるお店を募集していますので、ビギニンを読まれて気になった方は、是非ルーパックのホームページからご連絡いただけたらと思います。使ってもらってみんなから運動的に広がっていくフェーズがないと環境と社会とビジネスの共存は難しいので」

SDGsってそれこそ玉石混交。エコとエゴ、そこにビジネスも絡み合って、どう向き合うか筆者も正直判断を留保している部分も多かったのですが、喜多さんはこの“宿題”にとても真摯に取り組んでいて、取材を通じ、私たちも本気でサステイナブルについて考え、選び、行動する時が来ているなと感じました。

Loopachのタグを読み込む店舗用の専用リーダー
Loopachのタグを読み込む専用リーダー。価格は11,000円だが、現在POP型の安価な方法も開発中。そちらが導入されると10分の1程度の価格になるという。

ルーパック Loopach EcoBag

Loopach EcoBag
本体バッグ素材にはLoopachの為に一から開発された、超極薄軽量20Dナイロンタフタ生地(左)と薄型軽量75Dナイロンタフタ生地(中央、右)を採用。自然界に存在する微生物によって水と二酸化炭素に分解される生分解性ナイロン繊維で、一定の条件下なら約3年で土壌に還ります。環境負荷を軽減するため化学染料は使わず無染色白。MとLの2型は、軽量生地ながらマイクロリップストップ。引き裂きにも強く、コンパクトに折り畳め、シンプルにバッグとしての機能も高いです。汚れたら洗濯機で水洗いも可能。3サイズ展開で左からSサイズ“Onemile”1,628円、Mサイズ“Everywhere”2,618円、Lサイズ“Market Tote”3,718円(全て税込)

(問)Loopach
https://loopach.com/customer/



写真/中島真美 文/森田哲徳

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