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プロ野球 セパ交流戦2022が開幕 BIGBOSS新庄監督 ドラゴンズ立浪監督 ソフトバンク藤本監督の新監督対決も

2005年に開幕。今年で17回目を迎える交流戦

 プロ野球は、現在、セ・パ交流戦が開催されている。日本シリーズとオールスター以外には対戦することがなかったセントラル・リーグとパシフィック・リーグがそれぞれの壁を取り払い、2005年から公式戦としてリーグをまたいで対戦するようになってから今年で18年目。2020年は新型コロナウイルス感染症のまん延により中止されたため、17回目を迎えた。

 今季は5月24日~6月12日の予定で、各チームは別リーグの6チームを相手にそれぞれ3連戦を行う。3試合×6チーム=18試合。総試合数は108におよぶ。以前は、ホーム・アンド・アウェー方式で、6試合×6チーム=36試合や、4試合×6チーム=24試合という時期もあったが、2015年から現在の試合形式となって定着した。

 導入当初は、通常のペナントレースで組まれることのないレアな顔合わせを拝める“ときめき”があり、チーム、個人とも「夢の対決」がしばしば話題になった。

リーグ1位になれればシーズン上位進出は確実か

 だが、時を経るごとに新鮮味は徐々に薄れ、代わりに近年は両リーグともペナント争いの流れを大きく変えてしまう可能性もある重要な期間という見方が強まっている。
 理由は単純明快。交流戦で勝率がリーグで1位になると、そのシーズンの成績はほぼ必ずといっていいほど上位になるというデータが示されているからだ。

 熱心なファンの間では周知の事実かもしれないが、過去10年間(2012~2021年)の交流戦で、各リーグ内1位だったチームの最終的なリーグ順位は以下のとおり。

【セ・リーグ】

12年 巨人 → リーグ優勝
13年 巨人 → リーグ優勝
14年 巨人 → リーグ優勝
15年 阪神 → 3位(優勝は交流戦リーグ3位.471のヤクルト)
16年 広島 → リーグ優勝
17年 広島 → リーグ優勝
18年 ヤクルト → 2位(優勝は交流戦リーグ4位タイ.389の広島)
19年 巨人 → リーグ優勝
20年 開催中止
21年 阪神 → 2位(優勝は交流戦リーグ4位.556のヤクルト)

【パ・リーグ】
12年 日本ハム → リーグ優勝
13年 ソフトバンク → 4位(優勝は交流戦リーグ2位.625の楽天)
14年 ソフトバンク → リーグ優勝
15年 ソフトバンク → リーグ優勝
16年 ソフトバンク → 2位(優勝は交流戦リーグ4位.556の日本ハム)
17年 ソフトバンク → リーグ優勝
18年 オリックス → 4位(優勝は交流戦リーグ4位タイ.556の西武)
19年 ソフトバンク → 2位(優勝は交流戦リーグ3位タイ.556の西武)
20年 開催中止
21年 オリックス → リーグ優勝

 交流戦1位のチームは、セ・リーグが9回中6回、パ・リーグが9回中5回もの確率で、その年のリーグ優勝を果たしている。両リーグ合わせると18回中11回=61.1パーセント。これは高い確率といっていいだろう。リーグ優勝を逃した場合をみても、ほぼすべてシーズン順位3位以上に収まっており、Bクラスに終わったのは2013年のソフトバンクただ一度しかない。
 つまり、交流戦でリーグ1位になれば、17/18=94.4パーセントの確率でクライマックスシリーズに進出しているという結果が出ているのだ。

 もちろん、だからといって「交流戦だけに照準を絞って、ここで燃え尽きてしまってでも、勝ちさえすればいいのだ!」というものではないだろう。そんなことをすれば、後半のシーズンはボロボロになるのは明らかだし、そもそも、交流戦だけを勝ちに行って確実に勝てるくらいなら、最初から苦労はないはずだ。

 この相関関係の高さは、「交流戦で1位になる→リーグ優勝できる」ではなく、あくまで「リーグ内で交流戦1位になるくらいの力量がある→そりゃあ結果的にリーグ優勝する確率が高いよね」と、逆説的にとらえるべきだろう。

 とはいえ、交流戦でリーグ1位の勝率を収めたチームは、少なくともシーズン終盤まで上位争いができるだけの力があることが証明されたようなものである。ファンは優勝への期待を大いに抱いていい。

セ・パの実力差は果たしてあるのか

 さらに、毎年のように取り沙汰される「セ・パの実力差」についても言及しておこう。交流戦開始以来、セとパのリーグ間の勝敗は以下のようになっている。


2005年 セ●104勝  7分 105勝パ○  1勝差
2006年 セ●107勝  1分 108勝パ○  1勝差
2007年 セ● 66勝  4分  74勝パ○  8勝差
2008年 セ● 71勝  0分  73勝パ○  2勝差
2009年 セ○ 70勝  7分  67勝パ●  3勝差
2010年 セ● 59勝  4分  81勝パ○ 22勝差
2011年 セ● 57勝  9分  78勝パ○ 21勝差
2012年 セ● 66勝 11分  67勝パ○  1勝差
2013年 セ● 60勝  4分  80勝パ○ 20勝差
2014年 セ● 70勝  3分  71勝パ○  1勝差
2015年 セ● 44勝  3分  61勝パ○ 17勝差
2016年 セ● 47勝  1分  60勝パ○  13勝差
2017年 セ● 51勝  1分  56勝パ○  5勝差
2018年 セ● 48勝  1分  59勝パ○ 11勝差
2019年 セ● 46勝  4分  58勝パ○ 12勝差
2020年 中止
2021年 セ○ 49勝 11分 48勝パ●  1勝差

 単純に「どっちが勝ったか?」という括りでみると、パ・リーグが14勝2敗と大きく勝ち越している。特に2010~2019年は10年連続で勝ち越し。これは圧倒的だ。
 しかし、細かい勝差までみると、たった1勝差だったシーズンが5シーズンある。さらに3勝差以内だったシーズンを含めると、7シーズンは“接戦”だったということができる。
 このあたりは「負けは負け」という見方もあるかもしれないが、全体的にセ・リーグを応援しているファンは、そこまで絶望視することはないだろう。

 日本シリーズも、2013~2020年の8年連続でパ・リーグのチームが勝利している。特にソフトバンクが巨人に対して2年連続の4連勝で日本一になった(2019~2020年)ときの衝撃が強すぎたことでついつい悲観的になりがちだが、昨年はようやくセ・リーグが交流戦に勝ち越し、日本一もヤクルトが奪還した。

 まだ結果が出ていないからいえる見解だが、今年はセ・パの力量はほぼ互角とみていいだろう。とはいえ、昨年は「延長戦なし」という特殊な条件もあったので、今一度、セ・パの力関係を見極めるために、今年の交流戦の戦いぶりが改めて注目される。

 また、個別の対決についても、楽しみなものが多い。
 日本ハムのBIGBOSS新庄監督と中日・立浪監督による人気監督対決。完全試合を達成した今もっとも話題の男・佐々木朗希(ロッテ)や、巨人の新守護神・大勢といった球界の新しい顔が、別リーグのチームを相手にどのようなパフォーマンスをみせるかも興味深い。

 なにより、両リーグのファンが通常のリーグ戦の枠を越えたお祭り期間として、観戦を楽しんでくれることを願っている。

フリーライター
キビタキビオ

《野球をメインに媒体の枠を超えて活動》
2003年より専門誌『野球小僧』(現『野球太郎』)の編集部員を務める傍ら、様々なプレーのタイムを計測する「炎のストップウオッチャー」を連載。12年にフリーとなり、インタビュー、データ、野球史の記事や選手本の構成など幅広く担当。『球辞苑』(NHK-BS1)にも出演中。

文/キビタキビオ イラスト/hico

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