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手前ミソでも言っちゃいますが、Beginは数多のブームやトレンドの起爆剤となってきたと自信があります(笑)。とくにエポックだったのが1991年に初めて紹介した『コードバン』のオールデン。当時の誌面に異様な熱気をもたらし、”いいモノの本質を伝える”という本誌の性格形成にも一役買った大事件でした。皆さんの”今” の価値基準にも大きな影響を与えていると思うのですが、いかがでしょ?
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オールデン
Vチップ コードバン

矯正靴用の内振りの強いモディファイドラストを採用した伝統の一足。個性的フォルムと快適な履き心地から、常にブランド随一の人気。国内外のファッショニスタ御用達としても有名だ。12万4000円。(問)ラコタTEL.03-3545-3322
http://www.lakotahouse.com/

尻馬"革"の夜明け
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1991年2月号

米国の優秀ファクトリーブランドの靴としてオールデンのローファーを紹介。併せてその革がコードバンであることに初めて言及。

 

イイ革にはオーラがあることに
改めて気づいた……

Begin創刊はバブル真っ只中の1988年。”ブランドもの”がもてはやされる時代の浮かれた空気をまといつつも、読者のリアルな煩悩を反映した誌面は、他誌と一線を画すものだったと自負。ただ初期は今ほどモノの本質に迫りきれてなかったかもしれません。

が、’91年にひとつの事件が。オールデンの靴はなぜ妖しく光るのか? それを紐解くなかでコードバンという素材に行き着いたんです。もっとも最初は素性を正確に把握しておらず、”馬の尻の革”くらいの単純な解説でした。しかし度々コードバンを取り上げるなかでそれでは飽き足りなくなり、次第にディープに掘り下げて解説するように。この革は原皮の表面ではなく裏面を削って作る極めて特殊な素材であること、シカゴのホーウィン社という名門タンナーのものが有名であること、そのホーウィン社の経営危機をオールデン社が救ったことなどのウンチクを順々に詳らかにしていったのです。

それらの記事は反響も大きく、結果オールデンをはじめコードバンを使った革小物が市場でバカ売れという状況に。Beginとしてもモノの本質を伝えるには素材を語ることが重要と悟り、以後ブライドルレザー、リモンタナイロン、シーアイランドコットンなどのスター素材に次々とフォーカス。つまりコードバンの発掘は、本誌が今のような路線に軌道を定めたターニングポイント。尻馬革とともにBeginにも朝日が昇ったと改めて安堵する次第です。

[ビギン2017年11月号の記事を再構成]

写真/若林武志   文/吉田 巌(十万馬力)

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