アーバンリサーチ

新型コロナウイルスが広まり早2年以上。自由に旅行!な〜んて話はもう少しお預けになりそう。ただ……我慢すれば我慢する分だけ、将来の遠出もトクベツになる予感がします。ならば、その日を夢みていまから妄想を膨らませておこう♪ そこで発動させたのが、オラウータンタイム(某大人気サスペンスドラマで主人公が推理するときに使うセリフ笑)。………ブルです!!(こちらもセリフ。答えがわかったときに言います)。“旅行できる”が当たり前じゃないことを知った私たちが、次の目的地に設定するなら、誰もが行ったことのある有名観光地じゃない。そう。穴場の番です!!

かくして、はじまったのがこの企画「穴場の番です」縮めて「穴番」。毎週事件が起こる本家よろしく、毎回一度は行ってみたくなる全国の穴場スポットをピックアップ。地元民御用達のお店や旅好きが訪れるような㊙︎スポットをビギン目線のセレクトでご紹介していきます。

初回は茨城県。魅力度ランキング下位常連ということもあり、魅力を感じていない方も多いのではないでしょうか? とはいえ、不名誉な印象を吹き飛ばす穴場を発見してきました!

トクベツな建物の中で、トクベツな作業風景を見学!
第1の穴場:ワイルドスワンズのアトリエ

今回の穴場は、1998年創業のレザーブランド「ワイルドスワンズ」のアトリエです。「ワイルドスワンズ」は1994年に財布作りからスタートしたレザーブランド。カッティングから仕上げまで全行程を自社のアトリエで行うこだわりのモノづくりに定評があり、全国のレザー好きから注目を集めています。加えてヨーロッパの皮革を中心にエレファントレザーなど希少な素材を使用することでも知られており、ビギン別注シリーズは累計200個以上の販売実績も誇ります。

アトリエがある場所は茨城県の最南端、稲作が盛んな稲敷郡河内町。2015年に現代表の父親が営なんでいた機械工場の跡地に設立されました。このアトリエで無料の見学ツアーを開催中という情報を聞きつけ、いてもたってもいられず現場へ! 実際に見学をさせていただきましたが……モノ好きの興味をそそるツアーだと自信を持ってオススメできます! 取材日はトクベツに工場長の坂さんに案内をしてもらいました。

今回の穴場の案内人

WILD SWANS工場長 坂 さん

入社11年目の大ベテラン。人気の財布“カーサ”を考案するなど、制作だけでなくデザインも担当している。フレンチワークのUSEDジャケット&デニムエプロンと、作業着にもこだわりを持つ洒落男。休日は子どもたちと一緒に外遊びへ出かける子煩悩なパパ。

疑惑編
外観がミュージアムっぽい!

現場には関東鉄道竜ヶ崎線の竜ヶ崎駅から20分ほど車を走らせると到着します。広い駐車場が設けられており駐車に困ることはありませんが、ツアーに参加する場合は駅からアトリエまでの送迎サービスを予約することもできます。ちなみに送迎車はオリジナルのカスタム車(写真2枚目)。エンブレムが“S”と“W”で構成されており、なんとお土産用のミニカーまで展開中!

 

到着して、まず驚くのがその外観です。まるでミュージアムのような佇まいをしており工房感はゼロ。おしゃれな見た目は本当にレザークラフトの工房⁉︎と半信半疑になってしまうほど。

 

聞くところによると、デザインを手掛けているのは造形作家の鯱丸邦生さんなんだとか。三鷹の森ジブリ美術館に設置されている『天空の城ラピュタ』のロボット兵などを制作された人で、このアトリエも細部までこだわったデザインになっています。外観から見ごたえ十分な「ワイルドスワンズ」のアトリエ。見学を前にして、ワクワクが止まりません!

灯台のような円筒形の部分など、建物全体に“丸っこさ”を取り入れています。

 

言われてみれば。どうしてそのようなこだわりを?(編集部タケイ

さて、なぜでしょう? 見学しながら考えてみてください!

調査編
いざアトリエ内へ!

アトリエは2階建の構造をしています。館内は土足厳禁、レザー独特のオイル臭さもなく機械音も控えめ。空調の設備も整っておりツアーに集中できる環境です。

ツアーの内容はカッティングから縫製、そして梱包作業の様子まで生産の全工程を見学することができるフルコース。およそ1時間かけて、担当のガイドさんに説明を受けながらアトリエ内を巡ります。今回は序盤・中盤・終盤の3部構成に分けてレポートをお届け!

ツアー序盤:素材選び〜裁断の工程

 

まず館内に入って見学できるのは、「ワイルドスワンズ」で取り扱い中のレザー。カットする前のクロコダイルレザーや希少なエレファントレザーに触れることができ、リアルな色味や質感を確かめられます。入り口右手にディスプレイされた抜き型を横目に通り過ぎ、続いてカッティングの工程へ。製品のパーツによってカッティングマシンを使い分けるこだわりを知ることができます。

ツアー序盤で度肝を抜かれたのは箔押しの技術を見学したとき。レザー業界で意味する箔押しとは、読んで字の如し金属箔付きでレザーに刻印をする技術のことです。

大量生産を掲げる工場では、金属箔を熱プレス機とレザーの間にセットして一度に刻印を済ませるのが一般的。しかし「ワイルドスワンズ」では通常の刻印をした上から、金属箔を挟んだ状態でもう一度刻印をし直します。これは金属箔を剥がれにくくするための工夫ですが、その分1回目と2回目の刻印の位置を正確に合わせる必要があり、生産性はガクッと下がります。

当日は坂さんに実演してもらうことに成功。1回1回刻印する場所を定規で測りながら刻印をされている姿が印象に残っています。坂さん曰く、1日20枚くらいすると結構疲労が溜まるんだとか。

ツアー中盤:ベタ付き〜ベタ張り

 

ツアー中盤はカットしたレザーを加工する工程を見学できます。レザーの厚みを調整したり、パーツとパーツを糊付けしたり。男心を刺激するプロ仕様の機械にテンションMAXになること間違いなし! 工程一つひとつに面白味があり、説明も聞き飽きることはありませんでした。

続いては緩やかなスロープを登り2階を目指します。すると、途中に大きく長い黒板が出現。描かれていたのはブランドの歴史をコミカルに表現した鯱丸さんのイラストで、モノづくり以外にも館内には見どころが山程ありました。

それにしても、なぜ鯱丸さんは建物に丸みを持たせたのか……。未だ謎は判明しません。

ツアー終盤:縫製〜箱詰め

スロープを登りきると、作業机やミシン台がキレイに整列された広い空間に到着。ツアー終盤は縫製から仕上げまでの工程を見学できます。いかにも手先の器用さが求められそうな作業を、30名ほどの工員さんがいとも容易くこなしているように見えて、取材班は感嘆のため息をつくばかり。作業の邪魔にならないよう配慮しながら、じっくりその技を目で確かめることができました。

坂さんが特に詳しく説明されたのはコバ仕上げの工程です。手の収まり具合を考えて丸く仕上げるのが「ワイルドスワンズ」の特徴らしく、触ってみるとオイルを染み込ませた滑らかな肌触りにも驚かされました。

……ってことはつまり、ブルです!!

真相編
アトリエが丸みを帯びている理由

ツアーは以上で終わり。「ワイルドスワンズ」の商品はビギン読者からも好評ですが、確かに“イイもの”である理由がわかる見学となりました。

ところで、はじめに坂さんに答えをはぐらかされた建物の形に関する謎ですが、ここまで読み進めてくださった方ならもうお気づきですよね?

建物が丸みを帯びたデザインになっているのは、コバの丸さを表現しているからですね?

よくお気づきで! 正解です。

謎が解けてスッキリしたところで、それでは第2の穴場「マルサン」へ。アトリエのすぐ隣にあり、「ワイルドスワンズ」の製品などを取り扱っています。なんでも、そのショップではパターンオーダーを受け付けてくれるらしい。限定レザーも用意してあるらしいので、ぜひ一緒に立ち寄るべき!

全国各地から革好きが集まる「ワイルドスワンズ」のアトリエ。事前に予約をしておけばガイド付きのアトリエツアーに参加できる。製作風景はもちろん、アトリエの外観や内観もこだわりが詰まっており見所が満載だ。

WILDSWANS ATELIER

住所:茨城県稲敷郡河内町長竿3886
開催日:毎月数回(オフィシャルサイトの予約カレンダーをチェック)

定休日:不定休
☎0297-85-4240

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