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人々の財布の好みは時代とともにどのように移り変わっていったのか? その財布の下克上!?の歴史を簡単イラストでご紹介!
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そう遠くない昔、日本中のあちこちで……。
独裁していたコイン派の牙城を崩し、遂に居場所を得た
お札共和国の前に、急速に力をつけたカード帝国軍が迫っていた。
戦いを回避するため、共和国は収納の守護神デカザイフを派遣したのだった……。

1970年以前
流行財布エピソードI
「チビ袋ジップ財布のお札暗黒時代」

●コイン至上主義
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長財布の信奉者もいるにはいましたが……

高度経済成長期とはいえ、大阪万博が開催された1970年でさえ、ラーメン1杯96円てなご時世。民衆の日常では、コインが常に幅を利かせていたのだった。財布界でも”コインのための財布”が長期政権を執り、「チビ袋ジップ財布」がこの世の春を謳歌することに。逆に不遇だったのがお札。本来は大切にされていいはずなのに、コインの邪魔にならないよう小さく折り畳まれ、袋の隅に追いやられる始末! 肩身の狭い思いに耐えながら、起死回生のチャンスをジッとうかがっていた……。

財布フォースな話
「なぜかいまだにタバコ屋さん近くに生息」
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ほぼ見なくなった財布だけど、絶滅したわけではない。タバコ屋さんに行くと、たまに爺ちゃんが握りしめてたりして。ズボンの尻ポケじゃなく、前ポケに入れるのが正統派。

こんなコイン財布も人気でした!2017_1203_9
金種ごとに分けられたレールに硬貨を収めていく、その名も「コインホルダー」。コイン至上主義が生んだオモシロ財布。しかし’82年の500円玉の登場とともに、減少していった。

 


 

1970年代
流行財布エピソードII
「マジックテープ財布の進撃」

●中高生財布の定番に!
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女のコの支持が得られず政権の座からすぐに転落

この時代、台頭したのがアメリカからやって来た「サーファーウォレット」である。サーファーはもちろん、全国の中高生の間で大人気となり、街のいたるところで我が物顔にバリバリ音を鳴り響かせていた。しかしながら、ある時期から「デート中、男にバリバリ支払いされると、女性は幻滅する」といった噂が急速に広まり、モテない財布という烙印が!? このときすでにLやGなどの記号系メゾンブランド財布を先取りしていた彼女たちにとって、男のバリバリ財布は幼稚に見えたのかもしれない。

財布フォースな話
「この財布を発明した人、最初は大儲けしたが、特許を取っていなかったため類似品が出回り、後悔した」
1977年にロバート・キヨサキ氏が考案。バカ売れしたが、特許を取らなかったため類似品があふれ、売り上げ激減~。ちなみにこの人、「金持ち父さん」シリーズの著者でもある。


1980年代

流行財布エピソードIII
「コインケース付き2つ折り財布の征服」

●カード創世記時代!?
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紛争解決かと思いきやまたもや新たな火種が!

お札もコインもバランスよく収まる、てな調整力のうまさで、この時代、政権の座に就いたのが「コインケース付き2つ折り財布」だった。これでようやく、お札vsコインの主導権争いに終止符が打たれるかと思ったら、第3勢力の”カード”がジワッと台頭。ただし、まだ3〜4枚程度の少数精鋭だったので、財布のカードホルダーが貧弱でも文句を言う人はいなかった。財布といえばこの形というくらい普及し、いまだにコレじゃないとダメという人も多し。

財布フォースな話
「当時は、銀行カード、レンタルビデオカード、運転免許証が入れば十分だった!」
会員カードも当時はまだ数えるほど。支払いも現金が中心で、若者が使えるクレジットカードといえば丸井の赤いカードくらいだった。


2000年代
流行財布エピソードIV
「3つ折り財布の覚醒」

●2 つ折りよりいっぱいの収納力!!
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混迷の争いを見事に回避危機を救った救世主!

カード枚数の急増に伴い、お札・コインとともに財布の中は三つ巴状態に! こうなると、2つ折り財布に解決する術などもうない。そんなとき、バツグンの収納力で事態を収拾したのが「3つ折り財布」だった。多数のカードホルダーを設けることで、自然と長財布の形状となり、結果、札室の容量はワイドに、コインケースも大型化できたりと、いいことずくめ。尻ポケに入れた姿もめっちゃカッコよく、今でも多くの支持を集めている不朽の名作財布である。

財布フォースな話
「独特のサイズ感が尻ポケに絶妙。ケツ美意識を向上させた」
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このサイズ感だからお尻のポケットに突っ込んだ姿がなんだかカッコいいと評判に。こんなの3つ折り財布以前にはなかった話。男の尻ポケに美意識が生まれた最初かもしれない。


2010年代
流行財布エピソードV
「チビ財布の逆襲」

●1軍カードと2軍カードを使い分けた!
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40年ぶりにチビ財布が主役の座に返り咲く!

会員カード、ポイントカードetc.、大量に増殖したカードだったが、よく使うのはそのうちせいぜい2枚か3枚くらい。さらにスイカやパスモといった交通ICカードの出現で、頻繁に使うカードとそうでないものの線引きがより鮮明になってきた。「出番の少ないポイントカードなどは母艦である長財布に収め、頻繁に使うカードと小銭は、機動力のあるチビ財布に収納するのがベストである」。この時代、そのような分離派の意見が説得力を持ち、すぐに「財布は2個持ち」が常識になったのだ。

財布フォースな話
「交通ICカードがチビ財布人気を後押ししたのだ」
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当初は定期券の延長という感覚で専用ケースに入れる人も多かったが、非接触型に慣れていくうち財布内でも問題がないことを実感! これがチビ財布人気に拍車をかけたのかも。


2012年
流行財布エピソードVI
「デカジップ財布の天下統一」

●レディスから飛び火!?
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長い争いを終結させた財布を巡る発想の大転換

この時期、財布に対する男の意識に劇的な変化が起こった。「財布はポケットに入れて持ち歩くもの」という常識からの脱却である! 直接的な原因は、カードがポケットに収まらないほど増えちゃったからだが、「無理してポケットに入れる必要なくね?」と頭を切り替えたことで、「2個持ち」の呪縛からも解放されることに。代わりに存在感を増したのが「デカジップ財布」。何でも呑み込むフトコロの深さで争いを制し、見事、天下統一を果たしたのだ。

財布フォースな話
「大量のカードまみれでポケットに財布を入れるのをあきらめたのだった!?」
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今でこそデカジップは男度満点なイメージだけど、以前はOLちゃんぽい財布!?といわれていた。その便利さにやっと気づき、男らしいデカジップが続々と誕生していったのだ。


2017年~
流行財布エピソードⅦ
「チビ財布3度目の復活!?」

スマホの進化により現金はもちろん、カードも最小限の時代へ
財布は現金と決別する前夜!?

ポイントカードや会員カードなど、いくつも必要だったカード類もスマホの進化により必要最小限の時代へ突入。これからは現金すら持たない時代へと突き進むのか……!?

[ビギン2015年5月号の記事を再構成]

文/星野勘太郎 イラスト/植竹マッカーサー

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