特集・連載
イラストレーター 綿谷 寛さんをめぐる、これからのシン・スタンダードとは #028
100人をめぐる、これからのシン・スタンダード モノを持たない風潮の今、本当に価値のあるモノってなんだろう? 身の丈に合わないモノはいらないし、ファストな使い捨てモノなんてもっといらない! とはいえ一切無駄を省いた生活もなんだか味気ないような……。大切なのは、何を所有するかよりも、どう向き合うかという視点。モノ選びの賢人たちは今、何を選び、どんなライフスタイルを志向するのか? 100人への取材を通じて、これからのスタンダードを探ります。 この記事は特集・連載「100人をめぐる、これからのシン・スタンダード」#28です。
「人生の最期に食べるのは自家製のぬか漬けに決めた」
イラストレーター 綿谷 寛さん
最期の晩餐は絶対ぬか漬け! それも漬かりすぎて酸っぱくなった古漬けがいい。子供の頃から母の漬けたぬか漬けが大好きで、特に漬物を細かく刻んで、すりおろし生姜と醤油で和えた一品が好物でした。
左官職人だった父の手伝いをしていたときは、ぬか漬けにうまみ調味料と醤油をかけて軽食にしていたっけ。ただでさえ酸っぱい漬物をさらに味濃くしていたからか(笑)、漬物はあっさりよりもガツンと派。
今でもふらっと定食屋に入ったら、漬物の味はまず気にします。酸っぱい漬物は手をかけないと出せない“家庭の味”なので。漬かりすぎの漬物を出す店が、僕にとっての「美味しい店」の基準ともいえますね。
「ぬかチューブ」との出会いは、妻の実家から帰る途中に立ち寄った沼田市のスーパーです。「ラップでくるむだけでいいなんて簡単だし、面白そうじゃない!」って興味本位で買ってみたら、しっかり野菜が漬かってびっくり。過去に糠の手入れで苦戦した身からすれば、手が汚れずお手軽な点も助かるね。
これに出会ってから、定期的に胡瓜を漬けています。おふくろの味とはまた違うけれど、毎日の食卓でぬか漬けを愉しむのにありがたい存在。地方への旅行に持っていって、地元野菜を漬けた朝食もいいなぁ~。
コミローナ
ぬかチューブ
漬けたい食材の上にのせて、ラップでくるめば一晩でぬか漬けが完成。食べたい量に合わせて糠の量を調整できる。また糠床の手入れが不要なのも魅力。「ラップdeカンタンぬかチューブ」170g。378円(コーセーフーズ)
スタイリスト
綿谷 寛(わたたにひろし)
1957年生まれ。トラッドスタイルからコミカルなタッチまで手掛けるファッションイラストレーター。ビギン連載「居酒屋ナウのれん」では、“画伯”の愛称でお馴染み。ぬか漬けは胡瓜、茄子、小かぶが好き。
※表示価格は税込み
[ビギン2021年12月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。