特集・連載
伝承される海の機能服。フィデリティのメルトン ピーコート
モノすごい機能で選ぶ冬の服 昨今進化が止まらない「モノすごい機能服」たちは、その性能を考えると冬を待たずに、“売り切れ→後悔”コースの逸材ばかり。「防寒」はもとより、「防止透湿」「発熱」「拡張」「伸縮」さらには、「抗菌」まで。時代の進化&人々の要望の中で爆誕しまくる最新鋭の機能服を、わかりやすく解説します♪ この記事は特集・連載「モノすごい機能で選ぶ冬の服」#08です。
今や当たり前の定番も、じつはれっきとした機能服。先人が生んだ名品を改めて見直してみましょう。
先人の知恵が今に生きる[伝承]機能服
米海軍に納入実績を持つ正統メルトン
機能的な服は日進月歩、どんどんアップデートしています。そんな現代だからこそ、改めて見直すと、眩い輝きを放つ機能服がありますよね。例えばピーコート。今では冬アウターのド定番で、クラシカルな風貌から機能とは縁がないようなイメージがあるかも。もしそうであれば、ぜひルーツを知っておくべきです。
ピーコートは欧州の漁師の外套から派生し、19世紀には英国海軍に採用されます。その特徴といえば防寒・防風性に長けた目の詰まったメルトン。そして右前と左前、どちらにも対応できるダブルの前合わせです。
ともに船上での防寒対策に適した機能ですが、ダブルの前合わせはピーコートが海の機能服であることを示す、象徴的なディテールといえます。なぜなら船上の風向きに合わせて右前、左前を変えて、雨風の侵入を防ぐ機能だから。
また米国海軍がピーコートを採用すると、前合わせのボタンには錨の刻印が刻まれ、海軍の誇りを示すものとなりました。
そんな海の機能服を今に伝承しているのが1941年創業のフィデリティ。米国海軍に納入していた実績を持つ、まさに機能服としてお墨付きのリアルなピーコートです。
もとより正統ながら土臭く見えないタイトフィットがウリでしたが、今季はレギュラーフィットに改良。アームホールにゆとりをもたせ、身幅も若干広めに設定することでジャケットなどとレイヤードしやすく、着心地が格段にアップしているんです。
しかも、ウールアウターで2万円台の良心プライス♡ 袖を通せば、きっと心まで温まることでしょう。
FIDELITY[フィデリティ]
メルトン10B Pコート(右)
メルトン8B Pコート(左)
右は古きよき米海軍のピーコートである10ボタンモデル。ジャケット裾が隠れる着丈で通勤にも便利。左はショート丈の8ボタン。すっきりブルゾン感覚で着回しも楽チンだ。右/2万9700円。左/2万4200円(サンマリノ)
由緒正しきアンカーボタンも!
[今どきアレンジポイント]
しっかりヘビーオンスなのに柔らか~いメルトン♡
今冬より上質で柔らかなウールを使用し、余分な樹脂を加えず自然な風合いを生かした加工に変更。約24オンスと肉厚ながら非常に柔らかいタッチで、ストレスのない着心地が楽しめる。
※表示価格は税込み
[ビギン2021年12月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。