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HOTTA CARPET 堀田カーペットのWOOLTILE

色々あったこの2年。個人的に有意義だったのは、住まいを見直せた事かなと思います。外出したい気持ちを抑え、家の中で充足感を得るーーそんな生活にシフトすると、良きにつけ悪しきにつけ、自分が想像以上に室内環境から影響を受けているのを感じました。日照時間の短い北欧では、家にいる時間が長く、心地良さを求めて照明や家具を工夫したと聞きますが、灯りやインテリアはもちろん、観葉植物を置いたり、お気に入りのポスターを飾るだけでも“何か”が変わる気がします。このニュアンス、言葉にするのは難しいですが、暮らしのベースとなるささやかな幸福感、最近の言葉でいうと“Well-Being”が高まるといえば適切かもしれません。

“日々の持続的な幸せ感”をさりげなく底上げしてくれるーー北欧のアイテムが人気なのはそんな理由からだと思いますが、ライトや調度品と同じくらい“Well-Being”な環境を作れるのに、日本の家屋であまり使われていないモノがあります。

それが今回の主役“カーペット”です。

堀田カーペット株式会社 堀田将矢

ホテルや空港の一部にはカーペットが敷かれていますよね。歩くと気分も高まりますが、じつはあれ、チェックインや入国審査で感じるストレスを軽減させる効果があるんだそう。確かに、足裏から伝わる感触はソフトで、歩く音は静かだし、模様やデザインも楽しい。床材としてカーペットのポテンシャルは相当高いと思います。でも実際、自宅に使うとしたら躊躇する人も多いのでは? フローリングと比べたら、ダニやホコリが心配だし、汚れた時の掃除も大変そう……なんてイメージで。ここだけの話、取材前まで、筆者もそう考えていました。

「世間に流布するカーペットの認識は誤解が多いんです」と訴えるのは、堀田将矢さん。“誰もが簡単に床を装えるDIYカーペット「WOOLTILE」”を開発したビギニンで「ウールカーペットを日本の文化にする」という目標を掲げ奮闘する「堀田カーペット」の3代目です。

今回のビギニン

堀田カーペット株式会社 堀田将矢
堀田カーペット株式会社 堀田将矢

1978年大阪府生まれ。北海道大学経済学部卒業後、2002年トヨタ自動車株式会社に入社、バイヤーとして活躍する。勤務5年目に、父から「家業を継ぐかどうか決めて欲しい」と電話があり、熟慮の結果「父親と一緒に働いてみたい」という気持ち優先し、2008年トヨタを退職。同年、堀田カーペット株式会社に入社する。2017年、3代目として代表取締役社長に就任。五人家族で、玄関ホール、廊下、階段、寝室、子供部屋、リビングダイニング、キッチン、脱衣所と、風呂場とトイレ以外全ての床にカーペットを敷いた自邸「カーペットの家」に暮らし、自ら「生活者」としてカーペットライフを実践。カーペット伝道師としての啓蒙活動を続ける。

我々が持つカーペットの知識ってどれくらい正しいのでしょう? というわけで、今回はカーペットにまつわる“常識”のアップデートからスタートします。

Idea:
カーペットに対する“誤った常識”が流布している

堀田カーペット株式会社 堀田将矢

北海道大学を卒業後、新卒でトヨタ自動車に入社した堀田さんが、後継者として家業の「堀田カーペット」に転職したのは2008年のことでした。

「戻った時はリーマンショックの後で、結構厳しい状況だったんです。ぼくらの商品はゼネコンの業界に属しているんで景気にかなり左右されるし、正直一番難しいタイミングでしたね」

それに加えて、1993年に新築住宅の床面積のうち20%程度を占めていたカーペットが、2005年には0.2%と1/100まで激減。その原因は、防音機能が向上したフローリングの床材が主流になった事と、カーペットに関する“誤情報”が流れたせいでした。

「カーペットの内部にホコリがたまり健康に良くないという認識が広がってしまったんです。特に『アレルギー』『ダニ』というイメージは業界全体にダメージを与えました」

HOTTA CARPET 堀田カーペットのWOOLTILE
ウールカーペットを広めるため制作した羊の系譜もわかるトランプ

思い返せば子供の頃、筆者の部屋にもカーペットが敷かれていたのですが、アレルギー性鼻炎を発症し、カーペットが原因かもしれないと、取り外された記憶があります。

「カーペットの毛が抜けてホコリが増すと思われるかもしれませんが、事実は逆で、カーペットはハウスダストを吸着させ、ホコリが舞い上がりにくい環境を作ります。フローリングなどの硬い床材と比べ、空気中に漂うホコリの量は1/10程度まで軽減されるんです」

最近ではカーペットを敷いた方がアレルギーが発症しにくくなるという研究結果あるそうです。ではもう一つの“ダニ”問題は?

「ダニの生育条件は人間が快適と感じる環境と重なります。なので、カーペットも掃除せず放置すると発生の可能性はあります。ただ、布団に比べればおよそ1/100程度と低く、ダニはウールを食べないので、掃除機を日常的にかけて、ダニの餌となるゴミを取り除けば、温床になることはありません」

あっと驚く新事実ですが、裏付けがないまま信じられているネガティヴな情報は他にもあると堀田さんの話は続きます。

例えば、汚れやすく、夏暑い。じつはこれもウールカーペットに限れば正反対で、羊毛に含まれる油分やキューティクルが水分をはじくので、汚れ自体が発生しにくく、もし付着しても落としやすいという特徴があります。ただし、お湯(温度の高い液体)だとキューティクルが開いてしまうのでそこは要注意なんだとか。

「ウールカーペットの表面を爪で引っ掻くと、こんな感じで(2枚目の写真)毛が少しずつ削れます。普段の掃除機をかけるときもじつは同じようなことが起きていて、表面の汚れの付いたウールが少しずつ削れて綺麗な状態をキープできるんです。」

また新事実。「それだと生地がどんどん瘦せていくのでは?」の疑問には、密度がしっかりあるので、耐久年数より先にそう感じることはないとのこと。また調温・調湿性にも優れ、湿気の多い時期もベタつかかず、夏は涼しく快適に過ごせます。冬場の結露防止も効果が期待できると言います。

Trigger:
“本当は快適な”カーペットライフをユーザーに伝える

堀田カーペット株式会社 堀田将矢

堀田カーペットへ入社し、商品の理解を深めるにつれ、堀田さんは「なぜこんないいモノが売れないのか」というジレンマを抱きます。

「当時、すでに父(先代社長)の作った『woolfloring(ウールフローリング)』という自社ブランドがありました。専門の職人が施工する敷き込みカーペットで、内側にクッション材を入れ、より柔らかい踏み心地を実現したプロダクトなんですが、自分たちが思ってる以上にお客さんに知られていなくて…。自信を持ってモノを作るのはもちろん、その魅力を誰に、どう伝えるか。今後、会社が残っていくには、ブランディングが必須だと強く意識するようになりました」

堀田カーペット 工場

大阪府和泉市に本社を構える堀田カーペットは、1962年の創業以来「ウィルトンカーペット」を主力商品としています。「ウィルトン」は18世紀イギリス・ウィルトン地方をルーツに持つカーペットの製法で、地経糸、緯糸、覆縦糸を交差するように強く締め付けて得られる抜群の耐久性に加え、堀田カーペットでは原毛に英国産ウールを用い、機能性と気品ある風合いを実現。そのクオリティは業界屈指で、高級ホテルや有名メゾン、国際会議場にも採用されています。しかし、一般の人がそれを知る機会はなく、カーペット文化は風前の灯。このままBtoB一本では厳しいと踏んだ堀田さんは、エンドユーザーに向けて舵を切ります。

「ぼくらの商品はお客さんが、自宅を新築したり、リノベーションする時『カーペットの暮らしをしたい』と思ってもらわないと始まりません。そのために、まず消費者の方に訴えかけることを意識したんです」

そして生まれたのが「COURT(コート)」でした。「新しいプロダクトはBtoC、お客さんとコミュニケーションを取っていくために作ったブランドです」と堀田さん。前出の「woolflooring」はカーペットの良さが存分に味わえる反面、職人による施工が必須です。いわばプロユースの商品なのに対し、「COURT」は個人向けのラグブランド。手軽にウールカーペットの暮らしを取り入れることができます。

「『COURT』を立ち上げると、有り難いことに幾つかのメディアで取り上げて頂き、その流れで、次は会社に興味を持って貰えるよう堀田カーペット全体のリブランディングを行いました。ロゴ、ウェブサイトを一新し、堀田カーペットの良さを実際に体験してもらえるようオフィスも改装しました」

その後、工場見学に訪れる人は年間300人に達し、新生「堀田カーペット」は好調なスタートを切りました。同時期に堀田さんも社長に就任。「日本にもう一度、カーペットの文化をつくる」というビジョン掲げ動き出します。後編は、3代目として更なる挑戦“世界に一つだけのタイルカーペット”作りがスタートします。

精緻に柄が繋がるタイルカーペットはなぜできたのか? 後編に続く

HOTTA CARPET 堀田カーペットのWOOLTILE

WOOLTILE
誰もが簡単にDIYで設置でき、組み合わせ次第で様々なデザインをつくれる50㎝×50㎝の正方形のタイルカーペット。希少なウール素材を使用し柔らかく心地良い肌触りで、水をはじき、汚れにも強くお手入れも簡単だ。防音効果もあるためマンションにもおすすめ。ウールは「天然のエアコン」と呼ばれるほど調温・調湿効果に優れ、夏でも快適に使える。写真のPUZZLEシリーズは1枚4950円(税込)

(問)堀田カーペット
https://hdc.co.jp/


写真/中島真美 文/森田哲徳

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