本間昭光
プロデューサーとして、アレンジャーとして、作曲家として、誰もが口ずさめるヒットソングを数多く生み出してきたホンマさんは、大のモノ好き。興味を持ったらとことん!な性格から、あらゆるモノに深い思い入れがあります。そんなホンマさんの愛するモノの中から、音にまつわるアイテムにフォーカス。その魅力&エピソードを語っていただく連載、♯09は“お取り寄せ”です!!
透明感のある見た目にして味は特濃
『鬼鯖鮨』は鬼のように美味い!
突然ですが、サバが好きです。豊洲市場までわざわざ買いに行って、自分で捌いてしめて食べちゃうくらい好き。どうせなら究めたいので、お鮨屋さんに行ったときは、しめ鯖の作り方を大将に聞くようにしています。すると面白いことに、それぞれのお店に工夫がある。皮は酢でしめるんだけど身は昆布じめにするとか、砂糖でしめて塩でしめて、希釈した酢でまたしめるとか。聞いたことを家で実践するのがまた面白いんですね。
でも思うのは、どんな工夫をしても結局は“素材次第”ということ。スーパーで安く売っているサバでは、工夫を凝らしてもやっぱりイイ味が出ないんですよ。逆をいえば、最高の素材でしめ鯖を作れば、最高に美味しいしめ鯖になる。そんな最高のしめ鯖を堪能できるお取り寄せが、今回のお題の主役である三井楽水産の『鬼鯖鮨』です。
東シナ海で水揚げされた新鮮な真鯖を、秘伝の旨酢に漬け込んだ鮨。『五島鬼鯖鮨 ダブル』は身を2枚重ねたタイプで、特濃の旨味を贅沢に味わえる。専用しょう油付き。一日50本限定出荷。送料別途。2916円(三井楽水産 https://onisaba.com/)※なお2021年7月27日現在、飛行機減便のため関東エリアへの配送は休止中とのこと。
じつは生粋のグルメで知られる方が絶賛していると聞いて取り寄せたのですが、これがまあ美味しすぎちゃって! ぼくが食べたのは「鬼鯖鮨ダブル」というもので、身が2枚重ねで、そこに薄い昆布が乗っている。見た目にはものすごい透明感があるんだけど、甘みと旨味がとにかく濃い。特濃。酢飯の具合も抜群で、固すぎず柔らかすぎず。“とっておき”ってこういうのを言うんだろうなと思いました。
ちなみに鬼鯖のネーミングは、鯖の名産地であり、三井楽水産が居を構える五島列島の“鬼岳”にちなんで名付けたものとのことです。響きもいいですよね。
一度冷凍で処理をしているので、アニサキスの心配もナシ。余談も余談ですが、アニサキスは日本海側と太平洋側とでは種類が違って、日本海側のアニサキスは宿主が死んでも内臓にとどまるタイプ、太平洋側のアニサキスは、宿主が死ぬと身の中に入ってしまうタイプが多いそうです。24時間凍らせると死滅するので通常は凍らせてからしめますが、生を売りにしているお鮨屋さんなどは、ブラックライトで身を照らして見つけ、一個一個取り除いているらしいですよ。なので、豊洲市場にもブラックライトが売っています(笑)。
来年末まで予約で埋まっているクッキーがある!?
ほかにお取り寄せの品で美味しかったのが「村上開新堂」のクッキー。顧客からの紹介がないと購入できないもので、ぼくはその方からいただきました。かなり軽いサクサクした食感で、素朴だけど滋味深い味……これにはハマったなぁ。
ただ残念なことに、手作りのため作れる量に限りがあり、今は顧客が新たに紹介できるのも1年に1人のみ。しかも2022年12月までのクッキーが予約で埋まっているとのことでした。まさに激レア! お取り寄せにもこんな世界があるんですね。
明治から続く老舗洋菓子店のクッキー詰め合わせ。型で1つ1つを抜き、焼き上げるそのクッキーは、サクッと軽い食感までプレミアムだ。お目にかかれたらラッキーな逸品。
一番美味しいのは産地直送!
現地で食べるのが究極だ
それからもう1つ、ぼくがお取り寄せでハマっているのが「玄米」。お米は精米すると酸化が進んでしまうので、玄米で買って、食べる直前に精米するのが一番美味しいんですよ。精米も機械を使えばカンタン。ぼくはアイリスオーヤマの精米機を愛用しています。
それから酒蔵直送の日本酒がウマいのと一緒で、お米も産地直送が美味しい。先日は岐阜から「龍の瞳」というこれまた凄いブランド名の玄米を取り寄せて食べましたが、美味しかったなぁ。皆さんもぜひ、精米したての美味しいお米を楽しんでください。
コシヒカリの田んぼで偶然生まれた水稲品種『いのちの壱』のお米を、品質、美味しさ、粒の大きさの3基準で厳しく検査。基準をクリアした最高級のブランド米が『龍の瞳』だ。大粒で粘りが強く、旨みと甘みが口いっぱいに広がる。通販では玄米、白米の指定が可能。8月2日より公式通販サイトにて2021年産の新米予約がスタートする(龍の瞳 https://ryunohitomi.jp/)
シンセサイザーも現地の“電気”で鳴らすのが一番!?
産地直送が美味しいなら、現地で食べればなお美味しいのは自然の道理。コンサートで新潟に行ったときに食べたお米がまさにそうで、佃煮だけでまあ、ご飯が進んだ進んだ。新潟の米を新潟の水で炊いているのも、美味しさの要かと思います。米と水の相性は、切っても切り離せないのです。
現地が一番、相性が大事というのは、楽器の世界でも同じ。ぼくはいつも米国ブランドのシンセサイザーを使っているのですが、アメリカへ持っていって演奏したら「なんじゃコレ!?」と衝撃を受けるくらい凄くイイ音がしました。
日本とアメリカではコンセントの電圧が違いますから、日本で向こうの製品を使うときは電源に昇圧トランスをかませて鳴らしています。でも、そもそもはアメリカの電気で演奏するように作られたものですから、米どころの水と一緒で、現地の電気を使ったほうがイイ音が鳴るのも当然なんです。
日本にいながら米国のスタジオの音も使えるソフトウェアシンセ
ちなみに今は「ソフトウェアシンセ」というものがあって、現地の音がソフトウェア上にサンプリングされていますから、どの環境にあっても一番気持ちイイ音で録音できます。
ジェネレックのモニタースピーカー「GLM4」なんて、自分が聴くポジションにマイクを置いて音を計測し、そのデータを本国に送ると即座にAIで理想的なイコライザー設定をして戻してくれる。これらは“どこにいても”の先端を行く製品といえますね。
脱線ついでにいうと、コンサートの音響(PA)でもAIの活躍が目覚ましい。今はどの席でもイイ音で聴けるように、高音と低音のスピード調整やらステレオイメージやら、全部AIが調整してくれるんです。昔は悪名高かった東京ドームでのコンサートも、今はイイ音で聴けますからね。いついかなる環境でも、最良のモノを生み出せる時代がやってきたというわけです。
とても恵まれた時代だと思いますが、だからこそ人間力を磨かないと呑み込まれてしまうような気がします。埋没しないためにも、常に磨いていたいものですね。ときには美味しいお取り寄せでも食べて(笑)。
本間昭光(ほんま あきみつ)
1964年大阪生まれ。’88年に「マイカ音楽研究所」に入学。松任谷正隆氏に師事し、作曲アレンジを学ぶ。’89年、上京とともに「ハーフトーンミュージック」に所属し、アレンジャーやサポートミュージシャンとしての音楽活動を開始。
’99年にak.homma名義でポルノグラフィティのトータルプロデュース・作曲を担当。「アポロ」や「サウダージ」等のヒット曲を数々生み出す。2009年には、いきものがかり「なくもんか」の編曲を担当し、その後も「ありがとう」など、多くの楽曲のサウンドプロデュースを担う。最近ではアレンジを手掛けた筒美京平先生のトリビュートアルバム『筒美京平SONG BOOK』が発売中。また2020年にバンダイナムコアーツとともに立ち上げた「Purple One Star」レーベルでは、レーベルプロデューサーを担当。80’sの世界観を完全に再現した第一弾アーティスト、降幡 愛が話題。2021年9月29日(水)発売、1stシングル『ハネムーン』に収録される「シークレット・シュガー」のMVを公開中↓↓↓
降幡 愛オフィシャル YouTube Channel
https://www.youtube.com/channel/UCWfhLoV53Rwdc9WGw735IUg