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ベースキャンプ地 骨寺村荘園交流館

昨今のアウトドア人気を牽引するブランドであり、先進企業としての注目度も高い「スノーピーク」。信頼度の高いギア、そして近年では独創的なウェア分野でも話題です。筆者も実はここのテントやクッカーなどを愛用する“スノーピーカー”の一人。

モノの素晴らしさもさることながら、共感するのはここのキャッチコピー「人生に、野遊びを。」シンプルながらいいお言葉です。3年ほど前までは“人生に、夜遊びを”送ってきた私ですが、今ではすっかりキャンパーになり、自然の中で過ごす楽しさにハマっております。

snow peak スノーピーク LOCAL WEAR TOURISM

前置きが長くなりましたが、スノーピークは2年ほど前から「LOCAL WEAR TOURISM」なるツアーイベントを主催しています。「LOCAL WEAR」とは、その土地ならではの風土や技法をリスペクトしたスノーピークの新しいアパレルライン。日本各地の服作りの現場で後継者不足が加速するなか、地域に根づいた労働と作業着の関係を追体験することで、日本の魅力的な文化や産業を知ることを目指したツアーです。

どなたでも参加可能なツアーで、これまで新潟県佐渡市、見附市、栃尾(現・長岡市)などで開催され、キャンプをしながら、ローカルの自然、人、文化に触れることができます。今回はスノーピークユーザーの方々に交じり、紅葉が美しい11月の岩手県一関市へのツアーに参加してまいりました。なかなか濃密な“ワイルド&アカデミック”な24時間の滞在。時間軸とともにリポートします!

「LOCAL WEAR TOURISM in ICHINOSEKI 2nd」と題したツアーの行程は?

【1日目】
11:30 JR一ノ関駅に集合→キャンプ会場となる骨寺村荘園交流館へ
12:30 開会式・トークセッション
13:30 スノーピークのスタッフとともにテント設営
15:00 京屋染物店にて「手ぬぐい染め体験」
18:00 休憩・地元の温泉へ
19:30 夕食は岩手の旬の食材を使ったBBQアウトドアディナー
20:30 焚火ラウンジ
22:00 テントにて就寝・消灯

【2日目】
06:00 起床・テント撤収
07:00 毛越寺(もうつうじ)にて早朝座禅体験・境内散策
08:30 観自在王院跡庭園にて朝食
09:30 秀衡塗(ひでひらぬり) 翁知屋にてうるしの勉強会
11:00 平泉文化遺産センター見学
12:30 JR一ノ関駅にて閉会式・記念撮影

本日の寝床は中世の荘園跡地で“野営”です!

ベースキャンプ地 骨寺村荘園交流館

現地集合場所のJR一ノ関駅から、スノーピークのスタッフの皆さん、ツアー参加の方々とともに向かった先は「骨寺村荘園交流館」。荘園? そう小学校の歴史の授業で習った荘園です。約800年前に奥州藤原氏が栄えた時代の荘園の跡地が、今回のベースキャンプ地となります。

snow peak スノーピーク LOCAL WEAR TOURISM 開会式

地元の方々に交じりウェルカムドリンクならぬ“ウェルカムお餅”で歓迎のセレモニーのあとは、今ツアーのテーマ“LOCAL WEAR”についてスノーピーク社長・山井梨沙さん×一関で100年以上の歴史を有する京屋染物店の蜂谷淳平さんのトークセッションへ。

snow peak スノーピーク LOCAL WEAR TOURISM トークセッション

スノーピークのアパレル製品にも実はここの染物が数多くあります。蜂谷さんのお言葉で印象に残ったのは「古来よりお祭り文化が盛んな岩手県には1000以上ものお祭りがあり、京屋染物店では、絆纏(はんてん)などお祭りの衣装を作ってきました。この地では鹿供養の祭りもあり、自然への敬意は欠かせないものです。コミュニティと絆が生まれる点で祭りもキャンプも同じ。私たちは東日本大震災を経験し、改めてお祭り文化を通して、人、地域がつながっていくことを大切にしています。ちなみに絆纏って絆を纏うとも書くんです!」。なるほど! いいお話に感動しました。

ベースキャンプ地 骨寺村荘園交流館

その後は、各自で“寝床”をつくります。スノーピークスタッフの丁寧なアドバイスを受けながらのテント設営です。何もなかった野原に、一気にスノーピークの名モデルの数々が設営されていく様は圧巻です!

世界にひとつだけをつくる! 手ぬぐい染め体験へ

京屋染物店

ツアーの午後のメインは「京屋染物店」での染め体験。ここでは参加者全員が、スノーピークのアスタリスクの型と、事前に準備していただいた各々の名前(漢字)の型を好きな場所に配置して、いざ捺染作業にトライ。

京屋染物店 手ぬぐい染め体験

その後、張り上げ作業で乾かし、染料で洗い、翌日に完成品の手ぬぐいをいただけるとのこと。仕上がりが楽しみ!

京屋染物店 手ぬぐい染め体験

街の散策は徒歩で。一関市は歴史のある街並みに、古くからある老舗店が数多くあります。創業明治36年の和菓子店「松栄堂本店」では、昔の蔵を生かした歴史資料蔵「寿梅文庫」を今回特別に拝観させていただきました。ここの名物「ごま摺り団子」はオススメです!

松栄堂本店

世嬉の一酒造

そして、大正7年創業の蔵元「世嬉の一酒造」では利き酒コーナーでちょいと一杯いただいちゃいました。

世嬉の一酒造 利き酒コーナー

野で食べ、呑み、火を囲み、語る。人間らしさを取り戻すひとときです。

街散策のあとは、地元温泉に立ち寄り、疲れを癒やしたら、夜の宴タイムです。キャンプ地「骨寺村荘園交流館」に戻り、夕食。宿泊テントとは別に各グループに用意されたテント内で地元料理をいただきます。メインは鹿肉料理! その日に捕れた新鮮な肉は絶品です。

骨寺村荘園交流館 テント内

骨寺村荘園交流館 テント

夕食 鹿肉料理

宴のゲストとして地元の方々による“鹿踊(ししおどり)”を目の前でご披露いただきました。激しく、たくましく、そして悲哀も感じる舞。古から人間が生きるうえに欠かせなかった鹿へ対する畏敬の念を感じ、普段、都会で暮らす人間にとっては、とても心に響きました。

鹿踊

一日の〆は焚火ラウンジで語らう

骨寺村荘園交流館 焚火ラウンジ

野に作られた特設“焚火ラウンジ”で、最後は今回の旅の参加者と地元の方々と語らいます。

はじめましてなお隣さんとも、火を囲んだらもう“同志”です! 美しい星空と澄んだ空気、パチッと心地いい音がそうさせるんですね。やっぱりキャンプは最高。太古の昔から、人間って本質的に変わってないんだと実感します。夜も更け盛り上がってまいりましたが、早朝から“座禅体験”がある翌日に備え、皆さん22時に就寝(したはず?)。


2日目の朝は、テント撤収からの座禅体験へ

キャンプでは私自身、だいたい目覚ましなしで起きられます。鳥のさえずりがアラーム変わりの自然起床が基本。この日の起床は6時。目覚めてすぐ、自分の寝床を綺麗に撤収作業。けっこう朝晩の冷え込みはありましたが、スノーピークの冬用シュラフのおかげで熟睡できました。

本日も昼まで予定はびっしり。まず向かったのは、毛越寺(もうつうじ)。貴重な座禅体験です。何とこちら、世界遺産のひとつ! 2011年に「平泉‐仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群‐」の構成資産として登録された貴重な場所で、今回特別に皆さんと座禅。

毛越寺

毛越寺 座禅体験

人生初体験でしたが、煩悩を忘れ、その瞬間に意識を集中することで心が整います。座禅が終わり、おなかが空いてきました。早起きすると朝ご飯が楽しみですね~。

朝食場所は、毛越寺隣の観自在王院跡庭園という最高のアウトサイドで!

観自在王院跡庭園

特別史跡で朝食! なんて贅沢なんでしょう。外で食べるご飯は格別ですが、今日は特に別格です。しかも紅葉のベストシーズン!

朝食 きのこの混ぜご飯 豚汁 お漬物

前日の晩御飯も作ってくれた地元の料理人・細田真弓さんが、きのこの混ぜご飯、豚汁、お漬物などをふるまってくれました! あっさり優しい素朴な味が冷えた体と心に沁みます。

奥州藤原氏が栄えた世界遺産の地の文化を学ぶ

朝食を済ませたら地元文化のお勉強タイム。翁知屋さんという「秀衡塗」(ひでひらぬり)の技術を継承する工房へ。秀衡塗とは、藤原秀衡が平安末期に京都より職人を招聘して、この地の漆と金をふんだんに使ってつくらせたことが起源とされる漆器とその技法です。岩手県には、このように奥州藤原氏が遺した文化が今も根付いているのだと勉強になりました!

翁知屋 秀衡塗 漆器

その後は、平泉や一関の歴史、文化が学べる平泉文化遺産センターを見学し、すべての行程が終了。一同でJR一ノ関駅へ。24時間前に集合した発着の地で記念撮影。前日につくった“マイ手ぬぐい”が旅の最高のお土産ですね。

Beginの大野 スノーピークのスタッフ

キャンプと旅をともにした参加者、スノーピークスタッフとは、ここでお別れです。濃厚な時間を過ごし、スノーピークが大切にしているアウトドア×ローカル文化を体感できた24時間。自然好き、キャンプ好きは皆いい人ばかり、温かいご対応でツアーのお客様をもてなしていたスノーピークスタッフの皆さん、貴重な体験をありがとうございました!

snow peak スノーピーク LOCAL WEAR TOURISM 集合写真


取材・文/大野 陽(Begin編集部)

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