特集・連載
上質素材のニューノーマル研究【ジーターウール編】
一点上質主義 これから先どうなっちゃうの〜!?って、こんな時代に欲しいモノがあっても買えないよ(涙)って人も多いことかと。不要不急の外出はせず、買い物は生活必需品だけ……、という窮屈な日々に改めて気づかされるのは「いらないモノはいらない」という当たり前の真実。それならば! こんな時代だからこそ、「これさえあれば」を考えるのが“GOOD LIFE BIBLE”たるビギンの使命。徹底的に無駄を省いて、「これから」の生活を豊かにしてくれる“いいモノ”を一点だけ買い足してみませんか? というのが本特集のご提案です。 この記事は特集・連載「一点上質主義」#30です。
生活様式が見直された昨今、上質の価値観も変わってきてるんじゃありません? ここでは“今” 一点投入したくなる上質素材にフィーチャー。一発目は手軽に洗えるのに品が持続する、ウールの吊り天竺生地を詳報します。
ミリ単位の“技”が生む
ウール100%なのに洗濯機OKな吊り編み“天竺T”
(ループウィラー 鈴木 諭さん・談)
今やウォッシャブルウールのカットソー自体は珍しいものではありません。目指したのは、その一歩先。自宅で手軽に洗えるのはもちろん、艶やかで品を感じるうえに、ハリ、コシもあって耐久性も折り紙付き……そんな新しいロンTが作りたかったんです。
そこで白羽の矢を立てたのがジーターウール。ニットの聖地、山形県寒河江市にある老舗紡績メーカー、佐藤繊維が開発したこの特殊なウール糸は、前述の要素が全部入りした、まさに理想の素材!……なんですが、これを旧式の吊り編み機で生地に編み立てるのは、もうビックリするほど大変でした(苦笑)。
ジーターウールは繊維が細くてデリケートなうえ、コットンより摩擦が大きく、針に抵抗を生んでしまうんです。すると編み機の回転数が安定せず、生地が一定のクオリティに仕上がらない。
しかも編み機自体にも個体差があるから、解決するには職人さんがつきっきりでチェックして、安定しない編み機の歯車を数ミリずらす……という気が遠くなるほどの管理と調整が必要だったんです。
十八番の吊り編み機を使ってイチから生地開発
結局和歌山の吊り編み工場、カネキチ工業さんと何度も試作を重ね、1年以上の時間をかけて、ようやくジーターウールの吊り天竺生地が完成。
洗濯を繰り返してもシワになりにくく、目地や杢感の美しさを長くキープできるタフな生地は、ループウィラーの新定番になってくれると確信しています。
LOOPWHEELER[ループウィラー]
ウォッシャブル ウールロングTシャツ
ジーターウールの60番手双糸を、旧式吊り編み機で編み立てた天竺生地は、品がいいのにイージーケア。春夏は一枚でサラッと、秋冬はベースレイヤーとして年中フルに活躍する! 2万2000円。(ループウィラー 千駄ヶ谷)
ループウィラー 代表
鈴木 諭さん
1999年に同ブランドを立ち上げ、吊り編みスウェットの人気を復権させたレジェンド。旧式吊り編み機を使った生地開発もお手の物。
※表示価格は税抜き
[ビギン2020年10月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。