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「洋服の青山」の新作セットアップは、生地タグになぜかコーデュラの文字が! 聞けばコチラ、“コンバットウール”という最新素材で、ウールの特性はそのままに、高い耐摩耗性を叶えたのだとか。インビスタ ジャパンの川㟢隆史さんに開発背景をうかがいました。

コンバットウールCHRISTIAN ORANI クリスチャン オラーニ セットアップ

米軍の後方支援部隊で採用されていたコンバットウール
(インビスタ ジャパン 川㟢隆史さん・談)

“コンバットウール”の解説をする前に、まずコーデュラとはなんぞや、についてお話ししますね。我々インビスタはデュポン社の繊維部門を源流とする会社で、コーデュラはそのデュポンが開発したナイロン6・6繊維を使った糸や生地のこと。ブランド化したのは1967年です。

ナイロン6・6はポリマー同士の結びつきが強く、軽量ながら摩擦や引き裂き強度に優れます。コーデュラはまずアウトドア系のバッグに使われ、やがてワークやミリタリーと幅広く用いられるように。それに伴い生地の種類も広がっていきました。

防弾チョッキに使われたバリスティックもコーデュラの仲間。当社では現在“コーデュラ・バリスティック”の名前で展開しています。そもそもバリスティックはコーデュラ・ブランドができる以前にデュポンが開発した生地で、本来は織り方の名称。2本のナイロン6・6を縒って1本にした糸を、目を詰めたオックスフォード織りにして強度を高めたものを指したんですね。

米軍が戦闘服の素材として採用コンバットウール

また衣料用としてはコーデュラの繊維にコットンを混紡した“コーデュラ・NYCO”という生地もあり、米軍が戦闘服の素材として’90年代からずっと採用。コンバットウールはこれをウール混に変えたもので、“丈夫なウールの制服を作りたい”という米軍の要請で2014年に開発しました。

ただ最初のコンバットウールは、かなり厚手でガチガチ。軍の制服ならこれでも十分ですが、一般的なスーツにはハードすぎる。

そこでスーツ生地の老舗商社である瀧定名古屋さんと組み、今どきのスーツ生地としてまったく遜色のないしなやかで上質な生地へと改良。それを洋服の青山さんが、まずは股部分の生地の擦り切れに悩む方が多いキングサイズのスーツから採用し、今季は遂に旬のセットアップにも用いてくれたんです。

もちろんスーツ生地用コンバットウールも耐久性はそのまま。第三者機関の試験では、通常のウールに比べ10倍以上の摩擦強度と実証されました。スーツを酷使する営業職の方に、また流行りのリュック通勤にも適した最強の生地だと自負しています。

一方あまりに丈夫な生地ゆえ、ユーザーのスーツ買い替え頻度が下がるのでは?という懸念もありますが(笑)、瀧定さんが持つ技術力で今やコンバットウールは織り方も色柄も自由自在。皆さんがつい買い足したくなる生地バリを展開していきますので、今後もぜひご期待ください。
 

シックに着用できるのに戦闘服のようにタフ!

CHRISTIAN ORANI[クリスチャン オラーニ]
セットアップ

クラシコ調のセットアップにコーデュラ コンバットウールを採用。通常のナイロンの約7倍の強度を叶えつつ、風合いはほぼウール100%のそれだ。ジャケット1万9000円、パンツ7900円。(洋服の青山 池袋東口総本店)

コーデュラ コンバットウール
コーデュラ コンバットウール

川㟢隆史さん

インビスタ ジャパン
パフォーマンスソリューションズ事業部
川㟢隆史さん

日本の大手合繊会社を経て、2015年にインビスタ ジャパンへ。日本におけるコーデュラ関連ビジネスの総責任者を務めている。趣味は水泳で、ライフセービングの免許も持つ。

 
※表示価格は税抜き


[ビギン2020年3月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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