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Artek アルテック スツール60

リビングのA級モノといえば傑作チェア。なかでもビギンがはじめに考えるのは、現実的に複数用意できるアルテックのスツール 60。その魅力を知り尽くすインテリアのプロ、ジョースズキさんの言葉に目を通しましょう。

使う人を選ばない。親しみ深い傑作チェア
― 談・インテリア評論家 ジョースズキさん

世にある傑作チェアのなかでも、アルテックのスツール 60ほど“クラスレス”に、万人に親しまれるものはないでしょう。手掛けたのはフィンランドのアルヴァ・アアルト。ル・コルビュジエらと同時期に活躍した建築家ですが、僕はもっと評価されていいと思う。

Artek アルテック スツール60

フィンランドの伝統家具には、丸い座面に三本脚の木製スツールがありました。スツール 60はこれをリデザインしたともいわれています。1920年代に起こったバウハウスムーブメントにより、最先端デザイナーたちは当時、スチールパイプを使いたがっていた。

実はアアルトのスツールも、当初はスチールパイプの三本脚。でもフィンランドは鉄資源に乏しい。また寒冷の地には肌触りが冷たく、アアルトは適してないと考えた。

そこで自国の豊富な白樺のバーチ材に着目。フィンランドは木材を扱う技術にも長けていました。そんな背景から生まれたのが、世界で初めてバーチの無垢材を直角に曲げた「L-レッグ」。しっかり丈夫で安定感もある、現在も変わらない本当に素晴らしい技術です。

そしてアアルトは1933年に、L-レッグと丸い座面を接合したスツール 60を発表します。するとロンドンの展示会で、美しいプロポーションと木製の温かみが大好評になった。そこでアートとテクノロジーを合わせた社名である、アルテックを設立。スツール 60の量産体制に入りました。 

以降、スツール 60は欧米で大人気に。その人気ぶりは、バウハウス出身のデザイナーたちがそれまで鉄で作っていた製品を、木材で作り直すに及んだほどです

また1938年にアアルトが米国で講演を行い、これに感銘を受けたイームズはのちに数々の名作を生み出した。アルネ・ヤコブセンのセブンチェアは、そのイームズの影響を受けている。各時代の名作にもDNAが宿っているんですね。

Artek アルテック スツール 60

「スタッキングできて、サイドテーブル、インテリアetc.にもなる、一生使えるU-3万円チェアはほかにない」

スツール 60は誕生から90年近くモデルチェンジしておらず、いかに普遍的かがわかります。空間を選ばないし、サイドテーブルにもなる。さらに、観葉植物を置いてインテリアにだって変身。スタッキングできて省スペースになり、その姿がまた素敵なんだよなぁ。
 
傑作チェアがU-3万円で買えるのは素晴らしい。何脚か揃えることだって可能ですしね。耐久性も申し分なしと、まさに一生使える“タイムレス”な一脚なのです。

インテリア評論家 ジョースズキさん

インテリア評論家
ジョースズキさん

少年期を多くの名建築があるブラジルで過ごし、建築、インテリアに開眼。執筆とともに、日本で唯一の本格的なデザインギャラリー、「ギャラリー田村ジョー」を運営する。

Artek アルテック スツール60

Artek[アルテック]
スツール 60

今では多くのL-レッグ風スツール、模倣商品があるが、ココこそが本家! 美しいフィンランド産バーチ材を使い、現在も変わらぬフィンランド工場で生産している。Φ35×H44cm。黄色2万7000円。白、黒各2万9000円。ナチュラル2万3000円。(以上、アルテック)
 

湾曲したL-レッグだからスタッキングも美しい!

Artek アルテック スツール 60

L-レッグは、無垢の一本木に緻密に計算された溝を施し、そこにベニヤを挟んで構成されている。よって、直角に曲げることが可能になった。高い耐久性に加え、無垢材の味わいをそのまま堪能できるのも大きな魅力だ。
 

アルテックの生みの親アルヴァ・アアルト

アルヴァ・アアルト

20世紀を代表するフィンランドのモダニズム建築家。家具やテキスタイルのデザインでも名高い。1935年に、3人の仲間とともにアルテックを設立。アアルトが考案したL-レッグは、アルテックの特許技術となった。
 
※表示価格は税抜き


[ビギン2019年11月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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