1964年、日本を熱くした“もうひとつの”名作!?
職人の美学が息づく究極シンプルな造形美
バタフライスツールで有名な天童木工に“もうひとつの”名作チェアがあるのご存じでした? 1955年、元宮大工の工場長、加藤徳吉氏が作業用チェアとしてデザインしたリングスツール。1964年の東京五輪開催時には、そのドーナツ型の形状から一世を風靡した、チェア史に残る傑作です。
約60年前の歴史を感じる写真にもリングスツールが
美しくも頑強な作りは今も健在。何層にも重ねた積層合板を斜めにカットした座裏は息をのむほど美しく、脚との接合部はネジひとつないのに「一度はめると絶対に抜けない」と言われるほど堅牢。
さらにシートの張り合わせにも釘を使わず、座の側面に彫った3ミリの溝にシートを打ち込み、さらにその上を電線コードで巻く「丸天張り」と呼ばれる手間隙かかる手法で美しく仕上げられています。究極シンプルなデザインにこそ、職人の美学あり。世紀を超えた傑作に、今また注目が集まります!
Tendo Mokko[天童木工:山形]
リングスツール
シンプルデザインに職人技が凝縮。座の側面に3mmの溝を作ってシートを打ち込み、その上に電線コードが埋め込まれている。斜めにカットされた座面裏と脚は特殊な技法で接合されており、一見華奢に見えるが、極めて丈夫。直径32×H44.2cm。各3万2000円。(天童木工)


※表示価格は税抜き
[ビギン2019年10月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。