ブルックス ブラザーズの200年は「アメリカの歴史」そのものだ #ブルックス ブラザーズを学ぶ03
米国大統領の権威を演出するザ・アメリカンスーツ
アメリカブランドのプレステージを語るうえで、「大統領が公務で着用した」というフレーズほど力を持つものはないだろう。その代表格がブルックス ブラザーズ。
歴代45人中じつに40人もの大統領が同ブランドのアイテムを着用した。リンカーンはスーツからフロックコートまで一式を、ジョン・F・ケネディは2つボタンのナンバーツースーツを愛用など、さまざまなエピソードが残されている。
その一挙手一投足、いで立ちが常に世界の注目を浴びるミスター・プレジデントに選ばれたスーツ。その事実がスタイルの普遍性と比類なき品質を証明する。
着用しなかった5人のうち、初代から3代まではブランド創立前。つまり選ばなかったのはロナルド・レーガンとジミー・カーターの2人のみだ。ちなみに、前大統領バラク・オバマも現大統領ドナルド・トランプも着用していた。
マディソン スーツ / MADISON SUIT
ブランドを代表するスーツ。ボックスシルエット、ナチュラルショルダー、3B段返り。アメトラスーツの模範たる一着。ブルックスブラザーズのスーツ8万9000円、同シャツ1万3000円、同タイ1万2000円、同チーフ5000円(以上、ブルックス ブラザーズ ジャパン)
本店に残された歴史的遺産というべき鏡
ニューヨークのマディソン街にある本店には第16代大統領リンカーンのために製作された鏡が残されている。理由は身長190cm以上あったリンカーンには特大サイズの姿見が必要だったから。
黄金の羊はアメリカンドリームをつかんだ証
銀幕の中でも外でもスターを虜にした
ブルックス ブラザーズのアイテムが象徴するのは政治的な権威だけではない。その顧客リストには名だたる銀幕の俳優や一時代を築き上げたアーティスト、ミュージシャンの名前がずらりと並ぶ。
クラーク・ゲーブルは結婚式にオーダースーツを着用し、アンディ・ウォーホルは広告制作で初めて得た収入で白いポロカラーシャツを100枚購入したといわれている。
20世紀を代表するファッションアイコンたちもまた、ブルックス ブラザーズのデザインやクオリティに魅了されたのだ。政治の世界のみならず、カルチャーにも大きな足跡を残す200年の歩みは、文字通りアメリカの歴史そのものだ。
オックスフォード ポロカラーシャツ / OXFORDPOLO COLLAR SHIRT
巻き伏せ本縫いや袖とカフスの間のギャザーなど誕生以来ほぼ仕様を変えずに生産するシャツ。ノースキャロライナの自社工場製。1万9000円(ブルックス ブラザーズ ジャパン)
フレッド・アステア、ダスティン・ホフマンもポロカラーシャツを愛用。スティーブ・マックイーンは本店にショップカードが残る。米国の人気キャラ、カーミットの『マペット』でのタキシードも同ブランドが仕立てたとか。
アートシーンでもその権威は絶大
生前「服は全部ブルックス ブラザーズで買っていた」と話したアンディ・ウォーホル。ジャズ界の帝王マイルス・デイビスも’60年代後半まで同ブランドのスーツでステージに立った。
エリートの証=ブルックスブラザーズは今も変わらない
200th カレッジリング / 200th COLLEGE RING
米国の将来を担うアイビーリーガーにとってブルックス ブラザーズはユニフォーム的な存在。そんな歴史にちなみ200周年限定のカレッジリング風の指輪が登場。6月展開予定。3万6000円(ブルックス ブラザーズ ジャパン)
※表示価格は税抜き
[ビギン2018年6月号の記事を再構成]
写真/上野 敦(プルミエジュアン) 竹内一将(STUH) 文/押条良太(押条事務所) スタイリング/武内雅英(CODE) ヘアメイク/北村達彦 イラスト/TOMOYA