今日から始める美味しい暮らし[ベジカジライフ]#13

完成された曲線美に姿勢を正される北欧の玉座

「ビジカジ」に始まり、あらゆる分野でカジュアル化が加速する昨今。次のジャンルは? と問われれば、それはズバリ、ガーデニングである! ベジタブル×カジュアル、名付けて「ベジカジ」。週末農家・坂下史郎さんが徒然なるままに書き連ねる、ちょっぴり土臭くて小粋なファッション放談。

週末農家・坂下史郎のベジカジライフ
キルコダンのガーデニングチェア

まだ暖かかった先月が嘘のように寒い。ここ最近の塩山も、気温が一桁台の日もざらにあったり、俄然温かい食べ物が恋しくなってくる冷え込みようだ。さて今回紹介する野菜、ビーツ(テーブルビート)は、昔から“食べる輸血”とか“食べる点滴”と比喩される野菜。和名で「火焔菜」と呼ばれる真っ赤な色もさることながら、その栄養価の高さからそう呼ばれているようだ。塩山よりもずっと寒さが厳しい北国・ロシアの家庭料理「ボルシチ」にも使われるぐらいだから、寒さには相当強いのだろう。自分で育てる前は、ほぼ口にしたことがない野菜だったが、せっかく育てるのだから、珍しい野菜を育てたいという気持ちがあり、野菜を作り始めた当初から種を買って栽培している。最初は収穫時期が来て、今まで見た事がない深い赤色をし、大きな玉ねぎくらいの丸い形に感動したことを覚えている。当然嬉しくなり、SNSに収穫したビーツの写真を載せて、“今夜はビーツイート”と投稿した。もちろん頭の中で流れていたのはマイケルではなく、アル・ヤンコビックの方である(笑)。

このビーツ、味はというとカブに似ているような感じではあるが、甘みとビーツ独特の味(?)があり、生食だとお世辞にも美味とは言い難い。ただ、茹でて柔らかくなると格段に美味しくなり、酢漬けにするとなかなかいけるのだ。ロシア料理のボルシチは、この独特の甘みのある味わいと真っ赤な色のスープのインパクトで、多分世界中で人気となったのだろう。

ロシアはじめ北欧などの寒い地域で食べられているビーツに合わせて、今回は北欧デンマークでガーデニング家具を作っている、「キルコダン」というブランドのガーデニングチェアを紹介したい。世界の中でも指折りの高品質なチーク材で作られており、一目見てその素材の質感とデザインの曲線美に惚れ込んで、結局4脚も購入してしまった。巷のガーデニングチェアにはない、座面とアームの緩やかな曲線、そしてしっかりとした脚部の作りなど、デザイン家具大国デンマークの気品を感じずにはいられない。そもそもこの椅子を初めて見た時まで、キルコダンというメーカーのことは何も知らなかった。キルコダン社自体は創業が1980年代と、歴史は浅いメーカーではあるが、世界に進出する某大型北欧家具ブランドの店舗にはない、しっかりと地に足をつけて品質の良い物を作っている精神を感じる。そのモノづくりへの姿勢は大いに見習うところがあるし、何より、庭に置いたときにしっくりくる雰囲気が格別なのだ。

キルコダンのガーデニングチェア

北欧家具ならでは面の良さに一目ぼれし、数年前にネットで購入したもの。憶測だが、屋外での使用が前提の家具ゆえ、当然屋内の家具に比べて傷みやすく、いわゆるヴィンテージの弾数も少ないのではないかと思う。相場価格は1万5000円~2万円程度(※編集部調べ)

①ひじ掛け、座面、背もたれの曲線が組み合わさり、極上の座り心地を生み出す。
②普段は畳んでガレージにしまっており、来客時などに出している。
③ビーツの種は「グリーンフィールドプロジェクト」という会社のサイトで購入している。色々見ているだけで来シーズンの庭の妄想が膨らむ。

坂下史郎

坂下史郎

さかしたしろう/1970年生まれ。セレクトショップや著名ブランドのMD職を経て独立。2015年から都内と山梨・塩山での二拠点生活を始め、以来週末の山暮らしがルーティンに。デザイナーとしての顔も持ち、自身が手掛けるブランド「221VILLAGE(221ヴィレッジ)」と「迷迭香(マンネンロウ)」には、その趣向を反映させた街⇄山で活躍する機能服が揃う。

連載[週末農家・坂下史郎のベジカジライフ]
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https://www.instagram.com/vegicasual_begin/

※表示価格は税込み


[ビギン2023年2-3月号の記事を再構成]文/坂下史郎 写真/丸益功紀(BOIL)

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