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こいずみ道具店の香遣

週末農家・坂下史郎のベジカジライフ
こいずみ道具店の香遣

一昔前に比べると、現代は生活の全てが豊かになった。例えば輸入のインフラ。珍しい食べ物が世界中から入ってくるし、一度人気に火がつくと、あっという間に近所のスーパーの一角を陣取っている、なんてこともザラだ。

思えば京野菜もその類だろうか。国産の野菜でありながら昔はあまり出回っていなかったが、今ではよく見かける。自分は京野菜に特別興味がある方ではなかったが、ある時“万願寺とジャコの炊いたん”という京料理で万願寺トウガラシに出会い、以来毎年育てるほど虜になっている。

“トウガラシ”と名が付く割に辛くなく、独特の甘みがとても美味しい京野菜だ。また“万願寺”という響きからも、とてもゆっくりと時間が流れていた頃の日本の夏の情景が湧いてくる。

日本の夏のイメージは何か? その一つに蚊取り線香があると思う。その昔、夏になると蚊取り線香はどの家庭でも煙を立ち昇らせていて、ひと夏の消費量も桁違いだったに違いない。

半世紀以上前の“金鳥の夏、日本の夏”の名コピーが今なお親しまれている通り、やはりあの香りは日本人の鼻の奥に刻まれていて、何処からか漂ってくると心が落ち着く。だからこそ様々な防虫機器にも駆逐されず、今も残っているように思う。

昨今の音楽シーンで例えるなら、サブスク配信=ワンプッシュ蚊取りスプレー、アナログレコード=蚊取り線香といった具合だろうか。であれば必然、アナログレコード(蚊取り線香)を聴く(焚く)ためのレコードプレイヤー(蚊取り線香入れ)もほしくなる。

一番の基準は、土いじり中に身近に置けるよう持ち運びでき、火元が剥き出しになっていないこと。その両方を満たしたうえにデザインまで気に入ってしまったのが、世界的に有名な小泉誠さんがデザインした蚊遣だった(じつは蚊取り線香入れの正式名称は「蚊遣器(かやりき)」というらしい)。

>> この続きは8月16日発売の「ビギン10月号」でご覧ください!

 
こいずみ道具店の香遣

こいずみ道具店の香遣

軽くて丈夫なアルミ製のボディに手巻きの籐(ラタン)を施しており、家具デザイナー・小泉誠氏によるモダン×クラフト感のバランスが秀逸。夏が過ぎれば、室内でお香などを焚いたり一年中使うことができる。W13.4×H2.8×D14cm。7920円(こいずみ道具店)

こいずみ道具店の香遣

①土いじり中、こんな感じで近くに吊っている。しっかり水平をキープしてくれるので、火の扱いに気を揉むこともない。

こいずみ道具店の香遣

②持ち手を畳めばコンパクトになり、収納にも困らない。

万願寺トウガラシ

③京都・舞鶴の万願寺地方が原産とされる万願寺トウガラシ。数ある中でも上位に入る人気京野菜の一つだろう。

坂下史郎

坂下史郎

さかしたしろう/1970年生まれ。セレクトショップや著名ブランドのMD職を経て独立。2015年から都内と山梨・塩山での二拠点生活を始め、以来毎週末の山暮らしがルーティンに。自身が手掛けるブランドの一つである「迷迭香」には、その趣向を反映させた街⇄アウトドアで活躍する機能服が豊富に揃う。

連載[週末農家・坂下史郎のベジカジライフ]
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[ビギン2023年10月号の記事を再構成]文/坂下史郎 写真/丸益功紀(BOIL)

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