特集・連載
「神の手による衝撃的な美しさに後先考えず即決しました」パルミジャーニ・フルリエ
センスがエグい腕時計ガイド ビギンは考えました。センスがいい人は、腕時計選びの背景にも光るものがあるはずだ。時計との巡りあわせは、時にその人の生き様までも垣間見えるのです。だからこそ、えげつないセンスを感じさせる愛機の選び方を知りたい! 時計は、持ち主の味(センス)が現れるものだから。 この記事は特集・連載「センスがエグい腕時計ガイド」#26です。
ウールリッチジャパン 鈴 琢磨さんの俺的名作時計
【パルミジャーニ・フルリエ】トリック クロノメーター
出会ったのは6年ほど前。フランスのスーパーカーブランド、ブガッティに勤めていた頃でした。ちょうどパルミジャーニ・フルリエとブガッティがパートナーシップを結んだタイミング。
さらにこのトリック クロノメーターがローンチされた時期と重なっていたこともあって、創設者にして“神の手を持つ”とも称される天才時計師、ミシェル・パルミジャーニさんとお会いできることになったんです。
そこで初めてこの時計を見させていただいた時、衝撃を受けたんです……なんて美しい時計だろう!って。建築学にも精通するミシェルさんらしく、要所が黄金比をもとに設計されていて、とにかくエレガント。アイコンでもあるベゼルのモルタージュも手作業で彫られたもので、たった一人の職人しか携われないそう。
そうしたこだわりをミシェルさんから直々にお聞きしているうちに、所有欲を抑えられなくなってしまい、気づけば後先考えずその場で“購入させてください!”とお願いしていました(苦笑)。
僕にとっては非常に高い買い物だったんですが、今は着けるたびに買っておいてよかったと実感。径40.8mmと少し大きくてカジュアルな装いにも馴染むし、スーツに合わせると絶妙な外しにもなる。色々な装いに映えるんです。
通ウケも抜群で、時計ジャーナリストの方などにお会いすると、大抵非常に珍しがられてお褒めいただける。直感で購入した自分の審美眼も捨てたものじゃないな、と。
パルミジャーニ・フルリエ
トリック クロノメーター
ルクルトのレベルソやIWCのポルトギーゼ等、定番力の高い名品を愛用してきた鈴さんが、自分史上一番美しい時計と溺愛するのがこれ。同社は細かなパーツもほぼ自社で製作する正真正銘のマニファクチュールとして、世界中の時計好きからリスペクトされる存在。
今作も気品漂うデザインに注視しがちだが、55時間パワーリザーブを実現した自社製のCOSC認定クロノメーター、Cal.PF331を搭載するなど、実用性も高い。6時位置のデイト表示は、毎月1日のみ赤い数字が現れるため、月初は必ず着用するようにしているそう。
ウールリッチジャパン マーケティング部 部長
鈴 琢磨さん
1974年生まれ。名だたる名門のPR&マーケティングに携わってきた敏腕。車好きとしても著名で愛車はロータスのエキシージ410。
[おいしい時計選びの極意]他者評価より自分の審美眼を信じる
[ビギン2023年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。