特集・連載
“通しか知らない”をサクッと学ぶ[10minutes ヴィンテージ]
「街に馴染みやすいエポレットなしの初期型M-65は1年間のみ生産された盲点名作」
10minutes VINTAGE ヴィンテージ=難しい? ノンノンノン♪ 通しか知らない名品も、目印を頼ればビギナーでも簡単に発掘できちゃうんです。その道のプロが、目指すべきターゲットと、その判別テクをサクッとレクチャー。10分後はあなたもヴィンテージ通! この記事は特集・連載「10minutes VINTAGE」#11です。
エポレットなしのM-65
TEACHER:フーパードゥー 代表 杉浦秀治さん
数あるミリタリーもののなかでも、傑作と謳われるM-65 フィールドジャケット。これまで数え切れないほど多くのブランドが、この米国生まれの名品を元ネタにしたアウターをリリースしてますが、ヴィンテージ市場においてもその人気は不動。
とくに服好きがこぞって奪い合っているのが、通称“ファースト”と呼ばれる最初期モデルです。杉浦さん曰く、「M-65はM-43やM-51の系譜を継ぐ、言わばフィールドジャケットの完成形。」
「1965年に米軍に納入されて以来、何度かマイナーチェンジを加えながら40年近くにわたって実戦投入されてきた名品中の名品なんですが、面白いのは’65~’66年半ばまでに作られたM-65だけエポレットが省略されていること。」
ミリタリー風味控えめだからとっつきやすい
「理由は不明なんですが、’66年半ば以降にエポレットが復活していることから、わずか1年しか作られていないと推測されています」。
杉浦さんがこれまで1200着以上海外でバイイングしてきて、わずか30着程度しか見つけられなかったという、まさに幻の逸品。
「ですがその希少価値だけじゃなく、エポレットがないぶんミリタリー色が控えめになってるところもファーストの魅力。街着として使いやすいからビギナーの入門ヴィンテージとしても最適なんです」
M-65 1stフィールドジャケット
1965年から40年近くも米軍に納入されていたミリタリーの永世定番。フロントに4つのポケットを備えたアイコニックなデザインは、数々のブランドから元ネタとされている。初年度に作られたファーストモデルはエポレットが採用されておらず、希少性も汎用性もすこぶる高し! 1万4800円(フーパードゥー)
コンマー社のアルミジップも目印
5分で暗記できる
歴代M-65[判別講座]
ビミョ〜に仕様を変更しながら長らく生産されてきたM-65。ここでは代表的な4世代モデルまでの変遷をレクチャー!
M-65 field jacket《2nd》
アルミジップとエポレットが目印
M-65の誕生から約1年後の1966年中ごろから1971年ごろにかけて作られていたのが第2世代。アルミ製のジップが使われているなど、仕様はファーストとほぼ同じだが、エポレットが復活したぶん、よりミリタリー然とした顔つきに。1万2800円(フーパードゥー)
超絶レアなグレーライニング
通常は身生地とライニングは同色だが、’68年製のものはまれにグレーのライニングを装備。“グレライ”などと呼ばれる希少品だ。
M-65 field jacket《3nd》
渋〜い表情のブラスジップへとチェンジ
1972年ごろから1980年代半ばまで作られていたのが第3世代。この頃になると、シルバーカラーのアルミジップからブロンズカラーのブラス(真鍮)ジップへと変更される。渋みが増した顔つきにファンも多い。ジップのメーカーは多数存在。9800円(フーパードゥー)
M-65 field jacket《4th》
プラスチック製のジップに変更
1980年代半ばから1990年代前半まで作られていたのが第4世代。身生地と同じオリーブカラーのプラスチックジップに変更されているのが特徴だ。この第4世代以降はオリーブボディのM-65は生産されず、カモフラ柄のM-65へと移行していく。(参考商品)
フーパードゥー 代表
杉浦秀治さん
千葉県にある人気古着店のボス。軍モノに明るく、これまで1200着以上のM-65を買い付け&販売し、膨大な知識を誇るM-65通だ。
[ビギン2020年2月号の記事を再構成]写真/上野 敦(プルミエジュアン) 文/黒澤正人