特集・連載
“通しか知らない”をサクッと学ぶ[10minutes ヴィンテージ]
「浅色コーデュロイは玄人がこぞって奪い合う“わかってる”の勲章」
Barbour この記事は特集・連載「Barbour」#29です。
ヴィンテージ=難しい? ノンノンノン♪ 通しか知らない名品も、目印を頼ればビギナーでも簡単に発掘できちゃうんです。その道のプロが、目指すべきターゲットと、その判別テクをサクッとレクチャー。10分後はあなたもビンテージ通!
’85年以前の浅色ビデイル
TEACHER:ブリティッシュ ワックス ジャケット マーケット代表 山岸祐太さん
バブアーはヴィンテージ市場においても秋冬の定番銘柄になってるんですが、同社の数ある名作のなかでも、玄人たちがピンポイントで狙いを定めているのが、色の浅いコーデュロイ衿が採用されているビデイル。
無骨に品を添えるモカ色
現行はダークブラウン
山岸さん曰く、「ゲームフェアやボーダーといったコート丈も売れ筋ですが、やっぱり短丈のビデイルは不動の人気。とくに浅色コーデュロイが使われているビデイルは古くて希少性があるため、毎年この時季になると争奪戦が繰り広げられています」。
衿に使われているコーデュロイにバリエが存在していたのは驚き! 山岸さんはデッドストックを含むヴィンテージバブアーを山ほど蒐集するなかで色の違いに気づいたそうで、
「ボディが定番のセージカラーの場合、衿はダークブラウンと決まっていますが、それは生産方式等がキチッと固まった’85年の下半期以降のこと。意外と知られていないんですが、’85年の上半期より前に作られた製品には、モカやグレー、ライトブラウンといった色みの異なる複数のコーデュロイが使われているんです。」
「身生地とよりコントラストがついて見える浅色ビデイルは、無骨なのに品も感じられる。“わかってる”と無言で主張できることから玄人ウケも抜群です」
バブアーのビデイル
’85年製のビデイル。両胸に通称“縦ポケ”が備えられているのに加え、衿にモカ色のコーデュロイが採用されている希少品だ。こちらはフード付きの良コンディションゆえ少々値は張るが、浅色ビデイルはサイズやコンディション次第で4万円台からでも購入可能。34インチ。8万円(ブリティッシュ ワックスジャケット マーケット)
愛らしいモカ色のコーデュロイ衿
褪色したボディのグラデーションも味あり
微差こそ大差!なカラーCOLOR[研究]
1985年の上半期以前に作られたビデイルには、衿に複数の色バリが存在。違いを生む代表的なカラーをオサライしておきましょう。
明度が最も高い都会派レアカラー《グレー》
セージボディはブラウン衿とのコンビがお決まり!……と思ったら、なんとかつてはグレーのコーデュロイ衿も存在。’80年代のわずか数シーズンしか使われていなかったレア色はツチノコばりの希少価値あり。(参考商品)
浅〜い色合いがとことん優しげな《ライトブラウン》
通常より一段明るいブラウンコーデュロイが採用されたビデイルは、雰囲気がかなりマイルド。こちらは1クラウン&タグ付きの極上ヴィンテージ。36インチ。16万1820円(ブリティッシュ ワックスジャケット マーケット)
’85年の下半期から現在まで主流になった《ダークブラウン》
馴染み深いダークブラウンは生産方式が統制された’85年の下半期以降に定着したと思われる。こちらは1987年製の縦ポケ付きビデイルのデッドストック。40インチ。8万円(ブリティッシュ ワックスジャケット マーケット)
内ポケのタグを見れば年代がズバッとわかる♡
最初の2文字が製造年を表す
他モデルが製造年等を示すタグを衿に備えているのに対し、ビデイルは右胸の内ポケ内に備えているため、年代物でもほとんど欠損していないそう。簡単に製造年が判別できるのでバースイヤービデイルを見つけるってのもありかも♡
ブリティッシュ ワックス ジャケット マーケット代表
山岸祐太さん
常時200着以上のヴィンテージバブアーを揃えている専門店のボス。年4回程英国に買い付けに行き、膨大な知識をストックしている。
[ビギン2020年1月号の記事を再構成]写真/上野 敦(プルミエジュアン) 文/黒澤正人