ティソ「シデラル」は’70年代フューチャー顔が超イイお味

ケース素材にスウェーデン製グラスファイバーが使用された、1971年発売のティソ「シデラルS」（左）と、それをベースモデルとし、そこに現代的解釈を加えてバージョンアップが図られた最新作「ティソ シデラル」（右）。

往年の名カジュアルモデルをイマの解釈でバージョンアップ

スイス時計の名門ティソ（TISSOT／1853年、ル・ロックルにて創業）が1969年に発売した「シデラル（Sideral）」は、軽く、耐傷性にすぐれ、酸に強く、温度変化に影響されにくいなどの特性から多くの航空機や船舶、レーシングカーなどにも利用されているグラスファイバーをケース素材とし、そこにミッドセンチュリーの流れを汲むシンプル＆モダンなデザインと手頃な価格などを組み合わせたことで、多くの若者たちから支持を集めた革新的、かつ人気のモデルでした。

来たる7月21日に発売予定の「ティソ シデラル」（トップ写真右）は、そんな往年の「シデラル」シリーズのうち、1971年に登場した「シデラル S」（トップ写真左）をルーツモデルにした、ティソの最新作です。レガッタカウントダウンゲージ（ヨットレースにおけるカウントダウン用目盛り）併載の文字盤は「シデラル S」と同様で、しかし、それをより洗練化したデザインに。また、レトロなトノー型ケースでは、その素材をグラスファイバーに代え、これに匹敵する軽量性や弾性などを備えたフォージドカーボン（短繊維を樹脂に含浸させ、高温・高圧でプレス成形することでできあがるカーボンファイバーのこと。一般的なカーボンファイバーをしのぐ耐久性をもち、より複雑な形状を再現できる）に変更。しかも、ティソのオリジナル「パワーマティック 80」搭載によってパワーリザーブが最長80時間に強化され、この自動巻きムーブメントの動作が目の当たりにできるよう、シースルーバック仕様に変更されてもいます。

一方、ストラップは1969年の初代「シデラル」にも使用されたラバー製のものを採用。当時、革新的なバックルと評され、’70年代「シデラル」シリーズを象徴するディテールにもなった「ブレスレットクリップシステム」も、そのまま踏襲されております。なお、色バリでは「シデラルS」のアイコニックなカラーを忠実に再現したイエロータイプに加え、レッド、ブルーが追加され、ブラック、オレンジ、グリーンの別売りストラップに付け替えて楽しむことも可能です。

’70年代レトロフューチャーな味わいにイマっぽい洗練さが添加され、そこにレガッタカウントダウンゲージが記載された複雑顔やポップなカラーリングなどが相まって、他に類を見ない独特の姿に仕上がった、この「ティソ シデラル」は、さまざまなカジュアルに違和感なくハマるのはもちろん、ビジカジの手元を小粋に見せるアクセントとしても有効。クライアントから「おっ、その時計、いいですねぇ？　すごくお洒落じゃないですか」ってなお褒めの言葉がもらえちゃうかもです。

グラスファイバー製ケース、モダンデザイン、手ごろな価格などの新機軸を打ち出し、「let’s get away from Dad’s traditional style of watch（お父さんの伝統的な時計スタイルから脱しよう）」などのキャッチコピーのもと、当時の若い層に向けて販促された「シデラル」シリーズ。写真はドレスタイプを紹介する宣伝ポスターで、そこには「The young watch, for the young（ヤング向けのヤングウォッチ）」なる、ナニゲに懐かしくなるコピーも！

「ティソ シデラル」は元祖「シデラルS」と同じオリジナルカラーのイエロー（トップ写真）のほか、レッド、ブルーの全3色で展開。それらはストラップやレガッタカウントダウンゲージなどのカラーが異なるものとなっている。

シースルーバックのガラス越しにうかがえるのはティソの定番自動巻きムーブメント「パワーマティック 80」だ。これに搭載されているひげゼンマイは、スウォッチ グループとオーデマ ピゲの共同開発によるチタンベースの非磁性合金「ニヴァクロン™（Nivachron™）」製。精度誤差の原因になる磁場の影響を受けにくく、温度変化における変形も起こりにくい、このハイテク素材のひげゼンマイにより、本ムーブメントはつねに高い精度を発揮する。なお、「ティソ シデラル」の「パワーマティック 80」は、初のスケルトンローターが導入された新バージョンとなる。

暗所でマルチカラーの夜光塗料で美しく発光する「ティソ シデラル」の文字盤。このうちの時・分針、およびレガッタカウントダウンゲージには蓄光性夜光塗料「スーパールミノヴァ®」が塗布されている。

’70年代の「シデラル」シリーズに採用されたパンチングラバーストラップを再現。「ブレスレットクリップシステム」は一般的なバックルとは一線を画すユニークなデザインだ。なお、「ティソ シデラル」にはブラック、オレンジ、グリーンの別売り替えバンドが用意されている。写真はブルータイプを標準装備のブルーストラップからオレンジストラップに、また、イエローモデルはブラックストラップに付け替えた一例となる。

問い合わせ先／TISSOT　☎ 03-6254-5321
www.tissotwatches.com

※表示価格は税込み

文／山田純貴