特集・連載
感動を自宅でも楽しめる♪ その希少性を「数字で見る」国宝
アートのある生活 最近のミュージアムグッズは、単なるお土産品にあらず。そのこだわりやセンスの高さは秀逸で、生活に取り入れれば知的な雰囲気も漂います。今こそアートの世界に触れるべく、ここで基礎教養&ビギン目線のウンチクも交えてアイテムをご紹介! この記事は特集・連載「アートのある生活」#03です。
国のお墨付きがある傑作には、やはり心惹かれてしまうもの。まずはその希少性が数字に表れた国宝と、感動を自宅で楽しめるモノを紹介!
この世に3つしかない偶然の奇跡
曜変天目
まるで器のなかが宇宙みたい! 曜変天目茶碗は、世界に3つしか現存しない貴重なもの。そのすべてが日本にあり、美しい瑠璃色の斑が偶然の産物で再現不可能なものゆえに国宝に指定されています。
「貴重な茶碗を手にしてみたい……」という夢を叶えてくれるのが、陶磁器とは対極の柔らかな素材で作られた実寸大ぬいぐるみ。発想はユニークながら作りは本格派で、瑠璃色の輝きも見事再現。思わず両手で大事に包みたくなる出来栄えです!
ぬいぐるみなのに両手で包みたくなる
ほぼ実寸の曜変天目
ぬいぐるみ
中国・南宋時代に作られ現存する曜変天目のうち、静嘉堂文庫美術館に所蔵されている《稲葉天目》を実寸で再現。底面の釉薬の偏りまでリアルに再現している。6380円(静嘉堂@丸の内 ミュージアムショップ)
例えばぬいぐるみで練習したい[超基本のお茶法劇場]
よーへん君
好きな言葉は「お金」と「宇宙」の30代ロマンチスト。模様にひかれてぬいぐるみを購入。
てんもく先生
国宝と文化のことはなんでも知っている学者。息子の前では恐ろしい父親に変貌するとの噂だ。
「曜変」とは陶磁器を焼く際の予期しない色の変化のことをいい、「曜」の字は星のような輝きを意味している。「天目」は、茶の湯で使う鉢型の抹茶茶碗のこと。
1年に1度、1か月しか見られない花
燕子花図屏風
燕子花は万葉集にも詠まれ、日本人には古くから馴染みのある花。それが見事なバランスで描かれているのが、尾形光琳の燕子花図屏風です。現在は東京の根津美術館が所蔵していますが、これが見られるのは一年に1度、1か月間だけ!
ずーっと眺めていたいって人は、ぜひこのそば猪口と三寸皿を。じつは光琳は“日本で最初のデザイナー” といわれていただけあり、モノに落とし込んでも絵柄の美しさが映えてます。食卓の格も上がりそうです♪
白背景の燕子花もわるくないね
燕子花そば猪口
燕子花三寸皿
屏風では群青と緑青で鮮やかに描かれた燕子花を、純白の素地に藍彩による染付けで清々しく表現している。蕎麦猪口4500円、三寸皿1500円(根津美術館)
尾形光琳
1658~1716年。京都有数の呉服商の家に生まれる。幼い頃から芸術に触れ、鍛えられたセンスを駆使してか6人の妻と7人の子どもがいたという説も。
平安の稀代のプレイボーイ在原業平の「かきつばた」
[か]ら衣
[き]つつなれにし
[つ]ましあれば
[は]るばる来ぬる
[た]びをしぞ思ふ
失恋は同情するけど奥さんは……
平安時代の歌人・在原業平も詠んだ燕子花。これは藤原高子との叶わぬ恋の歌ですが、じつは業平には奥さんが……。歌はよくても行いはアウト!(笑)
作品が観られるのは5月14日まで
特別展『国宝・燕子花図屏風 -光琳の生きた時代 1658-1716-』
国宝《燕子花図屏風》(右隻) 尾形光琳筆 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
4月15日(土)~5月14日(日)根津美術館にて開催。
住所.東京都港区南青山6-5-1
☎ 03-3400-2536
※オンライン予約制。ショップは館内入場者のみ利用可
そもそもどれだけすごい?“国宝”になるには
※表示価格は税込み
[ビギン2023年5月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。