【アウトドア検定vol.1《解説編》】これはさすがに知っているよね~な 基礎編
アウトドア基礎編はどうでしたか? さすがにビギン読者なら知ってることも多かったと思いますが、あなたは何問正解できた? ここではクイズの答えと、その理由や由来についてもう一歩解説します。
Q.デイパに付いているひし形のバッチ、通称なんと呼ばれている?
A.ブタ鼻
[通称は日本独特のネーミングです]
デイパをはじめ、レトロなアウトドアバッグに付いている印象のひし形のパッチ。正式名称は「アイスアックスホルダー」といい、日本では見た目が豚の鼻に似ていることから、通称ブタ鼻と呼ばれる。もともとは’60年代に生まれたとされる、登山用ピッケルを通して固定するためのもの。本来は同一直線上に、固定するループとセットになる。
Q.バッグの容量(○ℓ)って何を入れて計測している?
A.ピンポン玉
[ほとんどのメーカーがこの規格で測っています]
バックパックには容量をℓではかる規格があり、世界的に米国のATSMが定めた方法で計測される。やり方は直径20㎜のプラスチックボールがパックの中にいくつ入るか? そこで多くのメーカーはちょうど倍の直径にあたるピンポン球を使って荷室内の容量を計測している。ヨコ×タテ×マチのリットル換算と一致しないのはこのため。
Q.アウトドアシェルのポケット位置が高い場所に付けれらているのはなぜ?
A.バックパックのベルトと干渉しないため
[シェルを着てるだけではわからないかも]
本格的なシェルには、一般的なアウターにある腹部のフラップ付きポケットなどはまず見られない。理由はバックパックのヒップベルトと干渉し、使い勝手が悪いから。そのためシェルの身頃ポケットのファスナーは胸の高い位置まであり、上から下へ開ける仕様が多い。普段ヒップベルトを締めないと、なかなか理由がわからないかも。
Q.バックパックを正しくフィッティングさせるために、まず調整する部分は?
A.ヒップベルトを締める
[ヒップベルトに重量がかかるように留意]
まずはバッグのストラップをすべて緩めて背負う。そしてヒップベルトを腰骨の上で締める。次にショルダーストラップを締める。ただ締めすぎるとバッグの重心を置くべき、ヒップベルトに重量がかからなくなるので注意したい。ストラップの上部の付け根が、肩甲骨の真ん中にあたるくらいが理想と覚えておこう。次にチェストストラップを締めて固定する。最後にハーネスの肩にあるロードリフトを水平に引っ張って、バッグとのフィット感を調整してできあがり。
【フィッティングの手順】
①ヒップベルトを締める
②ショルダーストラップを締める
③チェストストラップを締める
④ロードリフトを締める
Q.バックパックの正面によく見られるコードの名前は?
A.バンジーコード
[伸縮性のあるゴム紐を使っています]
正解はバンジーコード。伸縮性のあるゴム紐で、例えば登山中にアウターを固定したりする。バンジーはバンジージャンプ発祥のニュージーランドでゴム紐の意味があり、これに由来するという説も。
Q.従来の止水ファスナーよりさらに防水&強度の高いファスナーの名前は?
A.アクアシール
[ビスロンベースでより滑らかで操作性もUP]
答えはアクアシール。YKKの新しい防水ファスナーで、通常の金属ファスナーよりも軽く、PUコーティング済みのビスロンファスナーがベース。従来の止水ファスナーより防水力と強度に優れ、柔軟で操作性も向上した。アウトドアアイテムでは世界的にも数えるほどしか採用しておらず、本格的なプロスペックシェルなどに使用されている。
Q.バックに付いている連なるループの正しい用途を選びなさい。
A.他のギアを吊るすため
[元々はロッククライミングの荷揚げ袋に付いていたパーツ]
アウトドア用語ではデイジーチェーンと呼ばれるもので、このループは他のギアを吊るすためにある。元々はロッククライミングの荷揚げ袋に付けられていたパーツに由来。カラビナやロープを掛けて小物をぶら下げたり、マットやウェアを取り付けたりして使う。なんとなく波打っているわけではないので、ぜひ活用してみよう。
Q.ダウンのフィルパワーって何の単位?
A.羽毛のかさ高
[600立法インチ膨らむと600フィルパワーです]
羽毛のかさ高を表す単位。計測方法の一例として羽毛1オンスのダウンをシリンダーに入れ、一定荷重をかけて膨らみを立法インチで示す。羽毛が800立方インチの体積に膨らむと、 800フィルパワーとなる。数値が大きいと空気を多く含んで、断熱性が高く保温性に優れ、同じかさ高を少ないダウンで作れるため、軽い製品になる。
Q.極寒の地で手を温めるために作られた胸部のポケット、何と呼ぶ?
A.ナポレオンポケット
[ある人が胃痛持ちだったとかで……]
主にハードシェルに多く見られる、フロントジップと平行してある胸部のポケット。これは収納を兼ねつつ、極寒地のビバークで手を凍傷から守るために考えられたもの。通称ナポレオンポケットと呼ばれる。由来は、あのフランスのナポレオンが胃痛持ちで、懐に手を入れていることが多かったことからといわれてるが、真相は定かではない。
Q.ワインオーブナーがない時は「〇〇」ことでコルクが抜ける。「〇〇」を答えなさい。
A.靴に入れて叩く
[じつは身に着けているモノで代用できます]
登山やキャンプ、BBQなど、アウトドアやレジャーシーンで案外忘れがちなワインオープナー。そんなときはCを覚えておくと助かる。靴にワインを入れ、かかと部を地面にトントンと叩きつける。これを繰り返していると、徐々にコルクが抜けてくるのだ! いざというときは、ぜひ試してみて。
Q.フリースとパイルの違いって何?
A.仕上げの違い
[スウェットの裏毛と裏起毛の違いに似ています]
フリース製品の素材名で使われるフリースとパイル。違いはというと、まずともにスウェットの裏毛のように、ループ状のパイルにポリエステル繊維を編み立てる。このパイルの先端をカットして、起毛をより精密に整えたものがフリース素材。そのままの状態のものがパイル素材と呼ばれている。したがって答えは、仕上げの違い。
Q.スキレットとダッチオーブンの違いって?
A.深さ
[形や雰囲気は似てますが、用途で使い分けます]
スキレットとは熔かした鉄を型に流し込んで成形する、原始的なフライパンのこと。一方、ダッチオーブンは米国の西部開拓時代に使われた蓋付き鍋に由来。ともに野外の調理器具として人気だが、知っておくべきは深さの違い。浅めのスキレットはパンを焼いたり、ソテーに。深いダッチオーブンはスープなどを調理するのに向いている。
Q.クーラーボックスは和製英語である。英語では何という?
A.クーラー
[冷蔵庫的な役割がヒントになるかも]
アウトドアにおける冷蔵庫であるクーラーボックス。発祥の米国ではクーラーと呼ばれる。日本でお馴染みのコールマンでも、商品名はクーラーだ。ちなみにクーラーには保冷力のハード、携帯性に優れたソフトの2種があり、ハードは生鮮品や飲み物、2日目以降に使うものを。ソフトは野菜や加工品類用と使い分けたりする。
Q.バーベキューでよく使われる備長炭。何の木の炭?
A.樫の木
[とても堅い木を使い、じっくりと完全に炭化]
肉や魚をおいしく焼き上げることで知られる備長炭。元になる素材は、非常に堅い樫の木を使っている。ゆっくりと日数をかけて完全に炭化させているため、普通の炭と違い炎がほとんどなく、炭自体が発熱して非常に長い時間燃え続けるのが特徴。これにより遠赤外線でじ~っくり、素材の旨みを逃がさず焼き上げることができるのだ。
Q.クライミングパンツの股部にあるガゼットクロッチって何のために付いてるの?
A.股を開きやすくするため
[クライミングパンツを象徴するディテール]
クライミングパンツのパイオニアであるグラミチが開発したガゼットクロッチ。その意図は、岩登りの際に脚を開きやすくするためのものだ。グラミチは股下にひし形の生地を縫い合わせて、180度の開脚を可能にするマチを設けた。その後、さまざまなブランドからフォロワーが登場し、クライミングパンツを象徴する仕様となった。
Q.近年話題のグランピングって何とキャンプを合わせたもの?
A.グラマラス
[魅力的なキャンプという意味です]
Cがいいな♡という声もわかります。ただ正解も魅力的で、答えはグラマラス。ホテルなどの宿泊施設が提供してくれる贅沢なキャンプのこと。テントを張る必要もなく、なかには一流シェフが料理をふるまってくれるところも。
Q.開口部をくるくる丸めるロールトップのバックパックは何がルーツとなって誕生した?
A.狩猟
[アウトドアギアには先人の知恵がいろいろ]
正解はネイティブアメリカンが使っていた狩猟用のバッグ。獲物を入れる毛皮製の袋の上部を巻くことで、水の浸入を防いでいたのがルーツだ。このようにアウトドアアイテムには、大自然の中で暮らしていた各地の先住民が使っていたものから、インスパイアされたモノが数多く存在する。
[ビギン2017年5月号の記事を再構成] 写真/植野 淳 文/礒村真介 桐田政隆 黒澤正人 スタイリング/鈴木 肇 イラスト/植竹マッカーサー