特集・連載
各ジャンルで成功を収めた! 異才たちの愛した “異彩”は格別だ
出世する時計 スマートウォッチで仕事効率化を図るのもいいけど、どうせなら着けるだけで仕事運が上がりそうな一本が欲しくないですか? そこで今回は古今東西の“出世”した人物の愛用時計を調査。成り上がるならコレです(笑)。 この記事は特集・連載「出世する時計」#03です。
ここでは特異な才能で偉業を成し遂げた、レジェンドたちの愛用時計にフォーカス。各々が得意なフィールドで名を馳せていく過程を、ある意味一番近くで見つめた名機たちなら、どう考えても格別なご利益がありそうじゃない?
ノーベルウォッチ
さまざまな分野で人類に最大の貢献をもたらした人物に贈られるノーベル賞。これを受賞することは、ある種出世の極み! その道を極めた人物は、やっぱりエレガン度高めの時計がお好み!?
Albert Einstein(アルベルト・アインシュタイン)
私は未来について悩まない。すぐに現実になるから
時間は想定的なものである!と説いた“特殊相対性理論”や、重力と時間の関係性にフォーカスした“一般相対性理論”など、時にまつわる理論で著名なスーパー物理学者。
現在は廃番……
LONGINES[ロンジン]
1929年製ウォッチ
ちなみに現在買えるのはコレ
LONGINES[ロンジン]
ロンジン エヴィデンツァ L2.642.4.73.4
天才学者が愛したのは、流麗な14Kイエローゴールドのトノーケースを採用した同社の1929年製ウォッチ。こちらは同社伝統のトノーデザインを継承した現行モデル。自動巻き。38.75×33.1mm。SSケース。27万2800円(ロンジン/スウォッチ グループ ジャパン)
Winston Churchill(ウィンストン・チャーチル)
決して屈するな。決して、決して、決して!
第二次大戦中に英国首相へと就任し、類い稀な統率力で英国民を鼓舞したカリスマ。終戦後に回顧録『第二次世界大戦』を著し、ノーベル文学賞も受賞した作家としても有名。
LIP[リップ]
チャーチル T18
第二次大戦でパリ解放に尽力したとして、1948年にフランス政府から贈られた今作。直線的意匠が特徴的なアールデコ調のデザインは、英国首相に相応しい気品あり。クォーツ。38.5×21.2mm。SSケース。2万9700円(エイチエムエス ウォッチストア 表参道)
宇宙ウォッチ
陸より海より空より精密な時間管理が必要となる宇宙。人類がそのフィールドに進出し始めたときに、先駆者として体を張った異才たちにとって、視認性に優れる時計は不可欠な相棒だったのだ。
Yurii Gagarin(ユーリィ・ガガーリン)
地球は青かった
1961年4月12日にボストーク1号で地球を一周し、人類で初めての宇宙飛行に成功。27歳にしてソ連の国民的英雄となった。偉業の陰には母国製腕時計の貢献あり!?
STURMANSKIE[シュトゥルマンスキー]
ガガーリン アニバーサリーモデル 33
世界初の有人宇宙飛行が成功した際、腕にはモスクワ第一時計工場が製造した、同ブランドの時計が巻かれていたそう。こちらはそんな歴史的モデルの復刻版で、文字盤にはモスクワ第一時計工場のロゴが鎮座。手巻き。径33㎜。SSケース。6万3800円(アンドロス)
Neil Armstrong(ニール・アームストロング)
一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな一歩だ
1969年7月20日に、アポロ11号の船長として人類で初めて月面を歩いた、アメリカの宇宙飛行士。月面歩行の様子は全世界で中継され、多くの人々を魅了した。
OMEGA[オメガ]
スピードマスター ムーンウォッチ マスター クロノメーター
当時NASAが課した過酷すぎるテストを唯一クリアした!という逸話でもお馴染み。無重力空間でも操作できるように手巻きムーブが採用されているというのは、モノ好きの一般教養。写真は現行モデル。径42mm。SSケース。73万7000円(オメガお客様センター)
ITウォッチ
ITを電気や水道と並ぶインフラへと発展させた二大巨人には、シンプル・イズ・ベストという共通の哲学が。安くてイイものを愛するビギン的精神こそ、億万長者へ出世する近道なのかも(苦笑)。
Bill Gates(ビル・ゲイツ)
問題は未来だ。だから私は、過去を振り返らない
1975年にマイクロソフト社を創業し、1985年に世界的OS、“Windows”シリーズを発表。常に世界長者番付の上位にランクインする成功者だが、愛用時計は意外と質素?
CASIO[カシオ]
MDV106-1A
約1300億ドル(15兆円超)もの資産を持っているにもかかわらず、なんと同氏はカシオのU-1万円ダイバーズにお熱♡ 母校ハーバード大学で講義する際に着用している姿が目撃されている。多忙を極める才人には視認性の高いシンプル顔が刺さったのかも。参考商品。
Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)
毎日を人生最後の日だと思って生きれば、いつか必ずその日は来るだろう
1976年にかのアップル社を創業し、PCという概念自体を世に広めた天才実業家。革新的ツールを山ほど創出した巨人は、お気に入りを長く愛する偏愛家としても著名だった。
SEIKO[セイコー]
シャリオ
イッセイミヤケの黒タートルやリーバイスの501と並んで、この薄型ドレス時計をこよなく愛していたと言われるジョブズ氏。無駄を省いて新しい便利を創出してきた同氏は、このミニマル顔に惹かれたのかも。写真は2017年に発売された復刻モデル。参考商品。
革命ウォッチ
既存の社会、政治、概念に“活!”を入れるべく奮闘した革命家たちが頼ったのは、王者ロレックス。常に危険と隣り合わせの彼らにとっては、やっぱりタフネスとゴージャスの共存が重要だったのかも。
Reverend King(キング牧師)
私には夢がある
’50年代~’60年代にかけて活躍した、アメリカの公民権運動の指導者。黒人=弱者の構図に革命を起こすべく、非暴力による人種差別撤廃を掲げ、大衆抗議運動の組織化に貢献。キングの名に相応しい統率力で民衆を先導し、ワシントン大行進等の歴史的デモを数々実現したが、’68年に“貧者の行進”を展開中にテネシー州メンフィスで暗殺された。
ROLEX[ロレックス]
デイトジャスト 18金無垢
“I Have a Dream!”という歴史的演説で知られるキング牧師は、やはり夢のように煌びやかなデイトジャストがお好みだった模様。18金ケース×溝付きベゼル×シャンパンダイヤル×ジュビリーブレスという豪華絢爛なモデルを、生涯通じて愛したそう。参考商品。
Fidel Castro(フィデル・カストロ)
歴史は私を無罪とするだろう
1959年にキューバ革命を起こし、同国を社会主義国家へと転身させた革命家。実はロレックスの大ファンで、複数本所有、生涯愛し抜いたそう。なにやら武器が必要になった際に換金しやすいからロレックスを着けていた、という説も。ちなみにともに革命を成し遂げた盟友チェ・ゲバラも、同じくGMTマスターを愛用。革命の陰には名機の存在あり!?
ROLEX[ロレックス]
GMTマスター 6542
カストロは1955~’59年の間しか製造されていなかった、GMTマスターのファーストモデルを溺愛。希少性が極めて高く、ヴィンテージ時計の名店であるジャックロードでも、数年に一度しか入荷しないんだそう! 次回入荷の際はお見逃しなく。(ジャックロード)
ちなみに……
カストロと共にキューバ革命を率いたチェ・ゲバラも、GMTマスターでした。
※表示価格は税込み
[ビギン2022年3月号の記事を再構成]文/吉田 巌(十万馬力) 黒澤正人 イラスト/TOMOYA