特集・連載
仕立てのいいウールスーツに見えて、じつは「超楽チン」だなんて気づきます?
正しい服・モノの選びかた[新ルール][基本ルール] 「正しく服を選べる人になりたい」心の声つぶやいちゃった、みたいで失礼。ただ、このぼやき、あながち嘘にあらず。昨今モノ多すぎ&情報も押し寄せてくる……で、昔以上に正しく服を選ぶのが難しいと痛感したワケです。そこで今回、各ジャンルにて「ここに気をつける」を総点検。基本&新ルールで、わかりやすく解説していきます この記事は特集・連載「正しい服・モノの選びかた[新ルール][基本ルール]」#15です。
スーツ博士ライター「マジすかっ!?」インプ
ハイテクな“天然見え”スーツに頼る
スーツ博士ライター
左/吉田 巌 右/秦 大輔
ともにビギンや兄弟誌「MEN’S EX」をはじめ、数多くの雑誌やWEBメディアでファッション記事を執筆。毎シーズン膨大な量のスーツをチェックしており、目は相当肥えています。
吉田 機能系素材のスーツって、昔はいかにも化繊丸出しな不自然な風合いばっかりだったのに、今は随分と上質な生地感のものが増えたね。
秦 たしかに。品質表示のタグを見るまで化繊が入ってることに気づかないってこと、ありますよね。
吉田 このシップスのセットアップも、杢調の色合いといい、シャリッとした風合いといい、スーツ上級者が夏場に好んで着る素材感の効いたウールの平織り生地みたい。
SHIPS[シップス]
ルミレット セットアップ
伸縮性能を備え、シワになりにくい機能素材「ルミレット」ウール混タイプを使用。その上質な風合いにより、タイドアップも申し分なくキマる。パンツはウエストシャーリング入り。ポリエステル96%+ウール4%。ジャケット2万3980円、パンツ1万6940円(シップス 渋谷店)
ビヨ~ン!
じつは腰ゴム
秦 これは東レ開発の「ルミレット」という機能素材ですね。見た目に反し、ストレッチ性に富んでいて軽量、シワにもなりにくいんです。
吉田 上下で4万円というプライスもすごくない? 絶対その値段とはバレないんじゃないかな。
秦 ウール見えなら、テーラーフィールズのオーダースーツもそうですね。ポリ100%なのに見た目も触った感じもウールにしか思えない。
TAILOR FIELDS[テーラーフィールズ]
オーダージャーニースーツ
アンコン仕立て風ながら、肩部分に仕込んだ毛芯と高品質な国内縫製でテーラード然とした見映えに。軽くてシワになりにくいポリ100%生地で小さく折り畳めるのも魅力。7万1500円~〈オーダー価格〉(Y&Mプレスルーム)
吉田 お、これパッカブルなんだ! “ジャーニー”の名の通り、旅行や出張にもってこいじゃん。
秦 一方マッキントッシュ フィロソフィーのセットアップは、コットンっぽいタッチのストレッチ生地を採用。撥水・透湿性のほか、ウォッシャブル性も獲得しています。
MACKINTOSH PHILOSOPHY[マッキントッシュ フィロソフィー]
ツイルストレッチ BR313 ジャケット&イージーパンツ
コットン調のストレッチ生地を採用。パンツは、ドローコード&シャーリング付きのイージー仕様となっている。ポリエステル100%。ジャケット3万9600円、パンツ1万9800円(SANYO SHOKAI カスタマーサポート)
吉田 マジ? 夏場に最高だね。
秦 このモデルは、ややゆったりめのボックスシルエットもイイんですよね。肩肘張らない感じが今っぽいと思いません?
吉田 肩肘張らないといえば、モアレスのダブルジャケットもおすすめだよ。重厚になりがちなダブルを、めちゃ軽く仕上げている。ちなみにリネンのような生地は天然パルプをブレンドしたサステナブルな半合成繊維。吸水速乾や接触冷感といった、夏に嬉しい機能も備えているんだ。
MORLES[モアレス]
ブラックブレザー
天然パルプをブレンドしたサステナブルな半合成繊維“ソアロン”を使用し、リネン調の清涼な風合いと高い機能性を両立。シルバーのメタルボタンと、非常に凝った作りだ。2万5300円(洋服の青山新宿西口店)
秦 シャカッとしたスポーティな素材感のセットアップやジャケットも今らしくていいと思うんですが、大切な会議や商談のある日にはやっぱり不向き。だから、ここで紹介した“天然見え”のハイテク生地が刺さるビジネスマンも多いでしょうね。
吉田 それでいてどれもカッチリしすぎず、スニーカー通勤にも合う程よいカジュアル感があるのがいいな。今どきのビズスーツの最適解かも。
秦 休日のお洒落着としても活躍しますから、速攻でモトも回収できますしね。ぶっちゃけ無理して10万円超えのスーツを一着買うより、この手を取っ替え引っ替えしたほうがよっぽどお洒落だと思いますよ。
Q.キチンと見せるポイントは?
A.お尻、袖丈に注意!


スーツ姿をキチンと見せたいなら、サイズ感にこだわるのは鉄則。その際、肩幅や身幅、腰回りといった“幅”に比べて、意外と見落とされがちなのが“長さ”だ。着丈や袖丈が適正じゃないと、どんなにいいスーツでもとたんに野暮ったく見えてしまう。しっかりチェックを!
※表示価格は税込み
[ビギン2021年9月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。