タイメックスの魅力を語るうえで、優れたデザイン性は外せない要素。とりわけ2人の巨匠の仕事に触れないわけにはいきません。その類い稀なる功績とは?
時計業界のトレンドすら左右する、超一流の仕事
世界一売れたスポーツウォッチといわれ、かのクリントン元大統領が愛用したことで知られる「アイアンマン」。ヒットの鍵が先進のデジタル機能や使い勝手のよさにあったことは間違いないですが、もう一つ、どこかレトロな雰囲気のインダストリアルな顔立ちに唯一無二の魅力があったことは、後年、その復刻作が大人気を博した事実が証明しています。
アトランティス 100
それは今現在、大ヒットの只中にある復刻時計「アトランティス 100」シリーズにも共通するもの。そしてこれらデジタルTの名作は総じて、’79年から’01年までデザインを統括した人物、ジョン・T・フーリハン氏が手掛けたものでした。
デザイナーが替われば作風が変わるのも当然の話。個性的なデジタル時計を数多く手掛けたフーリハン氏に対して、2000年代にバトンを受け継いだジョルジオ・ガリ氏は、先人たちが遺したレガシーに敬意を払いながら、洗練を加え、ファッションウォッチの新境地を拓いていきました。
ウィークエンダー
象徴的な時計が、キャンパーの後継機として’11年に登場した「ウィークエンダー」。カラフルなリボンベルトを備えたその時計は、フランクにして品のいい顔。すぐさま大旋風を巻き起こし、時計業界のリボンベルトトレンドを牽引する存在となったのでした。
ファッション業界にもファンの多いタイメックスですが、彼らを夢中にさせるのは、いつの時代も超一流デザイナーの仕事なのです。
1979~2001
John T. Houlihan[ジョン・T・フーリハン]
GMのカーデザイナーを経て、タイメックスへ。激動のクォーツ移行期にデザインチームを率い、成功に導いた。スマートウォッチの先駆けである「データリンク」も氏のデザインだ。
フーリハン氏なくしてデジタル“T”は存在しなかった……
1984~’85年誕生「アトランティス」スケッチ
インダストリアルな趣あふれるアウトドア時計の名作を復刻&アレンジ
TIMEX[タイメックス]
ATLANTIS 100(アトランティス 100)
廃番の初代アイアンマンに代わり(オリジンの誕生はこちらが先)昨年復刻。大人気を得たシリーズに追加された、アウトドアウェアを思わせる配色の「アトランティス 100・ヌプシ」。全5色展開。幅40mm。8800円(ウエニ貿易)
2000s~
Giorgio Galli[ジョルジオ・ガリ]
ルーカス・フィルムを経て時計デザイナーへ。スウォッチのディレクションを手掛け、そのヒットに寄与したレジェンドだ。現在はタイメックスグループ全体のデザインを統括する。
ガリ氏の閃きによってリボンベルトはお洒落の新・一手に
2011年誕生「ウィークエンダー」スケッチ
スーツのハズシとしても愛される多くのフォロワーを生んだ爆売れモデル
TIMEX[タイメックス]
WEEKENDER(ウィークエンダー)
登場から5年の間に、日本だけでも累計50万本売れたというモンスターウォッチ。キャンパーがベースとあって、文字盤には24時間表記がなされている。原点である真鍮製ケースも特徴といえる。径38mm。各8300円(ウエニ貿易)
※表示価格は税抜き
[ビギン2021年4月号の記事を再構成]写真/谷口岳史 文/秦 大輔