特集・連載
長きにわたり人を虜にするアメトラの代表格 ‐ 「BDシャツ」(ボタンダウンシャツ)の教科書
定番の教科書 ネイビージャケットやB.D.シャツ、チノパンといったお馴染みの服はもちろん、スニーカーやデイパに代表される靴、鞄、さらにはスポーツカーや食べ物まで、どのカテゴリにも、いつの時代も変わらない「定番モノ」が存在します。いまもなお、定番が定番たる所以とは? 歴史、ウンチク、名作から今買える新傑作まで、世の定番モノをじっくりわかりやすく解説します。 この記事は特集・連載「定番の教科書」#05です。
HISTORY
1900年、ブルックス ブラザーズによってアメリカに誕生したボタンダウンシャツ。衿先を小さなボタンで留めただけのシャツが今やアメトラの代表格と呼ばれ、普段着の常連に。なぜ、長きにわたって人を虜にしているのか?その歴史と魅力を紐解いていきましょう。
誕生当時からBDシャツの生地にはオックスフォードが使われていた。じつはこれ、スコットランドの製織業者デビッド&ジョン・アンダーソン社が開発した生地で1875年にブルックスブラザースが見出し、後にBDシャツに採用したという話も。
定番アイテムの基礎知識
服
【BDシャツ】
衿先をボタン留めできるシャツ。
アイビールックの象徴であり、主にオックスフォード生地が使われる。
ブルックス ブラザーズの創業者の孫にジョン・E・ブルックスという人物がいた。1896年、商用先の英国でたまたまポロ競技を観戦した際、彼は選手の着用するシャツがプレイの邪魔にならないよう、その衿先が留められていることに気づく。これをヒントに4年間の試行錯誤を経て、1900年、ようやく製品化にこぎつけたのがポロカラーシャツ、いわゆるBDシャツだ。
BDシャツは当時主流だった取り替え式の衿を採用せず、現在のシャツと同じように衿をボディに縫い付けていた。言い換えれば、今に繋がるシャツの仕様をBDシャツが普及させたのだ。かつてはアイビーの象徴とされたが、今やカジュアルシャツの代名詞となり、世界中の人々から愛されている。